下記の記事をお借りして東洋経済様のホームページより紹介します。(コピー)です。
日本人男性の2人に1人が“がん”になると言われて久しいが、なかでももっとも恐ろしい病気の1つとして認知されているのが、“胃がん”だ。
当記事は、『OCEANS』の提供記事です。
住吉内科消化器内科クリニックの倉持章先生によると「胃がんは“とある菌”を除去すれば、99%防ぐことができます」という。ってことで、先生、胃がんのリアルを教えてください!
そもそもカラダのサインがない、胃がん
──「胃がん」と聞くと、どうしても恐怖を感じてしまいます。
倉持章/住吉内科消化器内科クリニック理事長。10万件を超える検査経験を持つ内視鏡のスペシャリスト。“胃がん死ゼロ”をモットーに、予防と早期発見に注力し地域医療に貢献する(写真:OCEANS編集部)
確かに、全部のがんのうち男性の胃がんは2番目に頻度が高く、残念ながら胃がんが原因で亡くなられる方も、年間約5万人と非常に多いのが現状です。しかし本来、胃がんは不治の病ではなく、早期に見つけることさえできれば治せる病です。
なのに、初期段階で症状が出ないせいで気づかず放置されてしまうことが多く、 何かしらの症状が出たときにはすでに手遅れとなるケースも少なくありません。
──ということは、胃がんは避けて通ることができない病気なのでしょうか?
遺伝性による避けられないがんがある中で、“防げるがん”として対策を取れるものも多くあります。実は、胃がんがその1つです。原因の99%は「ピロリ菌」であることが世界でも認められています。
──原因は細菌なんですね。
ピロリ菌とは、胃の中に生息する細菌です。人間への正確な感染経路はわかっていませんが、食料や飲料水を介して体内に入ると考えられています。そして感染する時期は、おおよそ5歳くらいまでの幼少期であるとわかっています。なので、成人した大人がこれからピロリ菌に感染することはまずありません。
──つまり、現在ピロリ菌がいなければ、生涯で胃がんになることはないということですか?
まさしく、そのとおりです。成人である現在、みなさんの体内にピロリ菌がいない(一度もいたことがない)のであれば、この先胃がんになる心配はほぼありません。
ピロリ菌検査をしよう
──胃がんへの漠然とした不安を、一気に吹き飛ばせそうです。自分の体にピロリ菌がすんでいないか、いますぐ知りたいです!
正確なことは検査をしなければわかりませんが、これまでピロリ菌検査をしたことのない方には必ず下記の質問をしています。そして、1つでも当てはまる方は、ピロリ菌検査をお勧めします。
① 幼少期、井戸水がひかれているような田舎で過ごした経験がある。
② 家族にピロリ菌陽性と判明している人がいる。
③ これまでに胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍と診断されたことがある。 ──これらに当てはまる方は、すぐさま病院での検査が必要なんですね。
例えば、先ほど「胃がんの初期症状はない」とお伝えしましたが、がんになる一歩手前の状態を見つけることができます。
“キリキリした痛み”が特徴である胃炎が続く場合、診断された患者さんのほとんどにピロリ菌が確認されています。慢性的な胃炎は胃潰瘍・十二指腸潰瘍に進行することもあり、事実、胃潰瘍の約80%、十二指腸潰瘍の約90%にピロリ菌が見つかっています。
なので、過去に胃潰瘍などと診断された方は、ピロリ菌を発見・除去し、胃がんを防ぐチャンスです。私はこれを “幸運の潰瘍”と呼んでいます。
──症状の理由をハッキリさせることが重要ですね。ちなみにピロリ菌検査は、誰でも受けられるのでしょうか?
はい、誰でも受けることができます。検査方法として、いちばんポピュラーなのは、内視鏡検査、通称・胃カメラです。人間ドックや健康診断でも可能ですし、胃の不調があるなど条件を満たせば、健康保険適用内で検査を受けることができます。
──胃カメラって、あのめちゃくちゃつらい検査ですよね……ほかにはないですか?
胃カメラが苦手な方、加えて胃炎・潰瘍と診断されたことはないけれど一度確認しておきたいという方には、自費診療で受けられる検査があります。採血検査である「血中抗体検査」、呼気を採取するだけの「尿素呼気試験法」はつらさがなく、とても簡単です。
健康診断でもオプションでピロリ菌検査ができるケースも増えていますので、ぜひ一度確認してみてください。そしてこれらの検査でピロリ菌が見つかった場合は、薬で簡単に除去できます。
──とてもシンプルですね! 一度ピロリ菌検査・除去をすれば、もう胃がんの心配はないのでしょうか?
ピロリ菌検査で発見されなかった場合は、その心配はありません。ただし、ピロリ菌が見つかった場合には、一度除菌したとしても、念のため3年に1度は検査を行ってください。
腹部に感じる不調は、「胃」が原因とも限らない
──最後に、年々頻度の増える胃もたれ・胸やけなどは、生活習慣を正して様子を見るしかないのでしょうか?
ご自身での判断は非常に危険なので、まずは医師にかかってください。そもそも腹部の症状は複雑であり、本当はどの臓器で起こっている症状なのか、正確なところは実際に診察・検査をしないとわかりません。ちなみに、診察を受けた“ついで”に、ピロリ菌が見つかるケースも多くあります。
──病院にかかって自分のカラダがどういう状態か、つねに知っておくことが大切ですね。
原因さえわかれば漠然としたストレスも減り、手の打ちようも出てきます。わずかでも感じた体の不調に、まずは“神の声”と思って、病院へ行ってみる。同輩にあたるオーシャンズ読者のみなさまには、どうかそうあって欲しいと思います。
ピロリ菌を除去すれば、胃がんだけでなく、胃潰瘍・十二指腸潰瘍といった病気のリスクも大幅に軽減できるという。備えあれば憂いなし、ということで、まずは検査から始めてみよう!
取材・文/長瀬瑠美奈
追記:上記文中に「胃カメラって、あのめちゃくちゃつらい検査ですよね」とありますが私は個人クリニックでやりました。口から内視鏡を入れましたが痛みも苦しみも全然ありません。心配しないでください。消化器内科の先生に相談してください。
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