古今和歌集 0901
よのなかに さらぬわかれの なくもがな ちよもとなげく ひとのこのため世の中に さらぬ別れの なくもがな 千代もと嘆く 人の子のため 在原業平 世のなかに
古今和歌集 0884
あかなくに まだきもつきの かくるるか やまのはにげて いれずもあらなむあかなくに まだきも月の 隠るるか 山の端逃げて 入れずもあらなむ...
古今和歌集 0881
ふたつなき ものとおもひしを みなぞこに やまのはならで いづるつきかげ二つなき ものと思ひしを 水底に 山の端ならで 出づる月影...
古今和歌集 0880
かつみれど うとくもあるかな つきかげの いたらぬさとも あらじとおもへばかつ見れど うとくもあるかな 月影の いたらぬ里も あらじと思へば...
古今和歌集 0879
おほかたは つきをもめでじ これぞこの つもればひとの おいとなるものおほかたは 月をもめでじ これぞこの 積もれば人の 老いとなるもの...
古今和歌集 0876
せみのはの よるのころもは うすけれど うつりがこくも にほひぬるかな蝉の羽の 夜の衣は 薄けれど 移り香濃くも にほひぬるかな...
古今和歌集 0874
たまだれの こがめやいづら こよろぎの いそのなみわけ おきにいでにけり玉だれの こがめやいづら こよろぎの 磯の波分け 沖に出でにけり...
古今和歌集 0872
あまつかぜ くものかよひぢ ふきとぢよ をとめのすがた しばしとどめむ天つ風 雲の通ひ路 吹きとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ...
古今和歌集 0871
おほはらや をしほのやまも けふこそは かみよのことも おもひいづらめ大原や 小塩の山も 今日こそは 神代のことも 思ひ出づらめ...
古今和歌集 0868
むらさきの いろこきときは めもはるに のなるくさきぞ わかれざりける紫の 色濃きことは めもはるに 野なる草木ぞ わかれざりける...
古今和歌集 0861
つひにゆく みちとはかねて ききしかど きのうけふとは おもはざりしをつひにゆく 道とはかねて 聞きしかど 昨日今日とは 思はざりしを...