「幻の支離滅裂派」展が7月18日(土)に終了しましたが、最終日に面白い出来事がありました。
60代後半ぐらいの男性二人組みが入ってきました。入ってくるなりいきなり「ここは一体何や?」と言うので「ここはバーです」と私。
「ホンマにバーか?酒飲めるんか?」
「バーですから飲んで下さい。どうぞ」
「うわっ!ホンマやメニューもあるわ」
「音楽を何かかけてんか、サイモンとガーファンクルは無いのん?」
「ここにはありません、シャンソンなんかどうですか?ピアフとか」
「エディット・ピアフか?ええなぁ~~」
「ところでこれは何や?壁に付けてあるゴミみたいなもんは?それにでっかいゴミ箱も置いてある。うわっ!!ごきぶりホイホイが2つ。中にウジャウジャ入ってるやないか!」
「本物が入って欲しかったのですが、ゴキブリがいないので仕方なくニセモノを入れてあります」
「せやけど、これは一体何やねん?」
「これは作品です。展覧会をやっているんです。2週間に一回作品は替わるんですよ」
「何?キッタナイこれが作品?」
「支離滅裂というテーマで作品展をやっているんです。支離滅裂でしょ?」
「分からんなぁ~」
男達はたまたま隣のテーブルに置いてあった堀尾貞治作品集を取り上げ「これは何の本や?」
「これは私の師匠の作品集です」
「何!?こんなもんにも師匠がおるんか?ウワッ!全部横文字で書いてあるわ、ムッツカシ~~」
「はい、ヨーロッパで出版されましたからフランス語です」
「ますます訳が分からん」
その内の一人の男が「甥っ子に教えたろ」と言いながらケータイを取り出し「オイッお前、今どこで飲んでるねん?三宮?オッチャンは西宮や。オモロイところに来てるんやで。ジャズ喫茶や」
(ジャズ喫茶とちゃいますねんけど・・・・)
男の相方はすかさず「お前はアホか?ここはジャズ喫茶と違う。酔い過ぎやもう帰れ!」
一人残った男は「スンマヘンなぁ、失礼なこと言いまして、アイツ酔うてまんねんカンニンしてや」と言いつつ店内を丹念に見て回り、村上三郎の写真を見つけ「これは何や?何をやってるんや?」
「紙を破る作品です。古いですよ1950年代の作品です」
「ふ~~ん、紙を破るのが作品か」
男はワインのボトルが空になったのを確かめて
「お勘定・・・・スンマヘン、何~~にも分からんまま帰りますわ」
男はスンマヘン、スンマヘンと何度も言いながら背を丸めて出てゆきました。
(そんなに恐縮しなくてもいいのに・・・・)
私は世界に一軒ぐらいこんなバーがあっても良いのではないか。
否、これこそがメタモルフォーゼの在り方なのではないか。
と妙に納得した次第です。
*お知らせ
7月22日からは「音を見る」展が始まります(8月1日まで)
◎7月24日 pm6:00~ 上野秀明のパフォーマンス。
7月27日は臨時休業となりますのでご注意のほどを。
「音を見る」とは稲垣足穂の言葉です。
8月4日~8月15日は恒例の「第5回幽霊お化け展」です。
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