日本時間で24日に発表された来年のグラミー賞ノミネート作品。
思うところはたくさんありましたが、なるべく冷静にレビュー&採点します。
なお、例えば「2021年のグラミー」と書いたらそれは2021年(上旬)に授賞式が行われたグラミー賞のことを指し、
今回新しくノミネーションが発表された方のことではないことに注意してください。
また、「2021年のグラミー」は、主に2020年にヒットした作品によるものです。
ノミネーション全部書くのは面倒なので…、参考までに
2022 GRAMMYs Awards: Complete Nominations List
(↑グラミー賞オフィシャルサイト。多少見にくいですが信用性は100%)
まず、主要部門のノミネート枠、また増えたんですね!2019年のグラミー賞で元の5枠から8枠に増えましたが、今回さらに2つ増えて10枠になっていました。知らなかった…。それを加味すると、8枠で作っていた予想テストの採点が実質的にちょっとおかしくなってしまうような気がしますが、とりあえず33点でした。前回から9点も上昇!遊びとはいえ、一応他者の予想などを見ずに自分で考えたので嬉しいです。
主要部門
年間最優秀レコード
- ABBA / I Still Have Faith In You
- Olivia Rodrigo / drivers license
- Justin Bieber feat. Giveon & Daniel Caesar / Peaches
- Jon Batiste / Freedom
- Silk Sonic / Leave The Door Open
- Tony Bennett & Lady Gaga / I Get A Kick Out Of You
- Doja Cat feat. SZA / Kiss Me More
- Billie Eilish / Happier Than Ever
- Brandi Carlile / Right On Time
- Lil Nas X / Montero ( Call Me By Your Name )
まさかのアバがグラミー初ノミネート!!グラミー初というのも意外ですが、アバが選ばれるとは!グラミー賞にノミネートされたことのない大物としてザ・フーやクイーンが有名ですが、アバは40年ぶりの復帰でそこから抜け出したということですね。それと Jon Batiste (ジョン・バティステ)さん、今回最多ノミネートとなっていますが、…誰?毎年主要部門に知らない人が何人かノミネートされますが、今回はその知らない人が最多ノミネート、と…。曲のタイトルから抗議ソングのようなイメージが湧きますが、確かに最近は抗議ソングのノミネート & 受賞が多いので、そういうことかなと推測してます。あとはトニー・ベネット&レディー・ガガですかねー。まあ10枠に増えたとはいえ、グラミー賞はこの2人が好きだな~と思います。5枠でこれが入っていたら、さすがに良くないと思いますが。
採点感想:ビリーは Happier Than Ever だった!選曲ミス!いわれてみれば Therefore I Am よりそっちだったな~と納得できます。それから、全体的にビリーを過小評価していました。うーん…グラミーに強い人だと分かっていたのに、予想で控えめにしてしまったのがちょっとだけ悔しいです。先述のお三方とブランディ・カーライルは当てられないタイプのノミネートだったので、ビリーでしっかり点を稼ぐべきだった…。(正答:4/8)
年間最優秀アルバム
- Olivia Rodrigo / Sour
- Kanye West / Donda
- Justin Bieber / Justice
- Jon Batiste / We Are
- Taylor Swift / Evermore
- Tony Bennett & Lady Gaga / Love For Sale
- Doja Cat / Planet Her
- H.E.R. / Back Of My Mind
- Billie Eilish / Happier Than Ever
- Lil Nas X / Montero
予想では完全に無視していましたが、カニエ・ウェストが入りましたね。自身の作品で主要部門のノミネーションを得るのはおそらく10年ぶりです。そもそも主要以外の部門でもここのところノミネートが少なかったようですね。ここはけっこう当たりましたが、モーガン・ウォーレンは無視!! 予想テストの際にこれを抜きにアルバム賞を競うのかと言いましたが、とにかく残念です。批判に慎重になるのは分かりますが、チャートの結果から妥当だという意見も多いと思うので、(受賞の可能性が低くても)入れてもいいのではないかと思っています。
採点感想:テイラーは再録版『フィアレス』を選考委員会に提出してなかったんですね。ということは、最近リリースされた再録版第2弾も来年提出しないのかな?ともかく『エヴァ―モア』が当たってよかったですし、インディー系2作が連続でノミネートされたことは非常にすごいことだと思います。あとは、他のアワードで大活躍していたジャスティン・ビーバーにもう少し注目すべきだったなー…と思ったくらいですね。(正答:5/8)
年間最優秀楽曲
- Alicia Keys feat. Brandi Carlile / A Beautiful Noise
- Ed Sheeran / Bad Habits
- Olivia Rodrigo / drivers license
