TBSでこの2日3日に放送された『里見八犬伝』、どんなものになるのか不安でしたが、思ったより面白かったです。
戦争のシーン等、風景が日本じゃないなあ、と思っていたら、中国でロケした部分もかなりあるんですね。
八犬士に旬の若い役者さんたちを揃えて、テレビドラマとしてはけっこうな予算をかけて作ってあったし、危惧したほどチープな感じになっていなくてほっとしました。どうせなら前後編だけじゃなく、1クールとは言わないけど5夜連続くらいにしてくれたら良かったのに、と思いました。
つまり「もっと観たい」と思わせたことは、それなりに成功したと言えるんじゃないでしょうか。
実は、原作は子供向きのダイジェスト本くらいしか読んだことがないのですが(オリジナルは昔トライして挫折…)、それでも「あの人」「このキャラクター」が画面の上で活躍してくれるのは嬉しいです。
ただ腑に落ちないのは、犬の八房(やつふさ)が出ないこと。そりゃいろいろマズイかも知れないけど、肝心の部分だし、せっかくの戌年企画なんだから…と思いました。
ところで、むかーし昔のNHK人形劇『新八犬伝』が大好きだった私、登場人物の名前を、いちいち「玉梓が怨霊」「さもしい浪人網干左母二郎」などと二つ名前で呼んでしまうんですね。
そういう脇キャラにベテランや実力派を揃え、またその人たちが、重要な役もちょっとしか出ない役でも、また善人役も悪役も喜々として演じているのが良かったです。
珍しく悪役の武田鉄矢、いつも思うのですが、本人に過剰な思い入れがない役だとうまいなあと思えます。渡辺いっけいさんとか佐野史郎さんとかは「いつもの」感じで、それはそれで楽しかったですよ。
「戦争」に対するスタンスが、これこそが現代の日本における「政治的に正しい」表現なんだろうな、というのが見えてしまって、やや興ざめでしたが、それでも、義実公の長塚京三がその空々しさを或る程度救ってくれた思います。
善悪それぞれの中心的存在である伏姫と玉梓に、仲間由紀恵と菅野美穂というキャスティングも良かったです。もっとも菅野さん、近頃は「演技派」と言うより「怪優」の域に達しつつあるようで…いえ、好きですけど。
犬士たちでは、女優さんが演じるってどうなんだ?もしかして女犬士設定なのか?と心配だった毛野役の山田優さんが、ちゃんと「男」のままで、しかも思いの外凛々しくて良かったです。でも、タッキーの信乃さんは、うっかり「九郎殿」とか言ってしまいそうで困りました…ご本人のせいばかりではないけれど。