地味で小粒だけど味わい深い映画です。
偏屈な老漁師 忠男(仲代達矢)が孫の春(徳永えり)と
親族を訪ね歩く旅を描いた映画。
仲代さん始め、大滝秀治など出演者は名優揃い。
これだけでも観る価値有りカモ、な映画です。
映画の冒頭のワンシーンがチラシになっているのですが、
そのチラシの忠男と春の形相がもの凄いのにまずびっくり。
どんな映画なんだ…と思いながら始まったその冒頭のシーン、
怒って家を出る忠男とそれを追いかける春。
やっぱり2人ともモノ凄い形相です。
その訳は旅の途中で段々明らかになっていくのですが、
冒頭のシーン自体はセリフが一切無いので、
観ている方は不安になりかけます。
(それが監督の狙いかもしれません。)
忠男自身が元々偏屈で自己中心的なところがあるという設定ですが、
老人ならではの「わがまま」さが、
さりげなく、そして巧みに表現されているな、と感じました。
老いた兄弟達がそれぞれ抱えている事情や忠男自身の問題から
浮き彫りになる「老い」を否応無しに突きつけられ、衝撃を受けます。
こんな静かな映画のどこにこんなパワーが…やられました。
「生きる」ことについても深く考えさせられる映画です。
あの後、春はどう生きていくのだろう。
気になって仕方がありません。
<印象に残ったシーン>
・姉(淡島千景)に怒られている忠男の表情(超カワイイ…)。
・数年ぶりに娘の春に会った父親(香川照之)の表情(微妙な表情の変化に感心)。
・ガニマタで走る春(この走り方だけで純朴さが表現されていて微笑ましい)。
・忠男と春が慣れない都会のホテルに泊まった際に、
2人の靴が部屋のドアの前の廊下に揃えて置いてある所
(かわいい…)。
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