☆つる姫の星の燈火☆

#4 とんび

年末から嵌っていたのが、ユーネクストで観ていた昔の日曜劇場の「とんび」。

私のお気に入りの作家さんの一人、重松清さんの小説が原作です。

この本は読んでいないので、内容を全く知らずに見始めたのですが、息子と父親の関係、それぞれの想い、娘であり、母親である私にはわからない父子の物語に引き込まれました。

主演の内野聖陽さんは、どんな役もこなせる演技力に感心していたところでしたが、このドラマの中でも、不器用でまっすぐな父親の役を見事に演じられていました。

この作品は二年ほど前、阿部寛さんで映画化もされたようですね。

最近見たドラマや映画の中でも、一番心に刺さるものでした。

私の息子が男の子を授かったばかりでもあり、思うところもあったので、なおさら。

我が息子は、育休で小さな赤ちゃんに振り回され、慣れない家事に疲れ果てていましたが、育休が明けて年末に仕事復帰し、お嫁さんが実家に行って、一人の時間がたくさんあり、何かと思うところがあったらしい。

挙句、人の都合も考えず、ぷらっと実家に戻って来たって感じです。

元日の朝、ささやかなおせちを食べた後で、自分が産まれた時からの事を色々聞きたいと切り出してきました。

自分はどんな子どもだったか、お母さんは自分をどう見ていたのか。

 

私の父は一昨年なくなってしまい、最後の数年は言葉もうまく発することはできなかったし、母も今は普通に会話することが難しくなって、元気なうちに父や母に聞いておきたかったことがたくさんあって、そのことを考えていたばかりだったので、ちょうどいい機会だなと感じました。

生きて話せるうちに聞きたいことは聞いておいて、と。

アメリカで産まれた時の事から始まり、日本に帰ってきてからの事、幼稚園小学校。。。。

息子の記憶にも新しい中学や高校の辛い時代のこと、今にして言えることもあり、初めて知った息子の想いもありました。

親になって親の気持ちがわかってきた息子と、親にしてもらったと思っている私。

息子は、聞いてすっきりしたことがいくつかあったようですし、私も子育てした頃を振り返り、思い出せば辛い時期の事も、今ではそれが宝物のひとつになっていることがわかりました。

もちろん、思い出したくなかったこともありましたけど、辛かったことを冷静に語れる今があるって、しあわせなことだなと。

 

トンビというドラマの中では、事故で早くに亡くなってしまった母親は、写真の中でいつも笑顔。

何かを語りかけたり、叱ったりほめたり、問いに答えをくれたりはしない。

いつも変わらぬ写真の笑顔を見て、自分の中で答えを見つける父親と息子。

母親だったらきっとこうしてくれる、こう思ってくれるはず、と、それは生きている者の勝手な思いかもしれないけど、それが一番いいのかもな、と。

ただ、現実にはそうはいかない。生きている者同士は、ぶつかったりもする。

特に私は口うるさい母親だったと思う。

基本的な躾、物の与え方、真面目というか、杓子定規で融通の利かない母だった。

まあ、いまもそうだけど。

それに対して子どもたちは、きっと不満を持っていたはず。

もっと広い心で育てるべきだったって、反省は後でしかできない。

ただ、ある程度の年齢になったころからは、子どもがやりたいこと、することを否定したことはない。

本当はああしてほしいこうなってほしいという希望はあったけど、自分の人生は自分が決めろ、という親でした。

ただ、私たち親は子どもたちとの話し合いの中で、「否定はしないけど‥」という言葉をよく使っていた。

そこのところが、今回議論になりました。

深く話すともっと長くなるのでやめときますが、ただ、この言葉は、反面教師だそうです。

自分はこの言葉は使わないって。

私たち親としては、否定はしないというのは、もろ手を挙げて賛成も出来ないというニュアンスを含んでいたのでしょう。

事と次第にもよるけど、これが他人の息子ならどんどん応援してあげる、と思ったことも沢山あった。

息子もこの先子どもたちが大きくなって、自分の意思を言うようになったら、わかってくれるんじゃないかなあ。

そういえば、人一倍取り越し苦労で心配性のこの私が、息子がヒッチハイクで日本一周をすると言って家を出るとき、ケチャップで日本地図を描いたオムライスを作った。

その時息子はどんな思いで、オムライスにスプーンを入れたんだろう。

 

