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イタリア出張
2000/6/20
2年間の関連会社出向で、あまり役に立たないのがわかり、また愛媛工場に戻ってきた。
運よく、新しい起業があり、イタリアの某社と技術提携することになった。英語でのやり取りのため、先方との窓口担当をまかされ、イタリア出張の機会が回ってきた。
(成田空港にて)
3年ぶりに成田空港にやってきた。旅なれたつもりで、出発の1時間半前にやってきたところ、チケットカウンターは長蛇の列。 これでは30分で手続きできるかどうか?? 急に不安になってきたところ、ビジネスクラスのカウンターを見つけると、こちらは人が少なく、難なく手続きできた。
日本人は豊かになったものだ。 ビジネスクラスは、料金が高いぶん待遇がいいが、こちらは会社の費用で出かけるのだから、大きな顔はできない。
航空券を手に入れたので、ラウンジに入る前に、目の前の東京三菱銀行でイタリア・リラに両替することにした。 現地到着が夜の10時過ぎるので、たぶん現地の銀行は閉まっているだろう。 10年ぐらい前、大阪の伊丹空港から韓国に出張するとき、両替をしようとして「現地の通貨は、ここでは扱っていません。」と断られた経験があるので、今や世界中の通貨が日本で両替できるのは驚きだ。
お土産、チップ用に20000円両替した。 予め、数日前にインターネットでレートを調べておいたので、380000リラ程度もらえるものと思っていたら、300000リラしか戻ってこない。 念の為レートを聞くと、1円が15.4リラ。 予想よりあまりにも悪い。 気になって、あとで当日のレートを調べると、同じ東京三菱銀行の発表で18.6リラ/円となっている。 どうも差額は手数料らしい。 20000円の両替で4000円もピンはねするとは、あまりにもひどい。 その後、ベニスで、レートが悪いとされるホテルでも18リラ/円であり、街の両替は18.6リラ/円になっていた。 悔やんでもあとのまつり。 2度と日本の銀行は信用しない。(と、前にも何度も思ったはずなのに…。)
(JL405の旅)
11時20分、気を取り直してともかく出発。 ビジネスクラスなんてシンガポール赴任以来だ。 会社も少し景気が良くなってきたのかな。 これからパリまで12時間あまり、日本語、英語そしてフランス語でアナウンスがある。 さすが、フランス行きだ。それにしても、JALのスチュワーデス、フランス語は原稿の棒読みか、非常に聞きづらい。
離陸してすぐ、飲み物のサービスがあり、ビールを飲みながら1本目の映画を見ていたら、すぐに昼食サービスが始まった。 ビールを飲んだ後なので、フルコースの前菜で腹一杯になり、ナプキンを片付けたら、メインディッシュのステーキがやってきた。 あわててもういちどフォークをもらい、なんとか平らげた。
飛行機は沈む太陽と競争しながら西に向かうので、いつまでたっても日が沈まない。 昼食後は昼寝の時間なのか、窓のブラインドを閉めて、機内灯も消えて真っ暗になった。 1本目の映画が終わった頃、ビールの酔いもさめてきた。しかし、日本時間の真っ昼間に眠たくなんかならない。 一応仕事で来ているのだからと、書類に目を通し、次に2本目の映画に取りかかった。
映画が終わった頃、軽食タイムになったが、座ったままなので腹はすかない。軽くおにぎりですませた。さきほどから、通路を隔てた前のひとが、ずっとゲームをやっている。 隣の人は、パソコンを取り出して、なにやらパワーポイントでプレゼンテーションの準備をしている。日本人のビジネスマンは勤勉だ。 ゲームなどほとんどやったことがないが、暇つぶしにトライしてみる。 ……完全にはまってしまった。 テトリス、オセロ、トランプ、チェス、その他ほとんど試してみた。 オセロ以外勝てるゲームがない。なかなか難しい。
気がつけば、時計は日本時間の夜10時ごろ、あと2時間程度で到着だ。今度は、夜食を持ってきた。 やはり食欲がわかないので、日本食をたのむと、これがウナギご飯。なかなかうまい。ゲームをしながら食事をして、片付けが終わった頃、パリのシャルル・ドゴール空港に近づいてきた。外は一面の平原、フランスは広い。時計を7時間おくらせて、午後4時45分に到着した。
12時間半のフライトも、食事3回、映画2本、ビール飲み放題でゲームに夢中になっているうちに終わってしまった。 普段の寮の休日より、よっぽど充実している。 残念ながら風呂はないけれど。
(シャルル・ドゴール空港にて)
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トランジットで、ベニスに出発するまで、まだ3時間あまりある。 とりあえず、エグゼクティブ・ラウンジを探そうと、空港に降り立ったら、…暑い!! 緯度は北海道より北だと言うのに、とにかく暑い。 今回、初めてのヨーロッパなので、平均気温を事前調査して、半袖シャツなど持ってきていない。 ガラス張りで近代的に設計された空港は、光だけでなく、熱まで取りこんでいるようだ。
今回の出張は4人で来たので、ラウンジ探しは一番若いT君が自主的にやってくれる。すべて手荷物にしたので、移動が大変だ。 一応英語は通じるが、場所がわからず右往左往。
やっとラウンジに落ち着けたので、今のうちに、免税店で女房に頼まれた香水を買うことにした。さすがフランス、何でも揃っている様だ。 しかし、あまり縁がない香水売り場、結局店員に教えてもらうことにした。フランスの黒人女性が非常に親切に教えてくれた。 ヨーロッパはユーロ圏内なので、両替済みのイタリア・リラで支払ったら、おつりはフランス・フランで、コインでくれた。これは、娘のコレクションの土産にちょうどいい。
トイレに行ってみた。便座に座ると足が10cmも浮いてしまった。まったく、フランス人は足が長い。(日本人の足が短いのか??)
出発が遅れている。 出発時間の8時半になっても、まだ搭乗が始まらない。外はまだ明るく、夕日の影が長い。やっと乗ったエアバスのビジネスシートは、普通座席の3人掛けの中央をつぶして2人掛けにしただけの簡単な作り。アナウンスは、フランス語、イタリア語、そして英語と続く。イタリア語の響きがいい。 40分遅れの出発だが、外が明るいのに ”Good evening, ladies and gentleman." は、何かおかしな感じがする。 9時10分、いまだ陽が落ちない、明るい空港を出発した。
離陸したら、また夕食。さすがフランス、飲み物はシャンペンのサービス。今日は朝から5食目だ。朝7時に起きて、もう21時間経っている。そろそろ頭がしびれてきた。1時間半でベニスに到着、到着直前の機上から夜のベニスが光に包まれて浮き上がっている。長かった1日が終わった。
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(To be continued)
(一口メモ)
高山正之さんのコラムによると、フランスのトイレの位置が高いのは、国民の身長によるものではなく、単なる見栄っ張りの国民性によるとのこと。
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