坂本龍馬が襲撃された寺田屋事件(1866年)について記した幕府側の報告書の写しなど、県が購入した土佐藩の京都藩邸資料574点。内容について15日、発表した県立坂本龍馬記念館(高知市浦戸)などは「激動の幕末史を解き明かす一級資料」と強調した。池田屋事件、第二次長州征伐、土佐勤王党の弾圧……。政治首都・京都で入り乱れる諸藩の思惑や、時には血を流した志士たちの活動といった情報を、当時の土佐藩が必死で収集していたことがうかがえ、専門家は「当時の動きをリアルタイムに記録している。これからの新発見が楽しみ」と評価する。
■高い情報収集能力 ペリーが浦賀に来航した翌年の1854年から、大政奉還前年の66年までの資料。収集、整理した元の持ち主が売却しようとしていたのを、県出身の歴史研究家ら3人が「高知にあるべき」として、一時的に買い取って保管。11月末、県が1650万円で購入した。
資料の内容は多岐にわたる。第二次長州征伐といった大ごとに際しては、最前線の小倉藩から書状をもらって動静を探っている。暗殺で名をとどろかせた土佐出身の岡田以蔵について記した文書もあった。土佐山内家宝物資料館の渡部淳館長は「当時の京都や大坂の藩邸資料はあまり残っておらず、活動の様子はうかがい知れなかったが、藩邸が高い情報収集能力を持っていたことが分かる」と目を見張る。
■藩士の生活も 京都では他藩の藩士も情報収集に躍起になっており、各藩の藩士同士が割り勘で利用した料亭の請求書があった。藩邸で身分ごとに異なる門限を記した文書、藩士が経費削減に不満を漏らす書状、女に入れあげて公金を横領して処罰された藩士の記録もあり、役人たちの生活ぶりまで分かる。
幕末資料に詳しい宮川禎一・京都国立博物館考古室長は「膨大かつ事細かに記された資料なので、研究は10年がかりになるだろう。高知県だけでなく、日本の歴史研究にとっても非常に意義深い資料」と評価する。
■「寺田屋」「池田屋」 寺田屋事件の報告書では、幕府側の〈捜査資料〉が初めて見つかったとあって、興味深い記述もあった。龍馬が逃げる途中、一時的に身を隠した材木置き場は、「村上町」の材木商「近江屋三郎兵衛」の納屋だったと明記されている。龍馬は深手を負っただけに、「流血」「残血」などの文字が目立つ。
幕府側の治安組織、新選組が尊皇攘夷派の志士を襲撃し、名を上げるきっかけとなった池田屋事件では、現場から逃げた土佐脱藩浪士・野老山吾吉郎の供述調書があった。詳しくはまだ読み込めていないが、事件に対する見方が変わる可能性もあるという。
◇
23日午前10時から、県立坂本龍馬記念館横の国民宿舎桂浜荘(高知市浦戸)で、資料の公開と学芸員による報告会がある。
12/16 読売新聞
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■高い情報収集能力 ペリーが浦賀に来航した翌年の1854年から、大政奉還前年の66年までの資料。収集、整理した元の持ち主が売却しようとしていたのを、県出身の歴史研究家ら3人が「高知にあるべき」として、一時的に買い取って保管。11月末、県が1650万円で購入した。
資料の内容は多岐にわたる。第二次長州征伐といった大ごとに際しては、最前線の小倉藩から書状をもらって動静を探っている。暗殺で名をとどろかせた土佐出身の岡田以蔵について記した文書もあった。土佐山内家宝物資料館の渡部淳館長は「当時の京都や大坂の藩邸資料はあまり残っておらず、活動の様子はうかがい知れなかったが、藩邸が高い情報収集能力を持っていたことが分かる」と目を見張る。
■藩士の生活も 京都では他藩の藩士も情報収集に躍起になっており、各藩の藩士同士が割り勘で利用した料亭の請求書があった。藩邸で身分ごとに異なる門限を記した文書、藩士が経費削減に不満を漏らす書状、女に入れあげて公金を横領して処罰された藩士の記録もあり、役人たちの生活ぶりまで分かる。
幕末資料に詳しい宮川禎一・京都国立博物館考古室長は「膨大かつ事細かに記された資料なので、研究は10年がかりになるだろう。高知県だけでなく、日本の歴史研究にとっても非常に意義深い資料」と評価する。
■「寺田屋」「池田屋」 寺田屋事件の報告書では、幕府側の〈捜査資料〉が初めて見つかったとあって、興味深い記述もあった。龍馬が逃げる途中、一時的に身を隠した材木置き場は、「村上町」の材木商「近江屋三郎兵衛」の納屋だったと明記されている。龍馬は深手を負っただけに、「流血」「残血」などの文字が目立つ。
幕府側の治安組織、新選組が尊皇攘夷派の志士を襲撃し、名を上げるきっかけとなった池田屋事件では、現場から逃げた土佐脱藩浪士・野老山吾吉郎の供述調書があった。詳しくはまだ読み込めていないが、事件に対する見方が変わる可能性もあるという。
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23日午前10時から、県立坂本龍馬記念館横の国民宿舎桂浜荘(高知市浦戸)で、資料の公開と学芸員による報告会がある。
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