下記の記事は日刊ゲンダイデジタルからの借用(コピー)です
回復したからといって安心ではない――。新型コロナウイルスの感染拡大が続く英国で衝撃の研究結果が発表された。退院した新型コロナ患者の3人に1人が5カ月以内に再入院し、うち8人に1人が亡くなっているというのだ。
研究論文を発表したのは、英レスター大と国家統計局から構成される研究チーム。昨年1月から8月末までに入院していた英国内の新型コロナ患者を対象に追跡調査を行い、コロナに感染していないグループと再入院の割合や死亡率を比較した。
査読をまだ受けていない論文ではあるものの、研究結果によると、治療を受けて退院しても、短期間に再入院や死亡する割合が高いというから驚きだ。
論文によると、退院した元コロナ患者4万7780人のうち29.4%が退院後140日以内に再入院。さらには、全対象者のうちナント、12.3%が死亡したという。しかも、コロナ感染していないグループと比較すると、再入院は3.5倍、死亡率は7倍も高かった。
西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)がこう言う。
「回復したにもかかわらず、1割以上の人が亡くなるとは、感染症では考えられません。普通なら『治ったら終わり』ですからね。例えば、糖尿病や心臓病など、持病のある高齢者がコロナ感染によって体力を削られ、回復しても亡くなってしまう、ということは考えられます。高齢者だけに限って調査しているわけでもないので、いずれにしても、なかなか説明のつかない数字です。コロナウイルスとの因果関係が認められるのか、英国だけの現象なのかなど、さらに精査する必要があるでしょう」
■高齢者や民族集団に限定されるものではない
回復後の死亡リスクが論文の数字通りに高いのであれば、「治ったから安心」なんて考えは通用しない。研究グループは論文で、コロナ回復後の患者に生じた意図しない症状や病気などの「有害事象」はコロナに感染していないグループに比べ、呼吸器障害や糖尿病、心疾患や腎臓病の割合が高〈コロナ感染後に退院した患者は死亡や再入院、多臓器不全の割合が高く、そうしたリスクの増加は高齢者や民族集団に限定されるものではない〉
〈回復後の症状に関するリスク要因をさらに理解するため、緊急の調査が必要であり、そうすることで、統計的にも臨床的にもリスクにさらされている集団に、より適切な治療を提供できるだろう〉
コロナ感染の後遺症で倦怠感や味覚・嗅覚障害などに悩まされている人もいる。
注意してもし過ぎることはない。いと指摘。こう結論付けている
コロナ重症者だった医師が語る 後遺症を防ぐ退院後の行動
「わたしの体にはすでにしっかり抗体ができています。今後新型コロナウイルスのワクチンを打つ必要はありません」
仕事場のクリニックでこう語るのは日本大学医学部大学院講師で、みかわしまタワークリニックの岡野匡雄医師(75)だ。
実は岡野氏は4月に新型コロナウイルスに感染し、ICUを含め3カ月間の入院治療を経験した重症患者だった。
新型コロナの治療では、英国、米国などでワクチンの接種が始まっているが、国内で接種が開始されるのは来春の3月以降になる。そのため国内の重症者を含めた感染者の治療は、治療薬の選択肢が限られるなかでやらざるを得ない。その中心となっている治療が、10月に承認申請され患者の了解と医師の判断で使用されているアビガン(富士フイルム富山化学)になる。
重症の新型コロナ患者だった岡野氏はアビガンの投与で一命を取り留め、医療現場に復帰した一人だ。岡野氏が体調の異変を感じたのは4月17日。自宅で39度の高熱に見舞われ、日大板橋病院に行きPCR検査で陽性反応が出て新型コロナウイルスに感染していることが判明、そのまま入院した。どんな治療だったのか岡野氏に聞いた。
「入院直後の2日間は1日1回アビガン1800ミリグラム(1錠200ミリグラム)を服用し、それを2日続け翌日から800ミリグラムを1日1回服用しました。39度が続いた高熱も入院4日目には36度まで下がりアビガンは効くとその時思いました。ところが高熱は治まったものの5日目に急に体調が悪化しICUでの入院治療となったんです」
岡野氏が続ける。
