当旧HP 2001/2/4---2021/4/9 ブログへ掲載
主に霊脳研究1989年10月号、霊脳研究1992年12月号より抜粋
あなたは、今の世の中で出世するためには、学歴とか資格が一番であるとお考えでしょうか。
世間一般に多くの人々はそのように考えているようです。
世間の多くの人々は将来のためと称して低学年の内から名門校に入学できるようにと、学習塾へ通わせたり、家庭教師を招いたりして成績のアップを図ったり、幼児の頃から英才(才能)教育を始めたりと、本人も親も奔走しているのが現状でしょう。
それでは、一流の大学を卒業して、一流の企業や商社へ入社したからといっても、さらに特技を習得してキャリアアップにチャレンジしないことには、他者に遅れるということになるでしょう。
人は個人毎に持って生まれた個性と力量がありますから、才能や器量には当然ながら文学系とか理工系や、商業系、芸術系などのように、適性として個人差がある訳です。
社会制度と生存競争と革命・クーデター・産業スパイ
人というのはどうしても楽をして富や地位を得ようとします。
労少なくして富を得たいと願うのは言ってみれば当然のことかもしれません。
しかし、心の法則によって人が富を得る方法は、決してそのような一見して魔術のような技ではありません。
人間には、先天的と後天的に徳の豊かな人と乏しい人の、2種類に分けることができます。
一般的に現代の物質的な面を重んじる現象界の社会生活では、他者との優劣を比較したくなりますから、必然的に他者との競合が生じてくるものです。
時代が移り変わろうとも勝敗を争うことが度重なる結果として、自然に階級のような制度が出来上がってしまう訳です。
ここで述べている階級は、時の権力者が都合のいいように作ったものとは異なります。
しかし、階級の存在には学問上にも確固たる定説がなく、徳の乏しい下流階級にいる多くの人々はこの階級は一部の少数派が作った偽りで、人為的に出来ているものと誤解しています。
一般に下流階級にいる人は何とかして上流階級に昇りたいものだと躍起になり、自らの徳や力量も省みずに様々な方法を試みるでしょう。
悪賢い人の中には、階級の上部を破壊して自分たちが、それに取って変わればいいだろうと考えます。
そうすると自分たちの境遇も開けて来るのではないかと安易に考える訳です。
かといって上流階級の人は今まで苦労や努力した甲斐があり、やっと手に入れた地位や名誉、財産などを奪われまいと必死に抵抗することとなります。
そのような考え方から、悪賢い世の人々はいつの時代でも過激派などは、武力などによるテロとかゲリラがクーデターを起こして、特権階級の権力を掌中に収めてきました。
しかし、高次元の観点から観れば彼らにそれだけの、人格や徳(霊的なレベル)がなければ、それ以上に智徳のある者が間もなく登場して、階級(地位)を昇っていき代ってしまうものなのです。
歴史的にはフランス革命や帝政ロシア革命などがあります。
これは相手を犠牲にして、自分に利益を得ようとする、利己的な方法です。
そして「奪うものは奪われる」という法則によって、奪い盗って手に入れた権力はやがてなくなるのです。
一方、企業などではライバルが優れた技術とか権利を持っているからといって、産業スパイなどで一方的に攻撃して打破すれば、自分たちのみが企画した商品を独占して、事業が出来ると考えたところで同様に、それ以上に智徳のある者がやがて登場して新技術や新商品を開発して、それに代ってしまうという結果になります。
世界の歴史的な事実を見てもよく解るでしょう。
現代でも、階級の名残りとして一般に上流家庭とか中流家庭とかと呼ばれています。
政治家の人々を見ていると、その特権的な権限を利己心に乱用しているように思えます。
ここに厳しい生存競争というものが表面化してくる訳です。
ところが、このような有り様では国や社会、或いは企業や団体を担うリーダーとして管理職の壮年とか実年の人は、一時も心を休めることも出来ず知らず知らずの内に無理を重ねて、官僚戦士や企業戦士として疲れ切ってしまうことにもなります。
その結果として無理がたたり過労死に至ったり、強いストレスから心身の不調を訴えて健康を害して不自由な生活に陥るようでは、文化的とか快適な生活を営む豊かな人間とは言えないでしょう。
このように皆が幸せのためにとあくせく働くことの動機は、ほとんど利己心が中心になっていますから、全てが物質的とか欲望的であり真理から見れば、不純で邪悪な心に相当するのです。
