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映画・舞台の感想や俳優さん情報等。基本各種メディア込みのレ・ミゼラブル廃。近頃は「ただの日記」多し。

『リンガーズ』~旅の仲間たちの軌跡~

2006-02-23 13:23:07 | 指輪物語・ホビット・トールキン
リンガーズ ~ロード・オブ・ザ・ファンズ~

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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ちょっと前に購入しました。
世界最大の『指輪物語(The Lord of the Rings)』ファンサイト、The One Ring.net のスタッフたちが中心になって制作したドキュメタリー。
映画史に残る大作、それ自体が一つの現象とも言うべきブームを巻き起こした映画『ロード・オブ・ザ・リング』三部作とそのファンたちの姿を点景のように捉えながら、原作『指輪物語』の(特にアメリカに於ける)受容史、ファン層の変遷を考察しています。
ナレーターはホビットのメリアドクことドミニク・モナハン。発音明瞭にしてけっこう渋い声がいいですねえ。
但しこのディスク、PCで再生すると強制的にCC英語字幕が出て来ますのでご注意を。

自分もけっこう歳くった原作ファンなので、たとえば日本版のあとがきにも見られるように、この物語がヒッピー世代やフラワー・チルドレンなどと呼ばれる人たちの間で大ブームを巻き起こしたことや、「ガンダルフを大統領に!」などというスローガンのことは聞いていましたが、実際の映像でそれを見たり、その世代に属してムーブメントを支えた人たちのインタビューを聞いたりすることができて、感慨を新たにしました。
アラゴルン役ヴィゴ・モーテンセンのインタビューもあり、それを見ると、彼は思想的にもライフ・スタイルも、その流れを汲んだ人なんだろうなあと、改めて気づきました。この役に決まるまで原作を読んだことはなかったそうですが、やはり何か共感できることがあってこその演技だったのではないでしょうか。
そして、トールキンがナーヴァスになっていた、この物語を何かの「寓意」と捉えることの危険性をも、彼や映画の作り手たちは身を以て経験したということが判って興味深かったです。

ブライアン・シブレー等による書誌学的考察も簡潔でわかり易いものでしたし、フォレスト・J・アッカーマンが出て来たり、『スター・トレック』ファンとしては、レナード・ニモイがミスター・スポック姿のままで歌うビルボの歌に仰天したり、SF(いわゆる「剣と魔法」のファンタジーを含む)方面からの受け入れられ方の一端も伺えました。
驚いたのが、各界のファンたちがインタビューに応じて語る中にデイヴィッド・キャラダインがいたことです。
昔からの熱心なファンということで、そんなに好きなら映画にも出てもらえば良かったのに、と思ったりしましたが(でも何の役で?)、彼の場合は「原作を愛するからこそ出ない」という選択だったのかも知れませんね。まあ想像の域の話ですが。

思えば映画三部作は、それが作られ毎年一作ずつ公開されたこと自体が世紀の大イベントだった訳ですが、ファンダムの様子や、映画だけでなく原作にも新しく若いファンが増えている状況等を見ると、このお祭り…いえ、旅はまだまだ続く、続いてほしいと思います。

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