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今の時期に相応しい映画と言ったら、最近ではこれでしょうか。
日本ではなぜか「バレンタイン公開」になってしまったけれど、これはやはりクリスマスシーズンに観たい映画です。
周知の通り英国オールスターズによる、オムニバスと言うよりグランドホテル形式の映画ですが、数多い登場人物それぞれのエピソードを、ぎくしゃくした所や違和感なくスムーズに見せてくれる脚本の手腕はかなりのものだと思います。
誰かを好きになった時の戸惑いやためらい、そして幸福感は、一国の首相でも小学生でも変わらない、ということがしみじみと伝わって来ます。
でも私は、お互い好意を抱き合って、お節介な上司も後押ししてくれて、タイミングも合っていながら、どうしてもうまく行かないサラ(ローラ・リニー)とカール(ロドリゴ・サントロ)とか、親友の妻となった女性(キーラ・ナイトレイ)へ想いを寄せるマーク(アンドリュー・リンカーン)とかの、ちょっと切ないエピソードが好きだったりします。
余談ですが、このサントロくんが、"300"ではクセルクセス大王になるんですよね。改めて観ると、大王がこんな可愛くていいのか!?と思っちゃいますよ。
ハッピーな方では、アレな映画を撮っていながら本人たちは天然にシャイで清らかなお二人さんも可愛かったけど、何と言っても作家のジェイミー(コリン・ファース)とポルトガル女性のエピソードですね。
「好き」な気持は、時間も言葉も国籍も年齢もこれまでの生活も、すべてを超えて行ける、ということが端的に現れていて。
ハリー(アラン・リックマン)とカレン(エマ・トンプソン)夫妻の話とかサラのこととか、リアリティあるエピソードを散りばめてバランスを取りつつ、全体として「夢」ある話にまとめてくれているのは、他でもない英国首相その人(ヒュー・グラント)だったと思います。はじめ「え?」と思ったけど、絶妙のキャスティングですよ。
それにしても、ヒュー・グラントの英国首相に、ビリー・ボブ・ソーントンの合衆国大統領って…どういう世界だ!
もう一人、芯になっているキャラクターが、起死回生を賭けるロックシンガー、ビリー(ビル・ナイ)。彼と長年連れ添ったマネージャーとのエピソードもいいですね。
この映画のテーマを端的に言葉にしてくれるのが、それまで下品な言葉ばかり口にして来た彼だというのも実にいい。
そう言えば、彼絡みでちょっと名前の出てくるエルトン・ジョンは男性パートナーと結婚したそうで、おめでとうございます。
この映画にもゲイカップルが出ても良かったと思うけど、やはり扱いが難しかったかな?ハッピーでもアンハッピーな結末でも、映画と関係ない所で何かしらの批判を受けそうで。
「外」の世界のことを言えば、実はオープニングナレーションでも触れられていますが、これも「ポスト9.11」の映画、なんですよね。
それを思うとなおさら、出て来る人たちみんなが愛おしく、心がほんわかと暖かくなる映画です。
他にコリン・ファースが必死にポルトガル語を習うところなども、私が旦那とデートし始めた当時を思い出して、人事ではありませんでした。(笑)
私もあそこはBGMの「青春の光と影」との相乗効果もあって、いいシーンだと思いましたが。
本当に国民性の違いって面白いです。
でも、あの映画ってけっこう「アメリカ」を皮肉ってますよね。記者会見で首相が啖呵を切る所とか、ミルウォーキーに行く彼のエピソードとか。