これ。
なんでもないボールペンです。
それどころか、海外旅行の帰りの機内で両替の効かないバラ銭使い切るために買っただけの、さしてデザインも良くないものです。
誕生日やクリスマス、ボーナスでもない時に父親がこういったもの買ってくれるのは珍しかったので、「バラ銭の金額以内なら買ってもいい」と言われたのが嬉しく、選んだ結果でした。
姉はディズニー好きで、姉も欲しがりましたが、バラ銭は一本分。
姉は既に成人して嫁入りしていて無職だったことと、私は高校卒業間近で、これから必要になるだろうから、と、私に買ってくれることに。
父親に買ってもらったもので形に残ってるものはこのペンと時計だけ。
誕生日などでは画材などの消耗品頼んでいたのです。
時計はバイト中に傷だらけになってしまったのと、高いものではなかったため、壊れて使い物にならなくなってしまったので、今でも使えるのはこれだけです。
これで学校のメモも取ったし、履歴書も書きました。
でもおりしも就職氷河期で、父親が生きているうちに就職出来なかったのです。
死後しばらくして就職出来ましたが、癌を患っていた父を安心させてあげることが出来ませんでした。
以降、お守りのようにこのボールペンを節目節目で使って行きました。
…が、あまり使用頻度は高くなく、なくすような所へは持っていかなかったし、職場では職場のボールペン使ってたのでインクはずいぶんもちました。
ある日、私用の書類を書こうとしたらインクが切れたのか、書けなくなったので替芯買おうと中身を開けたら
……パーカーって書いてある
仕事でボールペンメーカーについて調べる用事のあった私はビックリ。知ってる。
高いやつだ
これ高いやつ!!
デザインこんなだし、機内販売だし、高かったのはミッキー代で安物で、正直替芯買うまでもないシロモノだとばかり思ってたら!
高いやつ!!
取り敢えず当時はどこで替芯買ったら良いのかわからなくてデパートに持って行きました…
で、怖いから店員さんに取り替えてもらいました…。
替芯800円で、そんなに高い部類のものでもないとは思いますが当時の私にはビックリでした。
今思うと、文房具にこだわるのはこのペンに恥じたくないからかも知れません。
父親がくれた、長く使えるペン。
これに見合う仕事をしたいから。
これに見合うノートで、これに見合った仕事をしたい。
父を安心させてあげられなかったから、このペンを通して私の仕事ぶりが伝わったら良いな、なんて。
今でもお守りのように、仕事の際や大事な書類にはこのペンを使います。
幸い細身なので手帳にもつけられますしね。
父は毎日使うものに関しては国産限定ですが道具に拘るタイプだったので、遺品の箱探ったらもろもろ出てきそうな気が。
今度母親と箱ゴソゴソしてみようと思います。
今の私なら使えるものあるかも。