現代生活は、三種の神器から始まって以来、身近に電化製品が無くしては暮らしていけない程に電気に依存していますから、厳しい猛暑とか大寒波が到来すれば冷暖房に欠かせないエアコンとか、寒波で電気ストーブ・ホットカーペット・パネルヒーターなどの、大量使用により電力供給の余裕がなくなります。
本当に私たちは電気を必要としない生活は考えられなく、豊かさと贅沢で便利と楽で快適な電気と電化製品があるのが当たり前で、電気とは無縁で暑さや寒さに耐えたり苦労して生きる、難儀な昔のライフスタイルに戻るには無理があります。
それで、電力需給の逼迫が見込まれて大規模停電の恐れが高まった場合、大企業などを対象に「電力使用制限」の発令をすると経済産業省は明らかにしています。
実際に大規模停電が発生すれば、産業は事業や工場の操業とか店舗や商業施設の営業や活動が、休止や閉鎖に追い込まれる事態に余儀なくされて、幅広い経済活動に影響が及ぶ可能性があります。
家庭ではオール電化を進めて切り替えた住宅では、いざ停電が発生すれば食事にも事困る程に大変で、ライフスタイルが一変して何も出来なくなります。
それにより、今は政界も財界もエネルギーシステムの再構築が叫ばれて、様々な取り組みが始まっています
これには、再生型自然エネルギーを利用する分散型の、小規模な発電が必要になりつつあり、一例として身近になった、家庭では太陽光発電の設置はソーラーパネルとマイクロインバーターで、コンセントに差して電力を供給する方法があります。
他には蓄電方法として、ソーラーパネルとソーラー・チャージコントローラーと、大容量バッテリーとDC−AC(100V)の昇圧インバーターの正弦波出力を揃えれば、大半の電化製品を稼働させるだけの電力を供給が可能です。
全国初となる、東京都の新築住宅物件には太陽光発電の設置義務化が決まりましたが、日照時間が重要な事柄でビルなど建物の影に入っては発電は殆ど望めませんから、何でもかんでも設置義務化には無理があります。
太陽光発電からマイクログリッドで商用の送配電網へ送電
2021/11/1「太陽光発電にインバーター付でコンセントに差して電気に変換」で紹介した内の、【コンセントに差して発電】2050ソーラーパネル インバーター付 400wセットで、マイクロインバーターが、発電した電気をその場で家庭用の電気AC100Vに変換し、コンセントに差すだけで電気を使用することが出来ます。
これについて、最近の電力計はスマートメーターの設置・取り替えが進んでおり、当地区(管区)の電力会社の予定では2023年5月頃までに、全ての家庭・事務所などで終わるとあります。
他地区(管区)や他電力会社も同様な状況にあって、今後、数ヶ月以内に全てスマートメーターに取り替えが終わるかと思われます。
このスマートメーターは、流れる電流の方向により夫々に個別で検出が出来るタイプで、しかも、ネットと無線通信(Wi-Fi)による遠隔検針システムで、1時間毎に使用量の計測が出来ると説明があります。
スマートメーター
つまり、商用電力(送配電網)から家庭や事務所などで使用・消費する、電流値・電力値は正方向として検出して積算されます。
反対に太陽光発電などによるパワーコンディショナー(マイクロインバーター)より、商用電力(送配電網)へ送電・供給する電流値・電力値は、逆方向として別々に検出して積算されると説明があります。
さらに、このスマートメーターには電力会社の中央給電司令所より、ネットを通じて遠隔操作で電力回路を遮断する機能も付いており、必要に応じて大地震などで建物の倒壊時には正方向の回路を遮断したり、反対に供給の過剰になって発電供給の制限があれば、逆方向の回路を遮断することも出来ると説明があります。
それで、皆さんが自宅で家庭のコンセントに差して太陽光発電を始められる場合は、地区の電力会社などと売電契約を結ぶ必要があるとも説明があります。
このスマートメーターで1時間毎に計測が行われるのは、電力量に対する需要と供給のバランスが必要であり過不足が起きて不安定となり、需要の大消費で電圧の過低下とか供給の過剰で過電圧が発生して、バランスが崩れて保護装置が動作して、結果的にブラックアウトになり兼ねないからです。
電気は消費と発電が同時に行われるため、これらを常に一致させて需給の過不足を許容範囲内に収める必要があるからです。
1時間毎と言う、短時間のきめ細かい計測で発電し供給する電力量と、消費し需要する電力量の把握から、1日の時間帯に於ける需要と供給の予想・予測が1時間毎に可能となり、許容値を越えた異常な電圧の変動を抑えて電力の安定需給を目指しています。
地区(管区)エリア全体の発電量と消費量のバランスを保つために、発電量を制御することを「出力制御」と言いますが、大規模(10KW以上)な太陽光発電設備に限られます。
太陽光発電+蓄電池のセット
太陽光発電の電力を蓄電してACインバーターで必要な電力を確保
他の方法は、自家消費型の小規模な太陽光の利用による、ソーラーパネルからの発電を大容量のバッテリーを使用して蓄電し、災害時にAC(100V)電源が使えない場合を想定して、家庭や避難場所で生活に必要な電力を確保することが可能です。
それは、手軽な対策として停電に強い家庭用蓄電池式のポータブル電源を使用するとか、独立電源として本格的な運用で常時に稼働させる5〜20KWhの電力量となる、蓄電量に相当する複数個の接続から成るバッテリーの必要な容量を備えます。