とんびに戻りますが、あのドラマでは、取り巻く周りの人がとても良い人たちばかり。

それぞれ表現ややり方は違っても、おせっかいで善良な人たちに、母親のない息子は育てられた。

親がいない子、片親だけの子はたくさんいると思うけど、子どもは周りの人たちにも育てられるんだなあと。

しかも、その父親も、親がいなくて、周りに育てられた人だった。

ただ、それも昭和の話なのかな。

今の時代、隣人などとも関わりが少なくなり、おせっかいをやく近所のおじさんおばさんもいなくなった。

 

長くなりましたが、子育てがとっくに終わった私、今は祖母として孫とどう関わっていくか考えていたところです。

そのヒントがドラマの中にあり、私の想いと一致したので溜飲が下がりました。

とんび、機会があればぜひ見てください。

阿部寛さんの映画の方は、たぶん観れないです。好きな俳優さんだけど、それとこれとは別。

印象が違ってしまうと思うし、それよりも原作を読みたい。

私は観てから読むタイプ。

 

息子も、私があんまりしつこく勧めるので、一人の時間に見始めたようです。

観終わった時に、感想を語り合える時間が欲しいかな。

私のブログにはよく息子が出てきますが、私は息子依存でもないし、息子もマザコンではないですから、よろしくどうぞ。息子の方が書きやすいネタが多いだけです。

ご存じの方も多いかと思いますが、このフーテン息子は、結婚しないんじゃないかと思うような子だったので、いきなり結婚すると聞いたときは、ヤッホーと思いました。マジで(笑)

彼が結婚する前、言っておいた言葉があります。

どんなことがあっても、私よりお嫁さんの味方をしなさいよ、と。

今にして思えば、しまった~言わなきゃよかったと思う時もありますが。

撤回はできん。母の意地。

一方、娘とはこういう系の話はほとんどしませんが、別の形で私に刺激や楽しみをくれます。

性格などの基本にあるものが、息子の方が私を引き継いでいることは確かなようですが。

授かりものではありますが、第一子男の子、次は女の子、希望通りに生まれて来てくれて、親にしてくれてありがとう、と心から思います。

新年に自分の気持ちがリセットできた気もします。

 

今日の言葉

トンビが鷹を産む

 

猛禽好きとしては、あの美しいトンビを馬鹿にするな~と思いますが。

親は、安定した大地じゃなくて、揺れ動く海でもいいのかなあ。

ぴ~~ひょろ~♪

去年描いたトンビ。

今年はまだ一枚も描いておらん。

 

長くなりました。これでも短くまとめたつもりです。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

感謝をこめて

つる姫


私の好きなものは笑顔。笑顔は世界を救うと信じるつる姫のブログです。

コメント一覧

つる姫
美子様
カシオペアの丘で、を美子さんに借りて読んでファンになり、そのあと何冊か読みました。
重松さんは、岡山出身でカープファンでもあり、親近感もあります。
カープが初優勝した時に書かれた、赤ヘル1975は、お読みになりましたか?

息子は今年は、仕事に更なる精力を注ぐ覚悟だそうで、そのため自分の気持ちをリセットしたいと思ったようです。
父親として社会人として、元気に頑張ってくれたら、これからは、もろ手を挙げて応援したいと思います。
YoshicoHino
重松さんは10数冊読んでますが「カシオペアの丘で」が記憶に残っています。読むだけで観ないのですが、「とんび」観てみたくなりました。いや、その前にまず読もうかな。
息子さん、また本になさるのでは?
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