今の世の中はサバイバルが流行っていますが、何も天災や戦乱による危機などから生き残ることのみを指して言うのではなく、日常の生活で繰り広げられる生存競争から適者生存の地位を得ることも重要でしょう。
真の生存者とは、「ただ単に生き残る者というような浅い意味に留まらず、地上のあらゆる産物の所有者となる」ことを言うのです。
それには先ず真理を知り、自ら体得して実践することから始めないと効果は期待できないでしょう。
諸聖人の教えに基づく法則(真理、倫理、正法)に従って進んで行けば、次第に社会制度の階級(地位)を昇って行き発展することは確実なのです。
今の政治体制は科学的に確立された主義や政策ではなく、模索の実験中なので不完全であり矛盾も歪みもある訳です。
今、世界各国の首脳が一番に欲しい成功の秘訣は、確立された政治の方法ではないでしょうか。
新しい主義や主張に基づき国家も民衆も豊かになり国と国も和解して、手を取り合えるような皆に幸福を得られる政策が必要でしょう。
社会組織の階級(地位・役職)に器量・智徳を活用して昇進する
能力を開発して活用するといっても、世の中の仕組みを知らないと効果的に発揮出来ないものです。
現代の輝かしい文明の基礎となった原動力は、ルネッサンス以後に復興してきたところの「自由、平等、博愛」という思想であり、このような基礎的な精神の運動が起った結果として、今日のような立憲政体や共和政体となり、学問の進歩も宗教の改革も産業の発達も出来て来た訳です。
しかし、これらは当時の反動思想であり、人間の「自己保存の本能」に基づく感情の結果であるのです。
つまり、社会組織の原理を研究して起った科学的な思想の結果ではありませんから、次項のような大きな欠陥を含んでいたのです。
(1)感情主義は、母親などが子供を甘やかして我がままに育てることです。
(2)迎合主義は、何に付け自分の利益を目的とし、事の善悪をほとんど論ぜずに他人の利己心に投じて、狡く生きることです。忖度にしても自らの利己心に基づいて言動します。
(3)極端な物質主義は、(1)と(2)の主義とも結びついて、無意識の内に害毒を社会に垂れ流しています。
私たち人間は誰でもどこかの国に生まれ出て属し、家庭(家族)があり、学校に通い、大多数は官庁とか会社などへ務めに行き仕事をします。
自営業といえども全ての人は何らかの団体・組織の中で生活をしているのですから、私たち一人一人はその団体・組織の規則、風俗、習慣等に拘束されるのは当然でしょう。
私たちの個人はこの団体・組織の、統一された力・ルールのお陰によって生命や財産を保障されているのですから、いかに不便なことがあってもこれに従わなければ、自己の安心と幸福とは得られないのです。
そこで私たちは、自分が属している団体・組織には順応し同化するようにして、自己の持っている智徳・力量を活用して努力することにより、拘束という困難を突破して少しでも自由を伸ばすことが真理でもあります。
組織でも大きくなれば多国籍企業とか自治体とか国家というレベルになります。
ここで自分の心身と立場・境遇が成り立った歴史と原理とを考えずに、ただ訳もなく自由を得ようとすることは、愚かなことであり真理ではないのです。
人間のように高等な動物ほど精神・心遣いの作用が複雑であり、且つ高尚な思考や意識を持っていますから、一般の動物のように単なる弱肉強食というような、下等な生存競争とは自ずから意味が異なるでしょう。
つまり、自己保身や自己保存のために本能に訴えて自分や家族、或いは自分の属する団体・組織やグループなどの利益や生存のみを計ることは、心の法則という作用もあり却って自分の生存を害することになるのです。
私たち人間は先天的と後天的による環境や境遇と徳の分量などの違いによって、各自は皆その徳の分量により運命の境遇として地位や財産に違いが生じて、相違の結果として自然的に人の階級が出来ている訳です。
ですから、人間社会の階級制度の原理を理解して、自己の置かれている今の立場から自らの運命を自覚することも大切でしょう。
つまり、利己的な生き方では誰であろうとも何時か必ず没落する日が来るものです。
本説明はモラロジーより引用しました。
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