まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

辻商店 最後の見学会2

2019-07-13 23:14:50 | ディテール
辻商店の続き。

おや、2階へ上る階段が何か面白いことになっているな!?


踊り場から階段が左右二手に分かれているのはよくあるが、平行に並んでしかも別々のところへ行き着く階段と
いうのは見たことがないような気がする。
左側の階段は通りに面した部屋につながり、右側は2階の階段ホールにつながる。表側の部屋は階段ホールと
同じレベルにあるのに、直接つながっていない。独立したアプローチをもつこの部屋は、主人の書斎だったの
だろうか、寝室だったのだろうか。


さて2階ホールへ上がり部屋を見ていこう。暗い次の間から続いて書院も備わる明るい座敷があった。


松林の透かし彫りの欄間。




この書院がとっても素敵!


左右に勢いよく伸びた竹、上のは朝顔モチーフかな!?


この部屋の広縁は寄せ木床の洋風廊下で、窓は縦長の腰高窓である。外からは洋館に見える建物だが
中には和室があったのだ。


ところでこの衝立が面白い。ミニチュアのお札のようなものが張り合わされ冨士山の絵となっている。
これは何!?よく見ると「取引高税印紙」と書かれていた。使用済み印紙のリサイクルアートか!
ちょっと検索してみると、「取引高税」は、税率1%の国税として1948年から課税されたが失敗し、
たった1年4ヶ月で廃止されたとか。それにしてもすごい枚数だな!老舗の辻商店が乗り越えてきた
時代の波の記憶だ。


この鳳凰はどこにあったんだっけな?(汗)




廊下の奥には裏の階段があった。こちらは2階まで。


表の階段へ戻り3階へ上る。


するとこちらの踊り場にも何か変わった仕掛けが!?足元に四角い穴が空いているのだ。
あとから聞けば、これは階段ホールからの光を奥の部屋へ届けるための明かり採りの窓とのこと。なるほど。


3階のホールから、さらに上へ上る階段があった。屋根裏部屋へ上れるというが、狭いので人数制限がかかっていて、
さっき上って行った3人の兄ちゃんたちが一向に降りてこない。。。


先に3階の部屋を見ておくか。上の部屋はアルミサッシが入っているな。


チラッと覗かせてもらったルーフバルコニーはタイル敷きだった。


この八角形タイルは建築当初からのものに違いない。


兄ちゃんたちがようやく降りてきたので、いざ屋根裏へ。細く急な階段で危ない危ない・・・(汗)


おぉ・・・これは!屋根の勾配がそのまま表れた三角形の空間。Lアングルで組まれたトラス材が斜めに配され
いちばん奥に小さな窓が。半端ない秘密基地感にワクワク!!


今治ラヂウム温泉の天井裏の部屋を思い出した!あそこはもっと広くて明るかったが、そっくりじゃない!?
あちらは1923(大正12)年とか。


窓はこんな回転窓。


そして3階から上ってくる階段はこんな風に四角い穴になっていて、手すりも何もないので真っ暗の中だと
落ちてしまいそう(怖)。しかしこの簡素な造りがいいのだ。面白いなぁ~~
そりゃ~さっきの兄ちゃんたちもなかなか降りてこないわけだわ(笑)


あぁ、ほぼ隅から隅まで見ることができておなかいっぱい!しかしそれはもう解体が決まっているからであって
喜んでいいことではないのだが・・・人知れず姿を消す建物も多い中、最後にこのような機会を作って下さった
所有者や関係者の方々に感謝したい。建物も最後に多くの人々に見てもらって喜んでいるに違いない。



後日、仕事の途中で近くを通りかかったら、防音シートがかけられていた。あぁついに。。。
辻商店の陶製看板やテラコッタの一部は、うまく外すことができれば保存されるということだった。
建築陶材は建物などの一部として使われている状態こそが最も美しい、というのが私の考えであるが、、
こうなってしまったら、ごく一部のパーツだけでも、この建物の存在の証として後世に残ればいいなぁ。。。

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