一寸の兎にも五分の魂~展覧会おぼえがき

美術展のおぼえがきと関連情報をすこしばかり。

「芸の真髄 成田屋」と「女流義太夫演奏会」に行ってきました

2013-08-21 | 義太夫三味線
国立劇場で開催された「成田屋」と「女流義太夫演奏会」に行ってきました。


(会場ではくろごちゃんぬいぐるみも売ってました)

「成田屋」は何より、海老蔵の一生懸命さが光ってました。

「春興鑑獅子」の弥生はちょっと荒っぽいところもあるのですが、それもまあ家風でもあり、本人のキャラともいえ、獅子の跳ねるところのダイナミックさ、体のきれはやはり、さすがの迫力。

「助六」の素踊りも、やはりあれだけ姿かたちが整っているとどんな決めのポーズもきまるので、動きそのものが多少荒くても帳消しできちゃいますねぇ…。

「えびかい」のときもそうでしたが、とにかく一生懸命な印象が強い海老蔵でした。

ぼたんさんが踊る「道行恋苧環」は、呂勢大夫さんと清治さんをはじめ、文楽の太夫、三味線がしっとりと趣深く義太夫をつとめられました。

ふだんの公演とは違って、今回はあくまで主役が踊りということもあるのか、いつもよりちょっと控えめな印象。

ぼたんさんのお三輪と尾上紫さんの橘姫はやはりさすがの愛らしさ。女方や人形とはまた違う、生の女性の色気も感じられ、新鮮でした。

今回の義太夫メンバーの半数は三谷文楽の出演者。長い東京公演のあと引き続きで、お疲れ様でございました。

そのあいまをぬって、演芸場で開かれた「女流義太夫演奏会」の「桂川連理柵」へ。

六角堂の段、帯屋の段、道行朧桂川と、面白いところが一度に聞けます。

四十歳近くの男が、今で言えば中学生の隣家の少女に恋をしかけられて、うっかりのってしまう男も男。

賢く美しい妻や家族も巻き込んで、右往左往したあげく、娘と心中するというお話。

これもまた、女の執念に近い恋心が語られます。

基本、ライバルが存在していることがわかったとたんに萎えるへなちょこな私にはよくわからない世界…。

でも、娘に横恋慕するでっち君のチャリ場(滑稽な場面)もあり、さまざまな人間描写もおもしろく、個人的には好きな演目です。

「女流義太夫」は素浄瑠璃なので、人形や役者がないぶん、語りと三味線に集中できて、これはまた聞き応えがあります。

女性が語るとかえって男性がより凛々しかったりするのも面白いので、ぜひ一度聴いてみていただきたいです。

「道行朧桂川」は、改めて聴くときれいな曲で、やむにやまれぬ事情で心中することになった長右衛門の苦悩と、覚悟を決めた少女お半の感情に沿って、盛り上がっていきます。

鶴澤寛也先生はじめ、息がぴったりあった三味線で、一音一音に聞き惚れました。

というわけで、急遽、2つの公演を満喫させていただきました。

急なご用で切符を譲っていただき、ありがとうございました。
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