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6500万円のマンションを買った夫婦が、いま「月12万円の賃貸」に住んでいるワケ

2021-02-06 13:30:00 | 日記

下記の記事はプレジデントオンラインからの借用(コピー)です

非正規雇用者が減ったことで“ある事象”が起こっている
パートやアルバイト、契約社員の職が減ったことである事象が確認できるのだ。
コロナ後、住宅ローンの相談が最大77倍に増加
こうした状況を受け、住居を手放さざるを得なくなる世帯が増えてきているようなのだ。
「フラット35」などの住宅ローンを手がける独立行政法人・住宅金融支援機構の発表によると、3月以降ローン返済の一時猶予や見直しを求める相談が殺到しているという。新型コロナ感染拡大直後の2月には15件だった相談件数は、3月には214件、4月には1158件、5月878件と、最大77倍に増加している。
同機構の広報担当者によると、主な相談として以下のような相談内容が目立って増えているという。
「新型コロナウイルスの影響で今月分は入金できない。1カ月ほど待ってもらえるか」
「ボーナスが減りそうだ。ボーナス返済を取りやめることはできないのか」
また、同機構によるとこうした相談などに伴う「返済方法変更の承認件数」も、2月には0件だったものの、3月に2件、4月に198件、5月には1006件と激増しているのだ。
首都圏で住宅ローン融資を行う地方銀行の融資担当者が明かす。
「新型コロナを機に、うちでも確かに住宅ローンの滞納や返済方法についての相談は増え始めています。中でも目立つのが、ローンを組んで15~20年ほど経過していている、40代半ば以降~50代半ばくらいまでの共働き夫婦で、ペアローンを組んでいる家庭です」
ペアローンはギリギリの返済額でやりくりしている人が多い
「そもそもペアローンを組む人は、世帯収入からしてもギリギリの返済額でやりくりしている人が多い。しかも年齢的に、子供が高校生や大学生くらいになっている場合が多く、教育費がピークになっている。そこにコロナ禍が直撃してしまい、夫婦どちらかの収入が減ってたちどころにローンが払えなくなってしまった、というわけです」
ここに出てくる「夫婦によるペアローン」とは、「夫婦連帯債務型住宅ローン」などと呼ばれる融資契約の一形態だ。
夫婦のうちどちらかが主債務者に、もう片方が連帯債務者となることで、夫婦連名による借り入れを行うものだ。これにより、例えば主債務者である夫の年収だけでは住宅ローンの希望条件に満たないような場合にも、妻が連帯債務者となって収入を合算することで、条件をクリアできるというメリットがある。
ところが、夫婦の収入を合算することでようやく審査が通ったような住宅ローンは、有事の際には破綻リスクも大きくなる。
会社員・武内浩平さん(仮名・44歳)も、9年前に都内の新築マンション購入にあたって組んだペアローンの返済がコロナ禍を機に厳しくなり、物件を売却して賃貸マンションに引っ越した。
妻がコロナ禍で派遣切りに遭い、マンション売却を決意
「ひとり息子が小学校に上がる頃に、学区なども考えて6500万円で購入したのがその物件です。月々のローン返済額は約17万円。当時は、私も妻も会社員で、月の世帯収入としては60万円ほどあり、返済は余裕だと思っていました。しかし、息子を中学受験させることとなり、塾への送迎や勉強のサポート、塾に持たせる弁当の用意などのために3年前に妻が仕事を辞めたのです。翌年には息子が無事合格し、妻は派遣社員として不動産会社で働くようになった。月18万円ほどの収入でしたね。おかげで、ローン契約時とほぼ同程度の世帯収入にまで戻っていたんです。
しかし3月に入り、コロナ禍で派遣切りに遭ってしまい、無職になってしまいました。妻も40歳を過ぎていることもあり、新しい派遣先も見つからない。貯蓄の多くは息子の受験や入学金に使ってしまっていたので、ほぼゼロでした。私の月40万円ほどの収入だけでは、月8万円ほどの息子の学費を支払いながら、住宅ローンを支払うことは厳しくなってしまった。息子は今高校生ですが、この先大学にも行かせることを考えると、住宅費をカットするしかないと思い、8月に売却を決意しました」
