溜まり場

随筆や写真付きで日記や趣味を書く。タイトルは、居酒屋で気楽にしゃべるような雰囲気のものになれば、考えました。

随筆「文、ぶん、ブン」の(四)

2017年01月23日 | 随筆

“なごむ”(Ⅱ) 

 日本語の特徴は漢字、平仮名、片仮名を駆使するところにある、と言われる。これを言語学的にいうと、語彙は和語(大和ことば)・漢語・外来語に分けられ、形態的には膠着語*1に属し、朝鮮語・アルタイ諸語と共通の特徴がみられ、音節構造は比較的単純だが、その系統は不明、ということだ。膠着は物事が前になかなか進まない“膠着状態”の意味もあるが、言語学でいう膠着は膠でくっつけるように、よくくっつく付着の色彩が濃い。新聞記事でよく使われる、主体につく「政府は」「特捜本部が」や、動きを伴う「逮捕へ」などに使われる「は」「が」「へ」がそう。捜査当局が令状を裁判所から取っていることが確認できてはじめて「へ」を付けたスクープ見出しになる。整理部記者は見出しにおける助詞の使い方には神経を尖らす。

 そこで「新聞記事」における「で」の使われ方だが、戦前はあまり見られない。多用は戦後で、それも1970年代以降ではないかとみている。高度成長とともに公害の発生、人権重視の風潮なども関係しているのではないかと思う。そこで助詞「で」がここまで新聞記者に好まれるのか、調べてみた。「で」は、「そういう訳で・・・」「それで(どうしたの)」のように、接続的用途もあるが、ここは格助詞としての働きを。

 講談社「日本語大辞典」は、まず手段・材料で、英語で言えばby, withだという。パソコンで書く、鋼材で作る、のようなのがそうだろう。次いで場所・時間を示すin、on 外で遊ぶ、正午で夕刊原稿を締め切る。三番目、原因・理由を示すas 、天候不順で青物野菜が不作。4番目、動作・作用の行われ方を示す、With、in、すごい速さで飛ぶ。5番目は方法・状態を示すwith。二人で行く。6番目、話題になるものを示すabout。TPPで論争する・・・。

 こうして見てくるとニュースの要素五つのW,一つのHに似てなくもない。だからだろうか、ニュース記事に多いのは。     (つづく)

*1膠着語=接頭語、接尾語などの接辞や助詞、助動詞などの付属語によって文法的な関係を示す言語。日本語、朝鮮語、トルコ語、フィンランド語など。付着語とも。Agglutinative language(講談社、日本語大辞典)

 


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