- Justin Bieber feat. Giveon & Daniel Caesar / Peaches
- Silk Sonic / Leave The Door Open
- Doja Cat feat. SZA / Kiss Me More
- H.E.R. / Fight For You
- Billie Eilish / Happier Than Ever
- Brandi Carlile / Right On Time
- Lil Nas X / Montero ( Call Me By Your Name )
10枠に拡大されましたが、同じアーティストの複数ノミネートが目立ちますね。ここまででオリヴィア・ロドリゴ、ジャスティン・ビーバー、ド―ジャ・キャット、ビリー・アイリッシュ、リル・ナズ・Xの5人が主要3部門にノミネートしており、このうち最優秀新人賞にノミネートされる権利があるオリヴィア・ロドリゴはそれにもノミネートされているので、主要部門すべてでノミネーションを得ています。アリシア・キーズやH.E.R.などチャートで見ない曲もいくつか見受けられますが、こういうのも趣があって全然いいと思ってます。10枠が大ヒット曲ばかりではつまらないですしね。
最優秀新人
- Arlo Parks
- Arooj Aftab
- Olivia Rodrigo
- The Kid Laroi
- Glass Animals
- Saweetie
- Jimmy Allen
- Japanese Breakfast
- FINNEAS
- Baby Keem
案の定知らない人は何人かいますが、まずグラス・アニマルズは新人ではない!!! 本人たちはノミネート自体名誉なので嬉しい反応をするでしょうが、明らかに新人ではないです。2014年にデビューし、2016年に出したセカンド・アルバムでは既にUS, UK, オーストラリアのアルバム・チャートでTop40入りしています。こういうところは納得できないというか、よく分からないですね。本当に。そのほか、過去の活躍からグラミー・スターとでもいうべきビリー・アイリッシュとケンドリック・ラマ―の身内がそれぞれ選出されています。フィニアスはビリーの兄、ベイビー・キームはラマ―のいとこでしたね。フィニアスさんはビリーの Happier Than Ever を彼女と共作したので、間接的なものも含め主要部門すべてでノミネートされているということのようです。…ここらへんのシステムも詳しくないのですが。
採点感想:サウィーティーを忘れていた!2019年にブレイクして以降未だにデビュー・アルバムを出していない方ですが、確かに今年の波は高かったと思います。また、詳しくは忘れましたがアーロ・パークスはイギリスのアワードでも新人賞候補になっていた人です。UK新人勢では他にもセレステなどがいたわけで、そこを考えておくべきでした。(正答:2/8)
ポップ部門
(コメント)
> ザ・キッド・ラロイのノミネートは先ほどの最優秀新人賞のみで、これはかなり意外でした。主要部門からこぼれたとしてもポップやラップ部門でいくつか拾われるだろうと思っていたからです。まあでも新人賞へのノミネート自体名誉だから、それで十分なのかも。
> コールドプレイがポップ部門に復活!BTSとの My Universe でくるかと思いきや Higher Power の方でした。グラミー賞常連の彼らですが、6thアルバム『ゴースト・ストーリーズ』(2014) 以降はロックではなくポップ部門にノミネートされ続けています。自分としてはジャンル分けが何であれ、作品ごとのノミネートが続いてくれれば嬉しいですね。
> マルーン5は予想通り遂に落選。不平を言うなら Memories を落とした今年2021年のグラミーでしょう…。Memories は名曲だし、一応候補になっていたと思われる今年のヒット Beautiful Mistakes feat. ミーガン・ジー・スタリオン も最高だったんだけどなあ…。
> ド―ジャ・キャットの『プラネット・ハー』はポップ・アルバムに部類分け!また、ロック界から主要部門で複数ノミネートを得たブランディ・カーライルの曲もポップ分けでした。...と、その前にブランディさんに関してはジャンル分けが難しく、ジャンル分けすべきではないという声があるということも承知しておりますが、私はジャンルをはっきりさせたがる古いタイプの人間なので、そこはご容赦ください…。一応、過去のグラミーで取り上げられた曲は聴いてます。
正答:ポップ・ソロ・パフォーマンス→2/5、ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス→2/6、ポップ・ボーカル・アルバム→4/5
採点感想:デュオ/グループではコールドプレイとジャスティン・ビーバーの選曲をミス!ジャスティン・ビーバーは最新シングル Ghost を除く『ジャスティス』からのシングル5曲のうち3曲がノミネートされましたが、自分が推した Holy は外れました…。それでもアルバム賞では安定の高い正答率を出せて安心です。比較的全体の正答数もいい方なので、33点のうちここがけっこう効いたのかなと思います。いつか5枠パーフェクトが出せるといいな…。
ロック部門
> AC/DCとフー・ファイターズがほぼ主役!!奇跡の復活を果たしたAC/DCが高く評価されてよかったというか、おめでたいですね~。 一方フーファイはグラミー賞常連で、今回もノミネートは当たり前だという人はたくさんいそうです。再度になりますが、お二方ともコングラッチュレーション!!
