ポチタマ見聞録

僕たちが、ミニチュアピンシャーのポチとタマです。

あの日

2018年07月17日 11時17分00秒 | 出来事

あの日。
ぼくはただただ好奇心で家を飛び出してしまった。

いつもねんねが散歩で向かう方向は大通りの反対側。
あっちの通りには何があるのか知りたくて仕方がなかったから。

清と2人で思いっきり走ったんだ。
自転車が通り過ぎても気にならないくらい楽しかった。
女の人に吠えたらキャーって叫び声をあげてた。

後ろからにんにの声が聞こえてきたけど無視した。
遠くからねんねも叫んでた。


「定君やめてやめて!」
ねんねがそう叫んだ声が聞こえた途端、ドンってすごい衝撃が来て目の前が真っ暗になった。

気がついたらぼくを囲んでみんなが泣いていた。

「ねえ、どうしたの?ぼくはこっちにいるよ」

そうだ、いたずらしてみんなを笑わせよう。
ねんねがまた「コラー!定春ーー!」って追いかけてくるはずだ。

おもちゃをくわえようとしたのに、全然できない。
何にもさわれないし、うごかすこともできない。
誰もぼくのことに気がつかない。

ぼくはどうしちゃったんだ?

そのとき、後ろから声が聞こえた。
「君はもう死んじゃったんだよ。もうここにはいられないんだ。ぼくと一緒に行こう」

どこかで見た同じ姿のお兄ちゃんに連れられて、ぼくは光の方向へ歩いて行ったんだ。




去年の7月、私は知り合いの方から紹介されてある方にお会いしました。
その方はアニマルコミュニケーターでもなく、占い師というわけでもなく、イタコでもなくなんと分類していいのかうまい表現が見つからない方でした。

その方から聞いたのが、事故当時の定春の状況でした。
やはり定春は突然のことで自分が亡くなったことに気づいていなかったようでした。
途方にくれる定春を迎えにきてくれたのがどうやらポチ君だったようです。

その方には見てもらう人や犬の名前、生年月日、生まれた場所と時間しかお伝えしていませんでしたが、それだけでいろんなことがわかっているようでした。

ずっと気になっていたこと。
定春が死んでわずか4ヶ月で恒春を迎えてしまったことを定春はどう思っているのか。
それに対する答えはこうでした。

「ぼくは今お兄ちゃんと一緒に楽しく暮らしてて、お兄ちゃんはぼくをとってもかわいがってくれてる。だからぼくは恒春を羨ましいとか全然思わない。ぼくは今とっても幸せだから」

そうか、幸せなのか、と思いつつも私はまだその方の言うことを半信半疑で聞いていました。定春の言っている事を伝える時、私のことを「ねんね」ではなく「ママ」と呼んでいたからです。
でも、次の言葉を聞いた時、その方は多分本当に定君の言葉を私に伝えてくれているんだと思えたのです。

「あとね、正直言ってぼくはトレーニングには全然興味なかった。どーでもよかった。
でもね、今ならママの言ってたことがわかるよ。だから次に会うときはぼくはもっといい子になってる」

ああ、定君だ。定君に間違いない。
私は横浜のカフェで目が腫れるまで大泣きして、お岩さんのような顔で家まで帰ってきたのでした。



今日で定君がいなくなって2年です。
もしあのときこうしていれば、ああしておけば…いまだに後悔はつきません。

定君は今でも立派な垂れ耳で薄い褐色の目をした綺麗なお顔で、家の虹の橋組のコーナーで可愛い笑顔を浮かべています。



byねんね


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