これは児童書か?
表紙を見て一瞬そう思ったけれど、
いやいや、この分厚さは・・・
時間がかかりそう😰
*
戦況が悪化していく昭和18年頃、
山岡悌子は東京の小金井で代用教員をしていたが、戦時下の軍国教育に疑問を抱いている。
空襲で教え子を亡くすという辛い経験もした。
この作品はフィクションですが、戦時中の苦しい生活や空襲などは実際にあったことなので、
どんどん引き込まれていきます。
食糧難で野草を摘んで食べるところで、題名のカタバミが登場。
「ほら、見てー。」
『シロツメクサね。四ツ葉はあった?』
「それ、似てるけど違うのよ。」
「カタバミ、っていってね。葉っぱがハート形なの。
ちょっと酸味があって、この時季にはおいしくいただけるのよ」
そう、左がカタバミ、シロツメクサ(クローバー)は右です。
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女性の生き方もままならない戦後の混乱と高度成長期の中、
よんどころない事情で家族を持つことになった悌子…。
フィクションとは言え、実話のような心打たれる内容。
血の繋がらない親子を描く、笑いと涙のホームドラマです。
あとがきも解説もなくて、何故カタバミなのか?と思いながら読み進むうち、
カタバミの花言葉が出てきます。
『母の優しさ』『輝く心』
なるほど・・・やっと腑に落ちました。
この著者の文章は、言い回しが何とも言えず味があって面白いので、
他の作品も読んでみたくなりました。