動物レスキュー団体「ちばわん」のホームページに「センター・リポート」というコーナーがあります。日本では行政によって設置されている動物愛護センター、もしくは動物保護センターという場所があります。センターとは捕獲された動物が来たり、持ち込まれたりするところです。そして、行き場のない動物たちを待っているのは死なのです。
ちばわんでは、このセンターから動物を引き出し、新しい家族を迎えるお手伝いをしています。
レスキューされた子犬達
私自身、日本で捨て犬捨て猫が多くいることは知っていました。やがて行政によって処分されることも知っていました。でも、彼らは「安楽死」させられると聞かされていたような気がしますし、そう信じていました。
辛い野良生活を強いられるよりも、安らかに死を迎えた方が幸せなんじゃないかな、なんて、呑気に思っていたんですよ。
つまり「無知」だったんです。
無知がもたらす弊害と、悲惨な結果について、人間はどれほど経験してきたことでしょう。
かつて第二次世界大戦の時、ナチスによって行われたホロコースト。優性思想の元に多くのユダヤ人、少数民族、障害者、思想犯など、純粋なドイツ民族の遺伝子(そんなものはありはしないのですが)を汚すと思われた人々が、普通では考えられない方法で殺されて行きました。
けれども当時のドイツ国民のどれほどの人が、この事実を知っていたでしょうか?アウシュビッツ・ビルケナウで行われていたような想像もつかない恐ろしいことを知っていた人はほとんどいなかったと思います。
ボロボロになって、息も絶え絶えの子。
周囲で捕らえられていく人は、何らかの犯罪者や社会にとって悪影響を及ぼす人だから、仕方がない。また、そういう考えを植えつけるようなドイツ国民優位思想教育を施されていました。第一次世界大戦で敗北し、他国に踏みつけられたドイツ国民は、自分たちこそ本当は優れた民族なんだ、というナチスの甘い思想に踊らされてしまいました。
自分たちの足を引っ張るような人は捕らえられて当然。また、捕らえられた人々はきっと、大きな刑務所のようなところに行くのだろう、ぐらいに思っていたのではないでしょうか?強制労働は思い浮かんでも、ガス室を想像出来た人はあまりいないでしょう。もし、黒いうわさを聞いても、耳をふさぐか、否定していたのではないでしょうか?
私はドイツ国民が特に残酷で非情だとは思いません。事実動物愛護でドイツはもっとも先進的な国です。ただ、当時彼らの多くは本当のことを知らなかったのです。
日本でも南京攻略によって、多くの中国人が殺された時、戦勝結果だけが報じられ、日本全国ではお祭り騒ぎになったと聞いています。けれども、もし、日本刀によって首をはねられ、銃剣で刺され、吊るし首になっている人を目の当たりにしたら、酒を呑んで大騒ぎをする気になるでしょうか。
それも知らないからこそ、出来ることです。
お迎えを待つような目。
日本のセンターでは毎日のように、動物が殺処分されています。それは決して「安楽死」などでは無いことも、私はちばわんと関わるようになってから知りました。
殺される方法は、まず動物たちを密閉された箱に入れます。そして炭酸ガス(二酸化炭素)を箱に注入します。室内はすぐに酸素欠乏の状態になり、彼らは窒息するのです。窒息して意識を失うまでの数分間、彼らは、非常に苦しむのです。もがき苦しみ、やがて死が訪れます。
この奥が処分室です。
彼らは何も悪いことをしていません。だた、人間にとって不都合になったから、死ななくてはならないのです。
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ちょっと想像してみましょう。
犬は人間にすれば2~3歳の知能を持っていると言われています。もし人間の3歳児が、ある日突然家族から離され、知らない建物のコンクリートの部屋に押し込められたらどうでしょう。そこに居る理由も解らず、知っている人も誰もいない。いるのは同じ境遇の知らない子ばかり。
恐ろしさと心細さでパニックになるのではないでしょうか。
「ここはどこ?」「お父さんは?お母さんは?」「いつになったら迎えに来るの?」「怖いよ!」「淋しいよ!」「お腹が空いたよ!」「寒いよ!」
そして待ちくたびれた果てに、みんなと一緒に狭い部屋に入れられたと思ったら、急に息が苦しくなって来て・・・「助けて!苦しいよ。お父さん、お母さん。助けて!」 あとには静寂だけが。。。
このようなことが日本全国で、毎日のように起きているのです。ただ、彼らは人間ではないということだけです。
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千葉の愛護センター
動物を捨てる人、センターに持ち込む人のうち、彼らの最期を知っている人は、本当に少ないと思います。きっと、私と同じように、安楽死するくらいに思っているかもしれません。また、わざと知ろうとしないのかもしれません。自分が彼らの死に手を染めたと思いたくないのでしょう。私はセンターに持って行っただけ。殺したのは私じゃない。
人はいろいろな方法で自分を正当化しようとします。けれども、どんないい訳をしたとしても、彼らを殺したのはセンターの職員さんではありません。捨てた人、持ち込んだ人なのです。
いつかもここで書きましたが、センターを批判する人がいるようです。けれどもセンターは、動物を放棄する人がいなければ存在しない機関なのです。つまり、センターは無責任な飼い主のしりぬぐいをさせられているわけです。
これは、センターの存在が犬猫を飼っている人だけの問題だけでは無いことを示しています。無責任な飼い主、無責任なブリーダーがいることで、莫大な税金が動物を殺すために使われているのです。動物愛護の面はもちろん、行政は動物放棄がいかに税金を無駄に食いつぶしているかに目を留め、罰則を含め規制していくことが必要だと思います。
家族の迎えを疑わずに待つ犬たち
さて、私たちは日々の活動を通して、このような現状を啓蒙してこうと考えています。
人は批判されると頑なになります。放棄する人、安易に動物を飼う人に対してただただ批判をしても問題はなくならないと思います。大切なのは知ってもらうこと。あなたがもし、動物を放棄したら、こういう結果が待っているんですよ、と知らせること。私のように、安楽死もいいんじゃない、なんて思っている人がいると思います。
人は負い目を負いたくないものです。自分が殺したと思いたい人はあまりいないと思います(一部、虐待趣味の人は除いて)。だからこそ、現状をもっともっと知っていただく。それにはまず、私のように保護犬、猫を家族に迎えてもらい、その子の来歴から、次第に知ってもらうのが一番良い方法だと思います。
私はいぬ親さまになっていただいた方に、我が家で撮り収めたワンコ画像のCDをお渡ししていますが、その中に必ずセンター時代の写真を入れるようにしています。原点はそこなんだということを知っていただきたいからです。
さて、必ず日本も動物愛護先進国になると私は思っています。私が子供のころから数羽に減って絶滅のふちにあった、あの「朱鷺」でさえ、今日本の空を舞っています。まだまだ、闘いはありますが、朱鷺を日本の空に飛ばしたのは、それを夢見て信じた人たちです。きっとちばわんのスタッフもそう信じていると思います。決して失望することなく、センターがやがて「処分」され、本当の「保護センター」になる日を夢見ていきたいと思っています。
※今回使用しました画像は、ちばわんセンター・リポートからお借りしました。
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