バットマン フォーエヴァーワーナー・ホーム・ビデオこのアイテムの詳細を見る |
レンタルDVDで鑑賞。クリストファー・ノーラン監督以前の『バットマン』シリーズでは、これだけ観ていなかった作品です。もっとも、この後の『Mr.フリーズ』もTVで観ただけですが……
ティム・バートン監督の2作品に比べて評判の悪いジョエル・シューマッカー版ですが、言われるほどひどくはないと思いました。バットマン=ブルース(ヴァル・キルマー)が、ゴッサムの悪と戦うだけでなく、自らの内なる「闇」と戦う苦悩も描かれているし、ロビン=ディック(クリス・オドネル)との出会い方も納得できます。家族を失い、トゥーフェイスへの復讐に燃えるディックに、そのことの虚しさを説き、闇に囚われないよう諭すブルースには、不覚にも(?)胸打たれました。
子供の時からの強迫観念=蝙蝠の姿で悪に立ち向かおうとしたブルースの動機はノーラン版にも踏襲されているし、E・ニグマの「あの装置」、と言うかその使い方を発展させたのが『ダークナイト』の「あれ」かも知れません。
では、何がいけないかと言うと……ヴィラン二人のあまりにも(悪い意味で)「マンガ的」な描かれ方や演技が……
それでも、リドラー=エドワード・ニグマことジム・キャリーは、キモイながらも役を自分のものとしていますが、トミー・リー・ジョーンズのトゥーフェイスは浮きまくっています。『ノーカントリー』や『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』の素晴らしい彼とは大違い。原作ファンからは、コイントスを何回もやり直す姿も「そんなのトゥーフェイスじゃない!」と不評だったみたいですね。『フォーエヴァー』を観た最大の理由が「トゥーフェイスが出ている」ことだったので残念でした。
あと、これってヒロインがニコール・キッドマンだったんですね。バットマンの「ファン」であり、精神科医としてブルースにも接したりしますが、全体を見れば「お飾り」っぽかったです。
また、トゥーフェイスの情婦の一人としてドリュー・バリモアが出ていたことにも驚きました。
でもまあ、様々な不満もアルフレッドさん(マイケル・ガフ)がいれば許せる気持ちになってしまいます。監督は変わっても演じる人が変わっても、やはりイイですねー。
オープニングからして、出動して行くバットマンに言う台詞が「ブルース様、サンドウィッチをお持ち下さい」ですもん(笑)。「ドライブスルーで買う」という坊ちゃまの返しもナイスだ!
掃除洗濯料理、メカ関係から各種乗り物のメンテまで何でもこなし、ロビンのコスチュームまで作ってくれる最強執事さん。一家に一人ほしいですね。
バットケイブを荒らされ、本人も負傷したブルースに、アルフレッドさんが「坊ちゃま(Young master)」と呼びかけ、ブルースが「そう呼ばれるのは久しぶりだ」と答えるシーンも良かったです。
それにしても、ここで「地下に秘密の部屋を持つ仮面の男」が主人公の映画を作ったがために、後の『オペラ座の怪人』映画化がシューマッカーに回って来たのかな、とちょっと思いました。
また、この作品も『Mr.フリーズ』も製作はティム・バートンになっていますが、どの程度関わっていたんでしょう?そして、最後の方、アーカム病院のシーンで出て来るボサボサ頭の怪しいお医者さんの役名は「ドクター・バートン」なのでした(笑)。