そして、その電力量に応じたソーラーパネルの枚数と効率の良いMPPTチャージコントローラーと、DC(バッテリー電圧)−AC(100V)の昇圧インバーターから成る組み合わせた構成で、各種の電化製品を稼働させるだけの必要な電力を供給します。
AC出力用の昇圧インバーター(波形出力は正弦波)は、入力電圧が公表値24Vか48Vで容量2000W程度が必要となり、使用する電化製品の消費電力に応じてAC出力インバーターは複数を使用して稼働させます。
アマゾンや楽天で出品し販売している中国製のAC出力インバーターは、AC出力電圧が110Vと日本の電圧事情より高めで難があり、電力会社の仕様では108Vが高い方の許容範囲だそうで、それより低い電圧が望ましいでしょう。
それらを組み合わせて構成する蓄電・発電システムの一式を、丈夫なラックなどに載せて纏めることが必要でしょう。
ソーラーパネルの出力電力値
ソーラーパネルの設置に関しては、日当たりの良い場所と日照時間の長さから主に屋根など高所とか見晴らしの良い空き地が多くて、高所作業では高所に苦手や恐怖症の人には無理があり、人に頼む必要があります。
アパートやマンションなどの場合は、南側にあるベランダなどへソーラーパネルを立て掛けるなどして、発電を得ることが出来ます。
天候が厚い曇りや雨とか雪の日がある事を考慮して、ソーラーパネルの出力電力値は例えば5KWhの蓄電量で、何枚かの組み合わせで仕様1.2〜1.6KW程度かそれ以上は必要となります。
ですから例えば、24Vシステムでは公表値の出力動作電圧18Vと、出力動作電流11.1Aで出力電力200Wが直並列各2枚×2組、或いは48Vシステムでは同様に200Wが直列4枚×2組を確保する必要となります。
ソーラーパネルの設置は占める面積に対して発電量を考慮すれば、1枚当たり仕様の出力電力100Wより200Wの方が良いかもしれませんが、アマゾンや楽天で出品し販売している中国製の物は、出力電力に最大1割程のばらつきがあり特に夏場は低下したり、不具合が出やすい様です。
米国や日本のブランド品ソーラーパネルも各種ありますが、同じ発電量でも分厚く(枠)て重量が少し重い事が難点で、出力動作電圧もパワーコン用向けなのか高くなります。
参考までに、1954年に初めて実用化された太陽電池は、僅か2%という低いエネルギー変換効率に留まっていました。
私は子供の頃に、子供の科学雑誌に京都セラミック(現京セラ)製の、丸く小さい(直径3Cm程?)太陽電池が売られていましたから、購入して見ましたが出力電圧は0.5V程?だったかで、出力電流は僅かでしたから、豆球は点かず遊び用で実用化には無理でした。
ソーラーパネルの組み合わせた各接続で、効率の良いMPPTチャージコントローラーへ所定の出力動作電圧を36Vか72Vを得ますが、気温は約25℃と快晴時の理想的な昼頃で入射角も理想的の値90°ですから、実際の使用には効率が落ちて少なくなり春の晴れで昼頃でも出力電力は70%有れば良いでしょう。
参考、太陽光の追尾油圧システムにより、移動する太陽を追いかけ、パネルの向きが自動的に変わる。固定式のパネルに比べ発電効率は約2倍に。
横浜市の月極駐車場に土地所有者が設置した太陽光パネル/太陽光追尾油圧システム
但し、発電と蓄電に関しては天候は晴天か薄曇りが毎日続くことが条件になり、厚く暗い曇りや雨とか雪では発電が望めなく、ソーラーパネルに数センチの積雪があれば日差しがあっても発電は望めません。
ですから、常時に稼働させる場合は発電が望めない1日分(昼夜)に必要な電力量を確保するには、バッテリーを増やして蓄電量を増強する必要があり、使用率は1日当たり50%以内にすることが望ましいでしょう。
積雪の事を考慮すればソーラーパネルの角度を高めにして、日本では日時計と同じ35度と言われますが、冬には45〜60度程にすれば雪は滑りやすくなり積雪を抑えられます。
ソーラーパネルから電力を出力する電線は、出力動作電圧18Vで出力電力200Wの直列であれば、小判コードVCTF 2線芯 2sq(9mΩ/1m)許容電流17Aもあれば十分で、同2枚を並列に接続して出力を得るには、絶縁電線KIV 1線芯 3.5sq(5.2mΩ/1m)許容電流35Aにする必要があります。
さらに、並列に接続して出力を得るには、IV 1線芯 5.5sq(AWG10)も必要でしょう。
予算を安価に仕上げるには、ソーラーパネルの出力電力200Wの直列から小判コードVCTF 2線芯 2sqを2本並行させて通し、夫々個々にチャージコントローラーへ接続する方法で、ソーラーパネルの元で並列に接続するのではなく、チャージコントローラーの手前か入力端子で並列に接続します。
sq=mm²=銅線の断面積
出力するMC4 コネクターはアマゾンで販売している各社の製品にばらつきがあり、一部のメーカーでは仕様・規格に微妙なサイズの違いが見受けられ、中にはコネクター金属部分の径が僅かに異なり他社製とは接続出来ない製品もあり、説明の図面(寸法)を確認する必要があります。
尚、ソーラーパネルから電力を出力する電線は屋根とか空き地などからの場合は、日光や風雨などから電線の劣化とか建造物などに触れて損傷などを保護する為に、室外の露出部分はPF管に通します。
続く