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介護しながら進学「わかってもらえず」 親は若年認知症

2021-04-05 13:30:00 | 日記

下記の記事は朝日新聞デジタルからの借用(コピー)です

 進学や就職、結婚、不妊治療や子育てなど人生の節目と介護が重なる人たちがいる。大学生の男性(26)は、自身が中学生の時、父親が65歳未満で発症する若年認知症と診断された。経済的な不安を抱えながら、独学で進学するしかなかったという。
中学から父介護 先生の一言で「相談やめよう」
 通信制大学に通う東京都の大橋尚也さん(26)は、共働きの両親と3人暮らしの家庭で育った。
 中学2年の時、当時49歳の父がアルツハイマー型認知症と診断された。
 診断を受ける前に父は家族に相談せず仕事をやめ、家にこもるようになった。母が働き続けて家計を支えたが、生活費をまかなうだけで精いっぱいだった。大橋さんは高校受験で都立高校1校のみを受け、なんとか合格した。
 間違ったことは許さない厳しさと優しさを併せ持つ父だったが、発症後は急に怒ることが増えた。「母の胸ぐらをつかんだり、僕に手を上げたりしたこともあった。認知症によるものだとわかってはいても、父がなぜ感情的になるのか受け止めきれず、苦しかった」。父のことを友人に話しても、認知症の症状について知らない場合も多く、思いを理解してもらうことは難しかったという。
 忘れられない言葉がある。高校2年の時のことだ。進路の相談で先生に、学費の安さを優先して進学先を選びたいと話すと、先生から「やればもっとできるのに、勉強しないことを親のせいにするな」と言われた。
 「家に迷惑をかけたくないという思いからだったが、先生は生徒としての僕を見てくれても、家族のことまでは見なかった。もう周りに相談するのはやめようと思いました」
 予備校には行かず独学で受験し、2浪して今の大学に入った。浪人中からスーパーでアルバイトし、家計を助けた。
 父は少しずつ症状が進行し、言葉が出づらく、食事やトイレなどで介助が必要になった。デイケアに通えなくなるなど、介護サービスを利用しながら自宅で暮らすことが厳しくなり、大橋さんが大学2年の時、精神科病院に入院した。
 その後、父はがんも発病した。入院や治療で経済的負担が増え、生活費のためのバイトで授業を休んで単位がとれないこともあった。
 父は2018年に亡くなった。大橋さんは6年かけて、来年の大学卒業を目指している。
 体を洗うのを手伝うために一緒に風呂に入ったり、夜中までサッカーの試合を見たり、認知症になってからの父と過ごした思い出もたくさんある。「進行する病気なので、父が診断されてから、いつまで一緒にいられるかを考えて、父のことを優先してきました。だから、後悔はしていません。ただ、お金の心配や周りにわかってもらえないつらさはずっと抱えていました」
不妊治療と両立 「できるか不安」
 介護と不妊治療の両立に苦心する女性もいる。
 大阪府茨木市の里村智恵さん(42)は、8年前に若年認知症と診断された母、芳(かおり)さん(70)の介護をしながら不妊治療中だ。
 夫(38)とは7年前に結婚。これまでは近所に暮らす母の介護と、司会業の仕事で手いっぱいだった。施設に通う母の朝晩の食事や身支度など、主な介護者は自分だ。母のことはいつも気になり「24時間、気が休まらない日々」が続いている。
 そんな中、昨春から夫が単身赴任に。「不妊治療のタイムリミットが迫っている」と強く意識するきっかけになった。早速、治療を開始。いまは受精卵を子宮に移植するタイミングを計っている。
 子どもを授かることになったら、介護と育児の「ダブルケア」になる。介護だけでも大変なのに、両立は想像がつかないし自信もない。そのため母のグループホームへの入居を考えている。施設に入れることに抵抗があったが「母が安心して過ごせる場所を作ることが何より必要。そして、介護のために自分の人生を犠牲にしたとは思いたくない」と心を決めた。施設で暮らす生活に少しずつ慣れるため、昨年12月からデイサービスに代わり、宿泊もできる小規模多機能型居宅介護を利用し、グループホームの空きを待っている。
 いつになったらホームに入れるのか。暮らす場所が変わり、認知症が進行しないか。子どもを授かれるのか――。不安は尽きない。
 行き場のない悩みを語り合える、オンラインのグループに昨年から参加し始めた。「働きながら介護する世代は、どこかに出向く時間を作りづらい。支援制度の情報交換の場としても役立っている」と話す。
子ども世代 ネットで発信 広がる支え合い
 立教大助教の田中悠美子さんは、親が若年認知症になった時、「経済的な困難を抱えるなど、自立する途上にある子どもが抱える特有の課題がある。結婚や、子育てと介護が重なるダブルケアになる場合、自身の生活とバランスをとることに悩む人もいる」と話す。田中さんは、若年認知症の親を介護する子ども世代のピアサポートグループ「まりねっこ」を運営し、リアルやオンラインでこうした人たちの交流の場をつくってきた。
 母が若年認知症と診断された大分県の会社員の男性(35)は主にオンラインでまりねっこに参加し、「同じように悩みながら介護する人の話を聞いて、抱えすぎず、自分ができることをやればいいと思うようになった」。大橋尚也さんも参加し、「父がいたから知り合えた仲間から、介護への向き合い方を学んでいる」という。



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