この季節になると食べたいものの一つに草もちがある。
子どもの頃には父の車で祖母と親戚と一緒に
少し遠出してよもぎを摘みに行ったものだ。
そのよもぎで親戚がたくさん草もちを作ってくれて、
それがとても美味しくて忘れられないのだが、
祖母も親戚も彼岸の人となり、草もちのレシピは
受け継がれずに今に至る。
失ってからようやく気付く、計り知れない喪失感。
おそらく草もちは、私の中で思い出補正も加わって
ことさら美味しかった記憶だけが残ったのだろう。
市販のものを食べてもやはり何か違う気がして、
うららかな春の陽射しに下手くそな鶯の声が響いていた、
よもぎ摘みの景色だけが今もなお鮮明に残っている。
(5月9日 Sora記)
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