昨日こちらのエントリーで、映画界に於けるヒュー・ジャックマンのミュージカル的足跡を記そうと思ったのですが、時間も気力も不足して、2009年アカデミー賞授賞式の話だけで終わってしまいました。
というわけで、本日は2012年の映画『レ・ミゼラブル』関連の話です。
ヒューがミュージカル『レ・ミゼラブル』映画化作品に出演するという噂が本格化したのが2011年6月頃。「噂」だけならそれ以前からあったとおぼろげに記憶しております。同月末には出演決定との報が出て、その他のキャスティングについても次々に決定していきました。エポニーヌ役がサマンサ・バークスに決まったと報じられたのは年が明けての2012年2月にはいってから。撮影開始が3月で公開が同年12月ですから、けっこうな急ピッチで完成に漕ぎ着けたことになります。
ともあれ、公開された映画は元々の舞台作品の人気もあり大ヒット。レミゼ好きが多い日本でも、2013年の帝劇公演との相乗効果で、異例なほどのロングラン上映となりました。
映画『レ・ミゼラブル』は2012〜13の各映画賞にもノミネートされ、ヒュー・ジャックマンはゴールデングローブ賞ミュージカル&コメディ部門で主演男優賞を受賞しました。
そして第85回アカデミー賞では作品賞はじめ7部門でノミネート。アン・ハサウェイの助演女優賞など3部門で受賞しました。ヒュー・ジャックマンも主演男優賞にノミネートされています。ヒューにとっては初ノミネートでした。
そしてその授賞式に於いて、主な出演者また英米の舞台から大集合したアンサンブル・キャストによるパフォーマンスも話題を呼びました。ちなみにこの時のアンサンブルには、舞台25周年記念コンサートのアンジョルラス役で人気を呼び、後にトロントそしてブロードウェイ公演でもジャン・バルジャンに抜擢された人気舞台俳優ラミン・カリムルーも加わっていました。
その時の模様と当時の自分の興奮ぶりは、当ブログの下記エントリーをご覧ください──って、昨日も全く同じ文章を書きましたね 長くブログを続けていると、自分の書いた過去記事も資料として使えて助かります。
ワン・デイ・モア! in ハリウッド~ヒュー・ジャックマンの勝利
「ヒュー・ジャックマンの勝利」って、すごいタイトルですねえ でも、当時の自分としてはそういう気持ちでした。
動画は You Tube ではなくニコニコ動画より。画面に流れるコメントが鬱陶しかったら非表示にすることも可能です。
自分のツイートからこういうものも。ヒューとラミンのツーショットです。
#ヒュー・ジャックマン と #ラミン・カリムルー と言えば2013年アカデミー賞授賞式パフォーマンスのこれも当時話題にw リハーサル風景とあわせてどうぞ。 pic.twitter.com/5422J9NjJ4
— レイチェル@ショーマン最高 (@Rachel2012R) 2016年11月2日
当ブログでも繰り返し書いてきましたが、映画『レ・ミゼラブル』に於いてジャン・バルジャンを演じることは、「ミュージカル俳優」ヒュー・ジャックマンにとって、またファンにとっても「満を持して」という感がありました。年老いてからの演技に若干苦しい部分はありましたが、仮釈放直後の荒んだ雰囲気、マドレーヌ市長となってからの優しさや聖人ぶり、コゼットへの父性愛、また鹿島茂先生の論にもある「元祖スーパーヒーロー」な雰囲気まで、申し分のないバルジャンだったと思います。
上でリンクした自記事で、わたしはこんな文章を書きました。
「さて、ここで改めてこのパフォーマンスの意味するところを考えてみます。
ヒュー・ジャックマンは『X-MEN』シリーズ出演以前に、まずオーストラリアの舞台ミュージカル俳優として活躍した後、ウェストエンドの『オクラホマ!』でスターとなった人であり、ハリウッドデビュー後ブロードウェイに進出して『The Boy From Oz』でトニー賞を受賞。3年連続のホスト役も話題を呼びました。
ヒュー・ジャックマンとはそういう人です。
つまり彼は『レ・ミゼラブル』という一つの映画作品の主演俳優としてのみ(もちろんそれも意義あることですが)、あのパフォーマンスを見せたのではないと思います。
ハリウッドの中心でブロードウェイ、そしてウェストエンドを背負って、ヒュー・ジャックマンはあのステージの中央に立っていたのです。
オスカー像を手にすることはなかったけれど、皆と共に「ワン・デイ・モア」を歌い終えたあの時こそまさに、「ミュージカルスター」ヒュー・ジャックマンが勝利した瞬間だった。私はそう思います。」
我ながら肩に力のはいった文章だと思いますが、当時としてはこのことはいくらでも強調しておきたかったのです。今も気持ちはこの時と変わっていません。
そして、このパフォーマンスこそが、映画の世界に於ける「ミュージカルスター」ヒュー・ジャックマンの集大成だと、当時は思っていました。『グレイテスト・ショーマン』を観るまでは。
実は本日、立川シネマシティの「極音上映」で『グレイテスト・ショーマン』4回目を観て来ました。
『レ・ミゼラブル』のことを考えていたせいか、「This Is Me」が「ワン・デイ・モア」の三角行進みたいだな(「バリケード」という言葉もあるし)とか、ならレティはアンジョルラスか?と思ったりしましたが、この作品への思いも稿を改めてまだまだ語りたいと思います。