まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

旧亜細亜ホテル、中華民国外交部

2019-09-01 21:50:07 | 建物・まちなみ
3月の台湾の旅の続き。

ボレロボレロ本店のめくるめく昭和世界の興奮冷めやらぬまま、迪化街に戻りそのまま北門駅の方まで南下。

5軒分の間口を誇るこちらのビルディング、すべての柱に白無地の小口タイルを貼ったとてもモダンな風貌。
白無地小口タイルは台湾では大正中期~戦前の建物に見られる。


大千百貨という名前が残っていたので百貨店だったのだろう。調べてみると大手百貨自体は光復後に開業しているが、
建物は元々「亜細亜ホテル」として日本統治時代の1927年に建てられ、1928(昭和3)年に開業していると
いうから時代はちょうど合う。
当時の他ホテルよりもかなり安い料金で泊まれるきれいな宿として人気を博したらしいが、1931年の経済不況に
よりわずか3年で廃業。大千百貨となるまでの間の詳細は分かっていないとか。。。


1960年に入った大千百貨は従業員300人抱え、台北で初めてエスカレーターを設置した大デパートだったが
1990年に廃業し、その後建物が修復されたようだ。見たところシャッターが閉まっており使われている気配は
しなかったが・・・空き家なのだろうか。


きれいなグリーンの角丸建築を発見!壁のレリーフといい窓枠のカラーリングといい、センスが光るね!
大千百貨の建物もリノベーションしてこんな風にステキに活用されればいいんだけど。。。今後に期待したいな!



もう日が暮れるがタクシーで華山文創園区へ移動、ちょっと買い物を(笑)


そして前回見ていた、元樟脳工場の紅磚六合院のレストランをもう一度偵察。前回は営業時間前で、床に貼られた
カラフルなセメントタイル(もしくは象嵌タイル)をガラス越しに見ていたのだった。今日はもう開いていた。
どうやら雑貨も売っているようなので食事をしなくても入れそうだ。


おぉ。。。カラフル。シンガポールやマレーシアでは床材の主流となっているこういったタイルをランダムに
貼るのが台湾でも流行っているのか、お店などで時々目にするのだが、ここは床いちめんに貼り詰められていて圧巻。




まるで尾張戸神社みたいだな(笑)


近くにあったこの建物も古そうだ。


ここも工場の一部だったのだろうか?


あぁ今日は台北城内から西門町、龍山寺、萬華、そして迪化街、大稲埕、最後にここと、長い台北の一日だった。
何度も来ている台北だが、まだまだいくらでも見るところがある。見れば見るほど面白いまちだ。



その翌日は朝から念願の台北賓館と、リベンジの総統府の見学に。気合を入れすぎて(?)ちょっと早く来て
しまったので、また周辺の建物を見ながら時間をつぶすか。。
アーチの回廊のあるこの建物は何?台湾大学医学人文博物館らしい。1913(大正2)年竣工。


ずいぶん昔に見たような気がするがうろ覚え(汗)


これは台北城の東門(景福門)。日本統治時代に、台北城を取り囲んでいた城壁が取り壊されて三線道路が作られたが、
門は残された。この東門は元の姿は北門のようなシンプルな形だったのが、光復後の改修ではほとんど建て替えられて今のような
形になったとか。確かに全然違う(汗)。なんで変えてしまったのだろうか。。。


おおっ、このカッコイイのは何!?台北駅舎にも通ずる上広がりなフォルム。1階から4階まで揃ったスリット窓、
ラジエーターのような最上階。どことなく台湾らしさをかもし出すモダニズム建築。台湾の光復後のビルもほんとに
カッコイイものが多いなぁ!


これは地図で見ると、中華民国外交部のようだ。
ちょっと調べてみたところ、この建物の設計者は、昨年満100歳で亡くなった王大閎という建築家。
王氏は西洋建築の教育を受けた初代の華人建築家で、その創作スタイルから「永遠の建築詩人」と呼ばれているそうだ。
北京生まれで上海と蘇州育ち。欧米で建築を学んだあと1952年に台湾に移住。
他には国父記念館や、国立台湾大学の第一学生活動センター、学者の林語堂氏の旧居などを設計し、戦後の
台湾の都市美化に貢献したとして数々の賞を受けている。


王氏は「中国の伝統建築の様式、並びに空間の美学を西洋の現代建築と結びつけるか」を常に考えていたというから
この建築から台湾らしさが漂ってくるのも計算されたことだったのだ。


台湾の光復後の建築物の設計者について、これまで全く知らなかったが、こういう偉大な建築家がいたのだなぁ!
中華民国文化部ではここ数年、台湾におけるモダニズム建築への考察も進めているといい、今後台湾の建築の歴史を
まとめていくとのこと。近いうちに台湾の建築についての大々的な展示が開催されるといいなぁ!
その時には是非とも日本語の解説もつけてくれることを願う!


続く

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