あかなくに まだきもつきの かくるるか やまのはにげて いれずもあらなむ
あかなくに まだきも月の 隠るるか 山の端逃げて 入れずもあらなむ
在原業平
まだ満ち足りないのに、もう月が隠れてしまうのか。山の端よ、そこから逃げて月を入れないでほしい。
詞書には、惟喬親王(これたかのみこ)の狩りに同行して夜酒を飲んでいたが、月が隠れる頃合いに親王も寝室に入ろうとするので詠んだ、とあります。歌だけを見れば、山の向こうに沈んでしまう月を惜しむ歌ですが、詞書を合わせて読むと月は親王の比喩で、酔ってお開きにしようとする親王に対して、まだ飲み足りない語り足りないという業平の心情を吐露した歌ということがわかりますね。
さて、今日から四月。否が応でも「節目」ということを感じさせられる季節ですね。このブログもまた新たな気持ちで続けていきたいと思います。