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それは、突然にやってきました。
激しい痙攣に、のけ反り喘ぐビー爺さん。
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怖かったです。
とてもとても怖かったです。
死んでしまうのかとパニックに陥りました。
どうしていいかわからず、抱いたままオロオロとするばかりでした。
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今年になってから、ビー爺さんは赤ちゃんになりました。
夜だけだったオムツも、一日中するようになりました。
時々足元がおぼつかなくなり、ポテン・ポテンと転ぶようになりました。
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ところが・・・
ビー爺さんは時々得体のしれない爺さんに変身するのです。
その爺さんは、いつまでも歩き回ります。
ポテン・ポテンと転んでも、起き上がって突き進んでいきます。
クルクルといつまでも同じところを回ります。
どこにでも入って行きます。
狭くて入れないのに行こうとします。
普段なら通れない障害物も乗り越えて行きます。
たとえ、ゴミ箱の中に前足を突っ込んでしまっても、這い上がって乗り越えていきます。
何かにとり憑かれたように突き進んでいきます。
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その爺さんは、缶詰のご飯でさえも認めません。
いつもはガツガツといっぱい食べるのに、これは食べ物じゃないと踏んづけていきます。
大好きなお水の容器の中にも平気でバシャバシャと入っていきます。
濡れても全然平気で前に進みます。
放っておいたら、きっと何時間も歩くでしょう。
Pokoさんが抱っこして止めても、足をばたつかせて宙で歩いています。
Pokoさんはその爺さんを見ているだけでドッと疲れるのでした。
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痙攣が治まってからも、ビー爺さんの様子が変でした。
時々頭を後ろに反らして口をあぐあぐとさせました。
そして、高イビキ。
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普通の息とはあきらかに違う様になりました。
Pokoさんは知っています。
お別れの時はこんな息をすることを。
そのうち、だんだんと死に逝く顔になってきました。
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あぁ、もうビー爺さんは虹の橋の近くまで行ってしまった・・・
とうとう、お別れの時が来た・・・
そう覚悟しました。
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「ビーちゃん、ありがとう」
おにぃも、何回もお礼を言いました。
ビー爺さんが家にやって来た時のことや今までのことが走馬灯のように回りました。
顔を撫でながら、「ああだったね。」「こうだったね。」と、ずっと話しかけました。
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いつの間にかビー爺さんの顔が穏やかになっていることに気がつきました。
そして、何ということだろう!
かすかにモミモミするビー爺さんの手の温もりも感じたんです。
奇跡だと思いました。
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朝になっても、ちゃんと息をしていました。
お水の容器を口に近付けると、ゴクリゴクリと飲みました。
缶詰フードを乗せたスプーンを口に近付けると、ひと口だけ食べました。
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寝たきりになるかも・・・と、覚悟をしていました。
でも、寝たきりのほうが変身爺さんの世話よりずっと楽でした。
食べる割には痩せて悲しいほど軽くなったビー爺さん。
毛布に包んで片手で抱きながら用事をすることができました。
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次の朝、踏ん張りながら自分の力でご飯を食べました。
たくさん食べたら元気が出てきました。(笑)
ゆっくりではあるけど、自分の力で歩くことができました。
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あの日から1週間。
たまに変身爺さんが現れるときがありますが、よぼよぼの変身爺さんです。
やみくもに突き進むことができません。(笑)
ただ困ったことに、よぼよぼ変身爺さんも「これはご飯じゃない!」と固く口を閉じてしまうのです。
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でも、大丈夫です。
変身の術が解けると、ガッついて食べるいつものビー爺さんがいるのですから。(爆)
そして、もうPokoさんは怖くありません。
ビー爺さんにいつお迎えが来てもうろたえない覚悟ができました。
旅立つときは、感謝と笑顔で見送りたいと思います。
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そう言うビー爺さん、今日はお子ちゃま用椅子の中に入れられています。
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さて、さて。
タイトルにもありますが、ビー爺さんは1歳サバをよんでいたようです。
Pokoさんが思い違い(計算間違い?)をしていました。
皆さん、すみませ~ん!
ビー爺さん、もうすぐ19歳になります。
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