2年前にリーグオブレジェンドのアニメのサントラ "Enemy"(イマジン・ドラゴンズとのコラボ)で有名になり、
その勢いで自身の曲 "Surround Sound" とアルバム『ザ・フォーエヴァー・ストーリー』も少し盛り上がったが、
大ブレイクとまではいかず、しかも短命に終わってしまっていたラッパー J.I.D. が、
今になってその両方が再評価され、チャートを上昇している。🔝
ラッパーのアクションとしてはなかなか珍しいので、ケンドリック・ラマー似(だと思う)のスタイル含め注目しておきたい。
(...適当に書きたくなった話が2つあるので、2つに分けて書きます!!)
タイトル1:「新人アーティストについて思ったこと」
チャートを観察し続けて何年か経ちましたが、私は自分が見ているときにブレイクしてメジャー・デビューした人が、その後もずっと人気であり続けるのを見るのが好きです。もちろん前から売れているアーティストがヒット作を出し続けるのを見るのもいいですが、やはり最初を知っている人の方が親近感を持ってチャート・アクションを楽しむことができ、人気の持続を応援したくなります。そこで、いったんここで新人アーティストについて、スターとして残った人はどのくらいいるのか整理してみました。分母・分子ともに直感的で、明確な基準なしに挙げていく感じですが、一個人の感想として流し読みしてくだされば幸いです。例のごとくジャンル別に思ったことを言っていくつもりで、期間は2017~2023年です。
①ポップ・ミュージック
→ 男性アーティストの生き残りがいない!!全米チャートでメジャー・デビューを果たした該当者は過去7年間で15人ぐらいいるのですが、曖昧に言って生き残っている人がほとんどいないです。2022~2023年登場の人は第2章がまだなので除外するにしても、多くの人が1発屋で終わってしまっている感じ。ギリ、コナン・グレイが続いているかな...といったイメージです、大スターの規模ではないけれど。正直、2019年にルイス・キャパルディが "Someone You Loved" で全米1位を獲得する大ブレイクを果たしたときは、ようやく男性アーティストの方でも大型が出たか...と感じてましたが、彼ですら去年のセカンド・アルバムで大失速してしまっています(UKやアイルランドでは変わらず最前線で売れていますが)。もちろん女性アーティストの方もそうだとは思うのですが、2発目以降も売れさせた人の数を比べてみると女性の方が確かに多い(少なくとも5人はいる)ので、こちらは特に厳しい門なんだな、と思いました。ちなみに、あくまで個人の予想ですがスターとしての地位を確立した男性ポップ・アーティストで、最も新しい人はチャーリー・プースではないでしょうか。それも2015年なので、約10年前の話です。そう考えると、この市場はやばいな...と思わざるを得ません。😖
②カントリー・ミュージック
→ 一方でこちらは、その真逆かもしれません。2017年以降、ルーク・コムズやブレット・ヤング、ジョーダン・デイヴィスなどたくさんの男性カントリー・シンガーがメインストリームに新たに定着していっています。羅列してみて、10人はいますね。逆に女性は片方の手で数えられるくらいしか残っていないので、厳しいなと感じます。そもそも新人として売れた人の数(分母)が違っていて、女性カントリー・シンガーは1年に1人出てきたらすごいな、というレベル。本当に限られた人しか世に出ていけてなくて、しかもそのうち半分は1発で終わってしまうという、とても厳しい世界です。だからこそ、グラミー賞はその数少ない芽を大事にするべきで、これまでだとメーガン・モロニーやギャビー・バレットを無視するべきではなかったと思いました。😔
③R&B
→ ポップスとR&Bは他のジャンルと比べても、かなり男女比がちょうどいいバランスになっているジャンルだと思います。新人に関しても、男女どちらかが極端に多いということはなく、どちらも過去7年間で10名以上がメジャー・デビューできていました。...なのに、R&Bは現在まで多大な人気が続いている男性歌手が女性歌手よりも全然少ない!女性の方は少なくとも2020年までは、年に1人は後の時代でも活躍を続けるようなニュー・スターが出ていたのですが、男性の方はその期間だとカリードとJojiくらいしかいないのではないでしょうか。しかも、カリードは早くも、もはや時代の人となりつつあります。シザやH.E.R.、サマー・ウォーカーとチャートを永く大きく賑わせる女性R&Bシンガーが次々と出てきた一方で、男性R&Bシンガーは3年前期待の新人としてもてはやされていたギヴィオンでさえそのポジションは危うい状況。2016年にブレイクしたトーリー・レインズは炎上などの悪い要因も含めて今まで売れ続けてきてますが、もっと健全に売れ続けられる人はでてこないのでしょうか...。😓