> デフトーンズ…?と思いましたが、記録を振り返ってみたらロックが売れないUSアルバム・チャートで最新作『オームズ』(2020)がTop5入りしていました!メタル系音楽には疎いのですが、最新作のチャート的結果だけでもノミネートは納得です!
> キングス・オブ・レオンがグラミーに復帰!!最後が2014年のグラミーなので8年ぶりの快挙になりますね(2014年のグラミーのノミネートが発表されたのは2013年なので)。過去に年間最優秀レコード賞を受賞したバンドだけあって、そう早々とグラミーから遠ざかることにはならなかったようです。ノミネートされた新作『ホウェン・ユー・シー・ユアセルフ』(2021)からの先行シングル、The Bandit は最初から最後までかっこいい最高のロック・チューン!!
> KOLの復帰も嬉しかったですが、一番はやはり予想テストでも希望していたウィーザーの All My Favorite Songs のノミネートです!!いや~、今回のグラミーで一番嬉しいかも。総合チャートには現れなかったややニッチなヒットだったから、というのもありますね。グラミーはちゃんと見ていてくれた。ウィーザー自体はノミネートの常連ですが、実は曲でのノミネートはグラミー2006の Beverly Hills 以来です。
正答:ロック・パフォーマンス→0/5、ロック・アルバム→2/5、オルタナティブ・ミュージック・アルバム→0/5
採点感想:散々嬉しさを爆発させておきながら点数は最悪です。 特にオルタナティブ・アルバムでは若手のオルタナ女子を3人予想しましたが、実際ノミネートされたのはその3人ではなくホールジーとセイント・ヴィンセントだったので全滅でした。ただまあ、主役のAC/DCとフー・ファイターズだけは当たったのでそれはよかったかな~…って感じです。
カントリー部門
> まず、ルーク・コムズがやっとノミネートされました!!おめでとうございます!!2019年のグラミーで一度最優秀新人賞にはノミネートされましたが、その時もそれ以降も自身の作品でカントリー部門にノミネートされたことはありませんでした。…これだけ人気なのに!
↓ルークの過去のグラミー賞ノミネート歴です(2020年はブルックス&ダンの曲のゲストとして)。
2019, Best New Artist
2020, Best Country Duo / Group Performance "Brand New Man"
2022, Best Country Solo Performance "Forever After All"
これまでで受賞ゼロということからも過小評価されているといえるルーク、名曲 Forever After All でぜひとも初受賞してほしいですね。
> そして最初の方でも触れましたが、モーガン・ウォーレンのゼロノミネート。グラミー賞のカントリー部門はベテランや伝統的なカントリー音楽を奏でる歌手が選出されることが多いので、失言事件だけが要因ではないと考えています。その他にケイン・ブラウンやギャビー・バレットも落選しましたが、若手で、かつ他のジャンルにもアプローチしているアーティストはおそらく当選しにくいのでしょう。
> そんな中ウォーカー・ヘイズの Fancy Like がノミネートされたことは意外中の意外でした。ウォーカー・ヘイズは若手で、Fancy Like もTikTokでダンス動画が流行ったような他ジャンル融合的カントリー・ソングだからです。激戦になっていたであろう最優秀カントリー・ソング賞でノミネートを勝ち取ったことには、何か意味があるのかも…!?
