島には色んな場所に、スピーカーがあって、そこからお知らせが流れてきます。
訃報だとか、健診や行事の案内、フェリー欠航のお知らせなどなど。
テレビもねえ、ラジオもねえ、バスにものれねえ・・・私には貴重な情報源ではありました。
訃報と言えば、私が滞在中の二ヶ月で、聞いただけでも10人の高齢の方の訃報を聞きました。
年間100人以上が亡くなっているそうです。若い人もお子さんもあまり見かけませんでしたから、町の将来が心配だなあって思ったけど。たとえ私が移り住んだところで、子を産むわけでも、100年生きるわけでもないので、どうにもね。
これは、わが故郷も同じこと。わが故郷には加えてクマが出るというマイナスポイントもありますし(苦笑)
話はそれましたが、ある日、何気に放送を聞いていてビビったんです。
緊急アラートがなったら、すぐさま頑丈な建物の中に避難してください・・・・的な言葉が聞こえました。
え?あっ!!
そう言えばいくらテレビがないとはいえ、ヤフーのトップに大きなニュースは載っています。
北のミサイルの事は、この時期何度も目にしましたが、放送を聞いた翌日にミサイルの発射があるかも知れないというタイミングでの放送だったようです。
島の防災無線放送で流れてきたわけで、こんな経験は初めてでしたので心底動揺しました。
でもネットでみても特に緊急を要するような記述もなく、FBで友人に問いかけてみましたが、反応なし。
翌日はこの地域のお祭りだと聞いたので、取材に行こうと思いつつ、眠りについたのですが。
ドン!ドドーーーーーン!!
もの凄い音でびっくりして目が覚め、その瞬間昨日の放送を思い出した私は、ついにミサイルが飛んできたか!とマジで思って飛び起きました。
時計をみるとちょうど6時。
ちょうど6時というその時間を見て思い当たる節があったので、人差し指でブラインドを下げて外の様子を見ました。
遠くに見える広場に煙が流れていて、人の姿がありました。
ああ、音花火?今日は祭りだぞう!という合図だったんかなあ?
それにしても、朝の6時は早いでしょう。心臓バクバクです。
落ち着きを取り戻した私が、いつものようにPCでクラシックを流しながら優雅な朝食を終え、口の端の納豆の糸をぬぐっていると
どどーーーーーん!!!どん!
今度は7時25分という微妙な時間。
すると、遠くからぴーひゃらぴーひゃら、たったたらりら・・・♪ と笛と太鼓の音が聞こえてきました。
ああ・・祭りが始まる合図か?それにしてもはやっ!と思いつつ、今度は中指でブラインドを下げて外を見ると、法被を着た大人と子どもが歩いているのが見えました。ハッピーな光景です♪
私はデジ一(デジいちですよ、デジーではないですよ)を掴んで、帽子も靴も服も黒づくめの格好でその後を追いかけ、一人のお父さんに、ついて行ってもいいかとお願いして、同行させていただきました。
こういう事が出来るのも年を重ねたからこそ。図々しいと言われればそれまでだけど、黒子のように邪魔にならないように後ろの方をついて行きました。
ここのお祭りは、一軒一軒の家の前で笛太鼓を演奏し、お子さんのいるお宅には獅子が上がりこんでお子さんの無病息災を・・というような感じで、奉納金をいただきながら練り歩きます。
鯉のぼりの上がったお宅。獅子が入った瞬間、中からぎゃ~!というお子さんの叫び声が聞こえてきてほほえましかったです。
幼い頃私も、この獅子舞が怖くて、太鼓と笛の音が聞こえると家の中に飛び込んで、隠れていました。
この地区には特別養護老人ホームがあります。
この後は、軽トラの荷台に乗っかってそちらに移動。
手を合わせて頭を噛んでもらうおばあちゃん。
黒づくめだったせいか、私の事をフリーのカメラマンか、と言っている声が聞こえたので、内心でウケました。
取材させていただいてありがとうございました。
すわっ!ついに弾道ミサイルか!
と思って目覚めた日は、いつもの鳥の声と、笛と太鼓の音が島風に乗って流れる、素敵な一日でした。
感謝をこめて
つる姫