④ヒップホップ
→ ヒップホップに関しては、性別よりも年ごとのデータが気になりました。セカンド・アルバム以降も大成功している人、2017~2018年登場組にめちゃくちゃ多いです。ブームが全盛期だったというのもありますが、一気に才能あるラッパーたちが出てきた感じで、リル・ウージー・ヴァートや21サヴェージ、ア・ブギー・ウィット・ダ・フディなど数えればきりがありません。2019年以降はだんだん減って、だけどリル・ナズ・Xなどインパクトの強いラッパーもしっかり残していて、改めてすごい時代だったなと思いました。なお、ヒップホップはまだまだ男性優位の市場ですが、このブームをきっかけに女性ラッパーのデビューもかなり珍しくなくなったと思われます。ニッキー・ミナージュ1強!というイメージの10年代前半に比べると、最近はより多くの女性ラッパーが天下を取ろうとする争いに参加できていて、これは普通にいいことだなと思いました。😌
売れる人はごくわずかとはよく言いますが、その「ごくわずか」にもいろいろと特徴があったみたいです。何気なく新人歌手を並べてみて、思いついたことでした。
タイトル2:「アジア勢の躍進について思ったこと」
K-Popアーティストの躍進がすごい!というのをまず書きたいです。チャートを見て、最初は「ふ~ん」としか思っていなかった勢力が、ここまで大きくなるとは思っていませんでした。ついでに、今日たまたまXGという日本のグループについて知ることがあったので、日本勢についても何か書きたくなりました。こちらも適当に書いていきます。
韓国のK-Pop音楽ですが、自分がチャートを見始めた頃は英語圏ではまだまだ影が薄かった印象です。BTSがちょうど全米アルバム・チャートでTop10入りし始めて、先駆者になり始めていましたが、他はなかなか上がってきていませんでしたね。以前K-Popアーティストのアルバム・チャートにおける成績をまとめてみようと思って、グラフを作っていたので貼り付けておきます。
K-Popアルバムで、各年全米アルバム・チャートにTop10入りしたアルバムの枚数です。過去2年で急増していることが明白ですね。2017~2019年は本当にBTSくらいでしたが、徐々にBLACKPINK、NCT127等も英語圏でも売れるアイドルとして加わって、2020年は合計7作です。2020年はBTSの "Dynamite" がK-Popグループとして史上初の全米1位を記録して、K-Pop音楽にとっては転機となるような年でしたね。洋楽の他ジャンルとのコラボも多くありました。...ただ、率直に申し上げて、2022年からの急増はこの波とは違うと思います。あまり具体的に言うとかえって説得力がないですが、2021年で一旦はBTSやBLACKPINKが引っ張ったブームが落ち着いて、海外デビュー・ラッシュも落ち着いたのではないでしょうか。TOMORROW × TOGETHER や TWICE が米国でも頭角を現してきましたが、それでも全体的には控えめだったような結果です。なので、2022年からのブームは独立で、それまで力を貯めていたグループが一気に全力で出てきたのが2022年なのかもしれません。とにかく、数えきれないほどのグループが成功して、さすがに「ふ~ん」では済ませられなくなってきました。シングルがヒットすると(私が)入りやすいので、NewJeans みたいにシングルのヒットも多いアーティストが出てきてほしいです。
※なお、濃い紫で示した Certified というのは5、6週以上チャートに留まり続けたことでロングヒット性も保証されたアルバムのことで、勝手に自分が作った基準で判断していてしかも2023年は未完成なので詳しくは気にしないでください。
最後に、日本から世界デビューを目指すアーティストについて。これはもう、アニメやゲームが好きだという自分の性格・好みでしかないのですが、アニメ・ソングや映画の主題歌が外国のチャートを賑わす構図が一番嬉しいですね。もちろん海外の市場に合わせることもとても重要だと思うのですが、そういった曲は根本的に日本のアイデンティティが強い曲である割合が高いと思うので、ヒットしたらそれは日本のサブカル文化も外国でウケてるということになるかもしれなくて、それは素直に嬉しいです。アニメ・ソングに関してはすでに何曲かがグローバル・チャートで成功していますが、英語圏ではまだまだなので、もうひと押し。うまくいったらその流れで、ボカロ曲などもちょっと流行るかもしれません。それも面白そうです。決して世界標準に合わせた形でブレイクすることを嫌うわけではないですが、できればそういう形のヒットも生まれてほしいなと思って、最後ちょっと綴らせていただきました。雑でしたが、読んでくださった方、ありがとうございました。🌐