幸いにも武内さんのマンションは5700万円で売れ、今は都下の家賃12万円の賃貸マンションで暮らしているという。
パート代の月8万円がなくなっただけで戸建てを売らざるを得ない
一方、妻の収入への依存度がさらに低い家庭でも、ペアローン破綻は起こり得るようだ。千葉県在住の自動車整備士、野田信次郎さん(40歳)が話す。
「6年前、子供が生まれたことをきっかけに、ペアローンを組んで柏市に3800万円の一戸建てを購入しました。当時、イケイケドンドンのローン審査で知られていた地銀Sでした。妻は知人が経営する飲食店でランチタイム前後の4時間だけパートとして働いていて、収入は月に8万円ほどだったのですが、それでも審査が通ったんです。
私の当時の手取り収入は28万円ほどで、私だけではどこも審査が通らなかったのでずいぶんと救われた気分でした。頭金を300万円ほど入れ、30年ローンで月々の返済額は約10万円。優遇金利の適用で1%弱でした。生活もそれなりに切り詰め、これまで返済の滞納は一度もありませんでした」
しかし4月、コロナの影響で野田さんの妻は勤務先の飲食店の経営が悪化し、解雇されてしまった。野田さんの収入はほぼ横ばいなので、8万円がそのまま減ってしまったかっこうだ。車のローン返済も月3万円あり、息子も小学生となって習い事なども始めていてお金がかかるようになっていた。
「最近はかなりカツカツな状態でローンを返済しており、パート代の8万円がなくなるとかなり辛い。妻にはすぐに別のパートを探させたのですが、コロナ禍ということもあって、子育てと両立できる時間帯のものはなかなか見つからない。ドラッグストアの求人1名に対し、20人以上のパート主婦が応募するらしいですからね。
結局7月と8月に立て続けに滞納してしまった。これが、『2度滞納が発生した場合は優遇金利を取り消す』という条件に触れ、金利が2.125%にアップ。月の返済額が1万円以上増えることになってしまった。このことが決定打となり、すでに妻とともに売却の意思を固め、今は不動産業者に相談をしているところです。売却ができれば、千葉のさらに奥地で中古物件を探そうと思っています」
競売物件を虎視眈々と狙う投資家も
武内さん、野田さんに共通しているのは、自身の給与は一切減っていないものの、世帯にとっての副収入的な存在だった妻の稼ぎが途絶えたという点だ。大黒柱ではなく、補助的な柱が倒れただけでも破綻に追い込まれてしまうのが、ペアローンの怖さといえる。
榊淳司『激震!「コロナと不動産」 価値が出るエリア、半額になる物件』(扶桑社新書)
ペアローンによって購入された物件か否かは別として、コロナ禍を機に、物件売却を考える人は増えているようだ。都内の不動産仲介業者も話す。
「8月に入ったあたりから、自宅を売りたいと相談に来られるお客さんが増えている印象です。中年の所帯持ちで、物件は築10~15年であることが多い。ただ、住宅ローンの残高を清算してもさらに数百万円以上のお釣りがくる程度の売値を希望される方がほとんどで、その多くは高望みです。なかなか買い手はつかないのが実情ですよ」
住宅ローンの滞納が続き、自宅の売却もできないとなれば、最悪の場合は差し押さえられて競売にかけられることになるが、それを虎視眈々こしたんたんと狙う投資家もいる。
前出の不動産仲介業者は「コロナ禍によって、条件のいい住宅や民泊物件などが競売や任意売却に出されることが多くなっている。中には相場の半値程度で落札される物件もあり、任意売却の物件や競売不動産を買いあさる投資家にとっては今は千載一遇のチャンスといっていい」と話す。
競売の物件数もたしかに前年より増えている。2020年9月に首都圏で競売開始決定後に裁判所に公告された物件の数は、東京都が201件で前年同期比21%増、神奈川県が133件で同14%増、埼玉県が98件で同23%増、千葉県が117件で同23%増といずれも急増しているのだ。
マイホームを奪われる者がいるかと思えば、それを安値で買い叩こうとする者もいる。アフターコロナの住宅市場はまさに弱肉強食だ。



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