皆さんと一緒に考えましょう

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

死と向き合うと生き方変わる 患者が教えてくれた学び

2021-04-21 08:30:00 | 日記

下記の記事は日経ブックコムからの借用(コピー)です

著者はがん患者とその家族のメンタルケアに携わる精神科医。死と向き合った人が次第に変わっていく様を見守るなかで、彼はその姿と言葉から普遍的な学びを得た。
本書はそのエッセンスを柔らかな筆致で伝える。内容に派手なインパクトはないが、それでも読むほどじわじわ効いてくる説得力は、そこに切実な思いが込もっているからだろう。著者自身、患者たちのおかげで生き方が大きく変わったという。紹介される事例はすべてがん患者のものだが、いずれ死に直面するすべての人に響くはず。特に生きづらさに悩んでいる人におすすめ。行間から伝わる著者の優しさ、誠実さに癒やされる。
要点1 死を身近に感じると生き方が変わる
現代人が死を不吉なことと考え、いずれ直面するその現実から目をそらしがちなのは考えものだ。人生には期限があること、いつ健康が損なわれるか分からないことを、絶えず意識したい。死を身近に感じると、当たり前の境遇、当たり前の1日の貴重さを実感し、大切な今を無駄にしないで生きようと思うようになる。感謝の気持ちが湧いてきて、周囲の人との向き合い方も変わる。知らなかった自分の強さに気づく人もいる。1年後、自分が病床に伏しているとしたら……と想像してみるといい。今の自分を振り返って何を思うだろうか。うらやんだり、後悔したりはしないだろうか?
あわせて読みたい
悔いなき人生のために 「死」との正しい向き合い方
「人間そのものを置き去りにするな」 茂木健一郎氏
要点2 元気を取り戻すにはまずしっかり悲しむ
がん患者には、病気になる前よりもいきいきと生きている人が多い。当初は衝撃に打ちのめされても、やがてしなやかな柳のように心の活力を取り戻す。これは人間に、喪失を認め、悩みと向き合う力(レジリエンス)があるためだ。
レジリエンスを働かせるには、まずしっかりと悲しむ必要がある。心に蓋をしても悲しみや怒りはくすぶり続けるから、悩みを抱えているのなら無理に前向きになろうとしてはいけない。声を上げ涙を流して感情を解放することで、少しずつ現実に向き合えるようになる。今の苦しみをさまざまな視点から理解するうちに、こうするしかないという結論に近づける。
要点3 自分を深く理解すると自由に生きられる
感情をうまく解放できない人もいる。多くは「こうしなければならない」という、「must」の気持ちに縛られているためだ。あるがままの気持ちを明かせないせいで、孤独に悩んだりする。著者は患者との対話のなかで、今までの人生を振り返り自分への理解を深めることを促す。これをじっくり行うことで「must」から解放され、生まれ変わったように自由に生きるようになる人は多い。「何歳になっても人は変わることができる」と著者は断言する。
要点4 自分の「must」に反抗する訓練を
自分らしく生きている実感のない人は、きっと「must」に縛られている。やりたくない仕事を義務感だけで引き受けるなど「must」に従ってばかりいると、生きる活力を奪われる。「こうしたい」という「want」の声に耳を傾け、今の自分にとって心地いいことをする(「must」に反抗する)訓練をしよう。自分の「want」が分からない人は、何を買うかを決めずに書店やコンビニなどに行き、心がわくわく反応したものを買ってみよう。
要点5 「人生=旅」の終着点 死は恐れなくていい
死について深く考えると、さほど悪いことではないと思えてくる。著者は死と向き合う過程で「人生は1回限りの旅」という言葉を知り、「ならば死は旅の終着点にすぎない。くよくよ考えずに思い切りやればいいじゃないか」と開き直れたという。死を恐れる理由(死ぬまでの苦痛、自分が死ぬことで生じる問題、自分が消滅することへの恐怖など)を一つひとつ整理することでも、恐れは薄まる。例えば闘病の苦痛は、緩和医療の進歩で大いに軽減している。
(手代木建)
[日経ウーマン 2021年1月号の記事を再構成]



コメントを投稿