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生理の悩みを解消、国産吸収型サニタリーショーツができるまで

2021-04-18 13:30:00 | 日記

下記の記事はビヨンドヘルスからの借用(コピー)です

「生理の日にナプキンがいらなくなる」──。人生のうち40年余りで毎月、生理と付き合う女性たちにとって、これは聞き逃せない朗報だ。生理日の新たな選択肢として、人気を集めつつある「吸収型サニタリーショーツ」。経血をショーツ自体が吸収するため、1日に何回もナプキンやタンポンを取り替える煩わしさから解放されるという製品だ。女性の健康に関する課題をテクノロジーで解決する「フェムテック」のひとつとしても注目されている。
多くのブランドが参入しつつある中、いち早く開発を進め、機能性の高さで人気を集めているBé-A (ベア)のCEO、山本未奈子氏に開発の背景やフェムテックの今後について聞いた。さまざまな課題の解決につながる「八方よし」のフェムテックとは?(聞き手は米川 瑞穂=日経BP 総合研究所)
Bé-A Japan代表取締役CEOの山本未奈子氏(撮影:齋藤 暁経、以下同)
コロナ治療の最前線もサポートする、生理日の新たな選択肢
 3月8日にはファーストリテイリング傘下のジーユー(GU)も販売を開始するなど、注目を集めている「吸収型サニタリーショーツ」。機能性の高さで人気を集めている「Bé-A (ベア)」は、2020年にクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で、9000人以上から1億円を超える支援金を集めてスタートした国産ブランドだ。この支援者数と支援総額は当時、「CAMPFIRE」のビューティー・ヘルスケア部門で歴代1位の記録だったという。その後、昨年7月末に発売を開始した「ベア シグネチャー ショーツ」(7590円)は、8カ月間で約4万枚を売り上げた。
 「開発にあたって私たちが最もこだわったのは、120mLという吸収量です。最も量が多い2日目の平均は30~50mLとされていますが、現在、4人に1人がかかるといわれている子宮筋腫や、子宮内膜症によって量が増えてしまっている女性たちを無視できないと思いました。今年3月に発売した新製品では横漏れを防止するテープを追加。漏れるという心配やストレスから、女性が完全に解放されることを目指しています」(山本氏、以下「」内は全て山本氏)
 Bé-Aでは医療現場で働く女性たちを支援するため、ショーツの寄贈活動も行っている。
 「新型コロナウイルスの治療にあたっている女性たちは、何重もの防護服に身を包んでいるため、頻繁にトイレに行きナプキンを替えるのが難しい状況にあります。またユニフォーム自体、白や薄い色が多いため、長時間の手術の際など経血漏れが気になっていたという方も多く、たくさんの感謝の声をいただきました」
ジュニアラインも開発、「40年間続く嫌なこと」を変える
 2月5日にはジュニアラインの「ベア ペティート シグネチャー ショーツ」(7150円)の販売も開始した。これもユーザーからの要望に応え、開発を急いだものだという。
 「娘にもはかせたい、という声をたくさんいただきました。自社調査によると、生理にまだ慣れていない小・中学生は、トイレに生理用品を持って行ったり、ナプキンのシートを剥がす音を友人に聞かれたりすることを恥ずかしく感じており、“ナプキンの交換が嫌だ”と答える子どもが8割を超えるという結果が出ました。今も昔も何も状況が変わっていないのだと感じずにはいられませんでした。その結果、下着や服を汚してしまい、さらに落ち込んでしまうこともあるでしょう。こうした子どもたちの悩みを解決し“生理=40年間続く憂鬱なもの”という認識を変えていければと思っています」
再生紙を使ったシンプルなパッケージのベア ペティート シグネチャー ショーツ(7,150円)
 ジュニアラインでは、量や吸収位置を確認できるよう、吸収帯は黒ではなくあえて薄いグレーの生地を採用。これは自分の身体について、きちんと学んでほしいという願いが込められている。