> 最優秀新人賞のジミー・アレンやここのミッキー・ガイトンは人種差別問題に配慮してのことでしょうか。それだけの理由で選ばれたとしたら嬉しくないと思うので、それ以外にしっかり音楽的な理由があったということを祈ります。
正答:カントリー・ソロ・パフォーマンス→1/5、カントリー・デュオ/グループ・パフォーマンス→2/5、カントリー・アルバム→1/5
採点感想:とりあえずクリス・ステイプルトンが当たって安心…。ケイシー・マスグレイヴスに関しては少し誤解していて、ニュー・アルバム『スター・クロスト』自体はカントリーにカテゴライズされないけど、カントリーの要素が強い収録曲のノミネートはOKということでした。まあ、自分がその中で聴いていたのはポップ色濃いめの Justified だけだったので、どっちみち予想を当てるのは無理でしたが。それにしても、ケイシー・マスグレイヴスはこれでデビューから4作連続のノミネートになるので、すごいことですよね。
R&B部門
> ニッチなブレイク・アーティストとして挙げたSnoh Aalegra(スノー・アレグラ) が本当にノミネート!しかもシングル・アルバム両方でです。今年は目立った女性R&Bアーティストのデビューがありませんでしたが、これを機に更なるブレイクが望めますね。とにかく、おめでとうございます!(予想した自分にも…)
> 全体的に総合チャートで大ヒットした曲のノミネート率が高い!グラミー賞とヒット・チャートが大きく乖離していない、いい結果になりました。…あ、自分にとって、です。シザやギヴィオンもフィーチャリングとしてだけでなく、自身の作品でも無事に選考されてよかったです。
> 残念ながらザ・ウィークエンドはグラミー賞をボイコットしてしまったので、当然今回はR&B部門でもゼロノミネートですが、ラップ部門ではカニエ・ウェストの曲へのゲスト参加でノミネートされてしまいましたね。カニエのその曲が受賞した場合、彼はトロフィーは受け取らないと思いますがちょっと複雑な気持ちになるのかも…。
正答:R&B・パフォーマンス→1/5、R&B・ソング→4/5、プログレッシブ・R&B・アルバム→0/5
2種類のアルバム賞で予想に選ぶ方を間違えた…。「R&B・アルバム賞」ではよりメインストリームの、「プログレッシブ・R&B・アルバム賞」ではより専門的なアルバムを選考するようで、前者を予想の対象として選ぶべきでした。でも、「R&B・ソング賞」ではメインストリーム・ヒットを狙ったことが大当たりで、R&B部門初の4/5!ナイス、自分。
ラップ部門
> 大きなラップ・ヒットが少なかった今年、グラミー2022のラップ部門の中心はカニエ・ウェスト、J.コール、ドレイクといずれも全米チャートで大量初登場アクションを起こした人になりました。全体的にここは既得権益が多いですね。ゲスト参加のラッパー以外では、初ノミネートはベイビー・キームとサウィーティーくらい?
> メロディック・ラップ・パフォーマンス賞にド―ジャ・キャットの Need To Know がノミネートされたのには納得しました。この賞はラップとR&B音楽が偏り過ぎない割合でうまく交ざっている曲に贈られるもので、Need To Know はまさにそんな音楽のヒットだからです。去年この賞が名称を変えて再定義されましたが、そういう賞かと具体的に理解できました。
> 今回もチャートでの成績がいい若手ラッパーがかなり落選してしまいましたね。そもそもそういうラッパーの全体数が多いので仕方がないといえば仕方がないのですが…。例えば24K・ゴールデンやプー・シャイエスティなどの落選を考えると、グラミー賞はシビアだな~と思ってしまいます。
正答:ラップ・パフォーマンス→1/5、メロディック・ラップ・パフォーマンス→1/5、ラップ・アルバム→1/5
採点感想:ラップ・アルバム賞の予想でベテラン枠が一定数あると予想し、キッド・カディの『Man On The Moon Ⅲ : The Chosen』(2020) を書きましたが外れました。ベテラン枠は2年連続でアルバムをリリースし、見事2年連続ノミネートされたナズでしたね。さすがラップ・キング。 少し悔しいところがあるとすれば、主要部門の最優秀アルバム賞でタイラー・ザ・クリエイターの『コール・ミー・イフ・ユー・ゲット・ロスト』(2021) を予想したのですが、こちらではしなかったことで、結果『コール・ミー…』は主要部門にはノミネートされず、こちらでノミネートされました。惜しい!…いや、それが当たっていたところでここの正答数は少ないままですが。