MRIの歴史 その2
1980年代の発達を見ていきましょう。
○1980年
MRIによる人体の断層像が発表
Edelsteinら スピンワープ[グラディエントエコー(Gradient echo : GRE)]法が提案。
*傾斜磁場を使ってFID信号を呼び戻す、ということでGradient-recalled echoとも言うようですが、どちらが正しいのかわかりませんでした…
○1982年
Crooksら マルチスライス法の開発
○1984年
Dixon 共鳴周波数の差に伴う位相のズレを利用して水と脂肪を分離して画像化する方法を提案
○1985年
Haaseら 化学シフトを利用して水又は脂肪の信号強度を抑制するchemical shift selective (CHESS)法を考案
Bydderら 反復回復時間(inversion time : TI)を利用したshort TI inversion recovery : STIR法を提案
○1986年
Henningら 高速スピンエコー法(fast spin echo : FSE)の基礎となるrapid acquisition with relaxation enhancement (RARE)法を開発
:多数の180度パルスを用いて高速にSE像を撮像
Frahmら フリップ角を小さくしたGRE法 fast low angle shot (FLASH)法を発表
Oppeltら fast imaging with steady state free precession (true FISP)法 (=balanced-SSFP)を提案
Ahnら スパイラルスキャンを提案
Dumoulinら 位相法による血管撮像法(phase contrast magnetic resonance angiography : PC MRA)を提案
○1988年
Laubら 飛行時間差を用いた血管撮像法(time of flight magnetic resonance angiography : TOF-MRA)を提案
1980年代は、グラディエントエコー(GRE)系の撮像法が提案され、一気にMRI撮像技術が進歩していったのがわかります。GRE系の技術、特に横磁化成分をスポイルするFLASHやSPGRなどが出てきたことで、派生技術としてTOF-MRAも出現しました。TOF-MRAについては、グラディエントエコーの信号強度を求める式から理論的にMRAが撮れる理由を導き出した面白い論文があるのですが、それはまたいつか。
そしてFLASH/SPGRでスポイルする横磁化成分も使ってやろうということで、true FISPも提案されるようになりました(この頃は機械が追いついていなかったようですが…)。true FISPってこんなに前からあったんですね…同様に横磁化成分を利用するCISSやDESSについても、いずれ。
また、1986年には高速スピンエコーのRARE法の開発の他に、画期的な技術が複数発表されています。この年は何かあったのかな…?
重要なMRI撮像技術の一つである、脂肪抑制法もこのころに様々な方法が提案されるようになりました。比較的新しいSPIR法やSPAIR法、IDEALなどを理解するために、もう一度見直しておきたい理論です。
それでは次回は最後。1990年~200年代前半です。
参考文献:村瀬研也 日独医報 2007(52)336-343
1980年代の発達を見ていきましょう。
○1980年
MRIによる人体の断層像が発表
Edelsteinら スピンワープ[グラディエントエコー(Gradient echo : GRE)]法が提案。
*傾斜磁場を使ってFID信号を呼び戻す、ということでGradient-recalled echoとも言うようですが、どちらが正しいのかわかりませんでした…
○1982年
Crooksら マルチスライス法の開発
○1984年
Dixon 共鳴周波数の差に伴う位相のズレを利用して水と脂肪を分離して画像化する方法を提案
○1985年
Haaseら 化学シフトを利用して水又は脂肪の信号強度を抑制するchemical shift selective (CHESS)法を考案
Bydderら 反復回復時間(inversion time : TI)を利用したshort TI inversion recovery : STIR法を提案
○1986年
Henningら 高速スピンエコー法(fast spin echo : FSE)の基礎となるrapid acquisition with relaxation enhancement (RARE)法を開発
:多数の180度パルスを用いて高速にSE像を撮像
Frahmら フリップ角を小さくしたGRE法 fast low angle shot (FLASH)法を発表
Oppeltら fast imaging with steady state free precession (true FISP)法 (=balanced-SSFP)を提案
Ahnら スパイラルスキャンを提案
Dumoulinら 位相法による血管撮像法(phase contrast magnetic resonance angiography : PC MRA)を提案
○1988年
Laubら 飛行時間差を用いた血管撮像法(time of flight magnetic resonance angiography : TOF-MRA)を提案
1980年代は、グラディエントエコー(GRE)系の撮像法が提案され、一気にMRI撮像技術が進歩していったのがわかります。GRE系の技術、特に横磁化成分をスポイルするFLASHやSPGRなどが出てきたことで、派生技術としてTOF-MRAも出現しました。TOF-MRAについては、グラディエントエコーの信号強度を求める式から理論的にMRAが撮れる理由を導き出した面白い論文があるのですが、それはまたいつか。
そしてFLASH/SPGRでスポイルする横磁化成分も使ってやろうということで、true FISPも提案されるようになりました(この頃は機械が追いついていなかったようですが…)。true FISPってこんなに前からあったんですね…同様に横磁化成分を利用するCISSやDESSについても、いずれ。
また、1986年には高速スピンエコーのRARE法の開発の他に、画期的な技術が複数発表されています。この年は何かあったのかな…?
重要なMRI撮像技術の一つである、脂肪抑制法もこのころに様々な方法が提案されるようになりました。比較的新しいSPIR法やSPAIR法、IDEALなどを理解するために、もう一度見直しておきたい理論です。
それでは次回は最後。1990年~200年代前半です。
参考文献:村瀬研也 日独医報 2007(52)336-343