 「生理についてオープンに話すのは恥ずかしいという風潮が、まだ日本にはあります。男の先生だけでなく、父親や兄弟にも生理のことを知られるのが恥ずかしいという声も聞きました。性教育も不十分で、男子は生理について学ぶ機会が少ない。男女の身体の違いを知り、それによってどんな負担が生じるか、男女を差別するのではなく、“性差”についての理解をもっと深めるべきだと思います」
「生涯で1万2000枚のプラスチックごみ」の削減も
 「吸収型サニタリーショーツは新しい選択肢なので、まだまだ批判が多いです。同じショーツを1日中はいて蒸れないのか、気持ち悪くないのかといった声や、洗濯が面倒だという声も聞かれます。けれど、私たちは2年以上、試行錯誤して開発を進めてきた中で、抗菌・防臭機能と、洗濯のしやすさにもこだわってきました」
 開発のきっかけは、COOを務めるビジネスパートナーの髙橋くみ氏が、約3年前、アメリカで吸水型サニタリーショーツを購入してきたことだった。
 「これは素晴らしい、と試してみたのですが、すぐに横漏れするし、生地の劣化も激しい。これでは納得できない、自分たちで作ってみよう、ということになりました」
 コンセプトを固め、生産する工場を探して20社あまりに声をかけたが、返事があったのは半数程度。実際に話を進めると「技術的に難しい」「そんな製品、どうせ売れるわけがない」と、ことごとく断わられた。
 「日本の縫製技術は世界一といっていいと思いますが、私たちが求める吸水量をショーツで実現することはハードルが高かったようです。最終的には、尿漏れ用ショーツの生産技術をもつ工場のみが引き受けてくれました。ただ尿漏れ用とは異なる点も多く、途中、何度も暗礁に乗り上げそうになりましたが、120mLという吸水量もなんとか実現しました。5層構造で、吸水体の部分は職人さんがひとつひとつ手作りしています」
 腹部には、テラヘルツ波を放出する鉱石を砕いてプリントした生地を採用している。テラヘルツ波とは、毎秒1兆(テラ)回振動する電磁波で、遠赤外線よりも物質への浸透性が高いという。生地を二枚重ねにしているのも、腹部をじんわりと温めて冷えを防ぐための工夫だ。
 「普通の下着の3倍以上の製造工程があります。それが価格を押し上げているのは事実ですが、しっかりと作られているので、安心して長く使える。また、プラスチックごみを削減できるのもメリットです。生理用ナプキンは80%以上が吸水ポリマーのため、ナプキン1個がビニール袋約1枚に換算されるプラスチック製品です。女性は生涯で1万2000枚のナプキンを使用するといわれていますが、その量を減らすことは、プラスチックごみ問題の解決にも貢献できます」
性の悩みを解決する製品で世の中を変えていきたい
 ボクサータイプのデザインにもこだわった。無駄な装飾は省き、シンプルで安心感があることを第一に考えたことで、ナプキンを買いに行くのに抵抗があったセクシャルマイノリティーの人から、感謝の声が寄せられたという。
 「性の問題でコンプレックスを抱えていて、誰にも相談できないと悩んでいる人はたくさんいます。それを解決できる製品を世の中に送り出していきたい。今、フェムテックという言葉は急速に広がりを見せており、2025年までに5兆円市場になるという試算も出ていますが、私自身はそんな言葉が必要ない、女性の身体的な課題が当たり前に解決される世の中になればいいと思っています。ただ現状では女性のほうが、身体的な問題を無意識のうちに諦めていることが多いのではないでしょうか。それをひとつひとつ拾い上げ、女性がもっと生きやすくなる製品を作り出すことで、世の中を変えていければいいですね」
 ブランド名のBé-Aも、そんな思いを込め「Girls be ambitious」から名付けたという。
 「これも、いずれはGirlsという限定を外せればいいと思いますが、まずは女性にフォーカスして行動していきたい。既成概念はなかなか変えられないと思いがちだけれど、5年前の非常識が今の常識になっていることって、結構あるのではないでしょうか。自分たちが行動に移すことで、時代は徐々に変わると思っています」
速水 由美=ライター
 2021.4.9



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