Walking Holidays ~ニュージーランド編~

大好きなトレッキングを中心にニュージーでの生活を綴ります。なのでWorkingではなくWalking Holidays!

Keplar Track(ケプラー・トラック)の記2

2013-04-10 | ニュージーランド・トレッキング
2日目は思い出に残る一日でした。

山小屋から約2時間くらいだったでしょうか、ひたすら荒れた森の中を登ります。

やっぱり目から入る世界が荒れていると、心も穏やかでない。

空からは霧雨のような雨。

まだかな・・・。
もうそろそろ、もうそろそろと、
飽きてきた自分に言い聞かせるように登っていると見えた!

ついに、待ちに待った山稜線が。

感激と記念に尾根に出てきた写真を一枚ぱちり。
そうしたら、モクモクと虹が目の前に現れてきたのです。

みるみる出来上がっていく虹の橋。
勝手に、山が歓迎してくれていると受け取って(笑)、
とても感激でした。

まるで隠れんぼをしているかのように、
虹は音もなく消えたり、現れたりを繰り返します。

何度振り返ったでしょう。
虹をずっと見ていたい。けれど、前に進まなくてはならない。
尾根を進んでいく度に、後ろを確認。


今まで虹は見上げるものでした。

けれど、今日は虹が目の前。
足のはるか下から虹の架け橋が架かっています。


この光景は、一生忘れないでしょう。


それから約12kmの尾根歩きが続きます。

山でどこを歩くのが好きかと聞かれれば、断然、尾根。

私が山へ登るのは、高い場所で見晴らしを楽しみたいため。
なので、尾根は天空を歩いているかのような気持ちになって、
時間も距離も、疲れることも、わすれてしまう場所。

向こうの尾根に米粒のように人が見えたり、
フィヨルド渓谷を眼下に眺めたり。

静寂の中、キラキラ光る湖を見て、自然の大きさを感じていました。

自然は昨日も今日もそっと動いている。
人間に気づかれようが、そうでなかろうが、ただそこに存在している。

人間の寿命が日本人なら約80年。
けれど、今見えている山、湖、渓谷は何千、何万年という月日をかけて
目の前に存在している。

私たちの一日はめまぐるしくたくさんのことが起きる。
自然にとっての一日は、人間の何日分なんだろう?

そう考えたら、自然は圧倒的に大きくて、80年もほんの一瞬なんだろうなっと。
けれど、そんな大きな時間軸、寿命(?)を持つ自然を、人間はすごい速さで壊しているんだ。

永遠のように長い存在を目の前にしたとき、やっと、自分(人間)がしていること、
人間がもつ破壊力の強さを実感しました。

この雄大な自然に抱かれて、守られて、食べさせてもらって。
時に恐ろしさも与える自然だけれど、やはり圧倒的にたくさんのものをもらっている。
けれど、自分は木を一本すら植えたことはあっただろうか?

まだまだ貰ってばかりの自分。これからもそうかもしれない。
けれど、少しでも返していきたい、いこうと誓った。あらゆる方法で。

いろいろなことに出会えた、穏やかな時間を過ごせた尾根歩きでした。

写真はこちらで、どうぞ。

















Keplar Track(ケプラー・トラック)の記

2013-04-08 | ニュージーランド・トレッキング
「ここは、虹がたくさん見えるんですか?」

TeAnauからスタート地点のRainbow Reachへ
送迎してくれているドライバーさんと
話すこともそろそろなくなってきたので、
冗談半分で訊いてみた。

「うん、そうだね。天気によっては見えるよ。」

名前だけかと思っていたら、本当に見えるんだ。

そんなことを話していたら、スタート地点に到着。
人がまばらだ。

本当は、TeAnauから出発し、Control Gateでトラックに入り、
反時計回りで回ろうと思っていた。

自分の住む街からの交通手段やら宿を調べて、
よし山小屋を申し込もうと思った矢先、
わずかなタイミングで1泊目に泊まろうと
思っていたLuxmore Hutが埋まってしまった。

どうしよう・・・・・。

日程的に先にはもう伸ばせない。
そして、今まで調べたものが・・・泣。

きっと、手段はあるはず。

焦りつつも探し直すと、
Queenstown-TeAnau-Rainbow Reachの
バスがあることが分かった。

歩くルートを反対回りに設定し直し、色々調べ直し、
全ての予約を終え、どうにか予定通りに行けることに。

良かった。

QueenstownからTeAnauに到着したバスが遅延していたため、
Rainbow Reach行きのバスは乗れなかった。。。
けれど、すぐにワゴン車が私だけのためにやってきてくれた。

なので、トラックのスタートを切るのは自分一人で。

前回のミルフォードのスタートが、なんだかお祭りのような
雰囲気だったので、今回は、あまりに何気ないスタートだった。

けれど、橋を渡り、Kiwi Zone
という看板を発見し、キウイがいるのかとワクワクしたり、
ブナ林の下、ふかふかの天然のウッドチップの道を歩き、
気分は爽快!

そんな気持ちよい森林を歩いていて、日本で勉強していた
森林セラピーのことを思いだした。森林浴でリラックスを
したいなら、どんな森林でも歩けばいいのではなくて、
自分が安全だと感じられること、なんだか気持ちがいいな~
と思えること、主観で「感じのイイ森林」と思えることが
まずは大事だなあと思った。

今日は渓谷の間をずーと歩いていくのがメイン。
うーん、正直、谷底をずっと歩いていくのは好きではないんです。

森や渓間のトレッキングは視界が悪い。
けれど、森の中を歩く場合の良い点は、何かに守られている
感じがあること。
ちょっとかたく言うなら、沈静作用を与えてくれる気がする。
だから、自分とじっくり向き合うことができる気がする。
これ、一切遮るものの無い平原や尾根を歩いているときは、
できないんですよね。

森のチカラなのでしょう。


まだかな、まだかな。
もーう、そろそろ。

標識も出てこず、自分があとどれくらい歩くのか分からない。
迷ってはいないと分かっているのだけれど、先の見当がつかないのは、
人生でも山道でも、何度経験しても落ち着かなくなる。

ふと森の向こうに明るい場所が見えてきた。

「ハットだ。」

今日のハットは、アジア人は自分だけ。

前回のミルフォードでは、私の他にもアジア勢がいたので、
アジア人がいないのは、ちょっと寂しい。

一瞬、アジア人ぽい人たちを発見したが、
ハットでは顔を合わせなかった。
気のせいだったのかな・・・。

翌日分かったことだが、キャンプ場に泊まっていたそうで、
日本から卒業旅行でやってきた男の子たちだった。