T田さん(女性)は、私が働く介護施設の入居者さんです。
杖をついて歩いていますが、性格はシャッキシャキ、江戸っ子のような人です(関西人だけど😅)
言いたいことはそのまま発言するタイプで、いつも廊下で会うと、介護職員に対する不平不満を訴えてきます。
とはいえ、なんというか・・・心底そう思っているというよりは、親しみを込めて憎まれ口をたたいているような・・・そんな感じなので、なんとなく憎めないお人なのです☺️
そんなチャッキリT田さんですが…
最近、様子が豹変する時が増えてきました。
施設の内側の玄関扉は、暗証番号を入力しないと開かないようになっているのですが、他の来客に紛れて、扉が開いた隙をついて外に出ようとしてしまうのです。
以前は、非常階段からの脱出も試みていたようです💦
そしてそんな時は、決まって「お母さんに会いに行く」と言われます。
T田さん自身がご高齢なので、お母さんはもういらっしゃいません。
それでも、廊下で会った時に立ち話をすると
「お母さんに会いに行きたい」
「私はここから出たいんやけど、お母さんが、あんたはここにいてと言うから我慢してるんや」
「お母さんがそう言うから仕方ないねん」
と目に涙を浮かべながら悲しそうに言われるので、話を聞いている私も、思わず涙ぐんでしまいます。
「T田さん、ひとりで外に出たら危ないですよ。事故にでもあったら大変!お母さんも心配されるから、一緒にお部屋に戻りましょうか」と言うと、
素直に「そうやな、戻ろうか」と答えてくれますが、またしばらくしたら、杖と鞄を手にお部屋から出てこられたりします。
憎まれ口をたたく時のチャキチャキT田さんと、お母さんを求めて外出したがるT田さん。
同じ人なのに、時によって全然違う人のようです。
T田さんを見ていると、何歳になっても「お母さん」という存在は大きいんだな・・・と感じます。