「副反応ではなくウイルスの影響で肺炎を起こしたんです。食欲はなく、呼吸が苦しくなり鼻からチューブを入れて400ミリグラムのアビガンを粉末にしてとかし服用しました。CTを見ると両肺が真っ白になり間質性肺炎になっていました。呼吸が苦しい状態が続き、酸素吸入器で10リットルの酸素投与が続きましたが、2週間後に呼吸も正常に戻りICUを退院し一般病棟に戻りました。アビガンは2週間で1万3200ミリグラム使いましたが副反応は全くありませんでした」
ICUから戻った時、体重は10キロ減ってトイレに行くのも息が切れていたという。しかし、2週間ほどのリハビリで体調は徐々にもどってきた。新型コロナウイルスの感染から完全に回復したことを証明するのは、PCR検査で日にちをあけ連続2回の陰性反応が必要。岡野氏は2回陰性が出て退院したのは8月1日、感染発覚から3カ月以上の闘病だった。
退院後に懸念されている後遺症は全く見られず、退院の1週間後にはテニス、ゴルフを始め10日後にはクリニックでの治療を再開している。岡野氏に後遺症にならないポイントを聞いた。
「糖尿病や肺炎など既往歴のある人や喫煙者は後遺症の確率が高い。私は既往症がなくたばこも吸わない。何より効果のあるのはリハビリ中の運動です。免疫力を高めることが後遺症を避ける大きな秘訣です」
ファイザーの新型コロナワクチンが国内での製造販売の承認を申請された。治療の選択肢が増えることで一日も早い新型コロナの終息を期待する。
(ジャーナリスト・木野活明)
新型コロナ「軽症だったのに急に悪化して死亡」を防ぐ準備
新型コロナウイルス対策で注目を集めているのが、「パルスオキシメーター」だ。昨年までは高額で気軽に手に入れられなかったが、今はネットで購入でき、値段はだいたい数千円だ。
コロナでは、無症状や軽症だったのに、急に容体が急変して亡くなるケースが相次いで報告されている。パルスオキシメーターを手に入れておくことで、それを食い止められるかもしれない。
「パルスオキシメーターは、血液中(動脈)のヘモグロビンにくっつく酸素の割合を測定し、呼吸がうまくできているかどうかを調べる機械です」(国際医療福祉大学熱海病院検査部・〆谷直人部長=以下同)
指先に挟むだけで測定でき、だれでも簡単に使える。「サチュレーションモニター」「経皮的酸素飽和度計」「血中酸素測定器」「SpO2測定器」という名称もあるが、いずれもパルスオキシメーターのことだ。
コロナ関連のニュースで「酸素飽和度」という言葉がよく出てくる。この酸素飽和度が、パルスオキシメーターで測定できる「血液中のヘモグロビンにくっつく酸素の割合」になる。
「普通、酸素飽和度は96~98%くらい。これが95%未満になると、正常より体の中の酸素が少ない状態で呼吸不全の疑いがあり、90%以下になると呼吸不全と言えます。酸素飽和度90%未満は在宅酸素療養の適用です」
■幸せな低酸素血症
コロナ関連ニュースで「酸素飽和度」と並んでよく出てくる言葉が「低酸素血症」で、酸素飽和度が90%を下回った状態を指す。動脈血に溶ける酸素の量が著しく少なくなるため、体の隅々に酸素を送れなくなり、最終的には命に関わる。
コロナ感染で無症状や軽症だったのに急に容体が悪くなるケースをアメリカの学術雑誌「サイエンス」が「ハッピーハイポキシア(Happy hypoxia=幸せな低酸素血症)」と呼び、世界中に広まった。
「もともと航空医学で使われている言葉で、パイロットに起こることがあります」
低酸素血症になると、今までできている行動が取れなくなったり、判断能力が鈍ったりする。この症状を「多幸感」といい、とても具合がよく、素晴らしくいい気分になるといわれている。これを「幸せな低酸素血症」と呼ぶ。
通常は、酸素飽和度が90%を下回ると、息苦しくて仕方なくなる。ところが、「幸せな低酸素血症」に陥った場合、苦しさを感じないため、自分が低酸素血症になっていると気付けず、初期症状を見逃してしまう。結果、気付いたときには重症化しており、死亡リスクが高くなる。
「低酸素血症の人が全員『幸せな低酸素血症』になるのではありません。一部ではあるものの、コロナに感染していたことが分かり、軽症と診断されたけれど『幸せな低酸素血症』になってしまうのではないかと心配な場合は、低酸素血症を視覚的に判断する方法としてパルスオキシメーターを使用する手があります。パルスオキシメーターは簡易的ではありますが、早期に低酸素血症かどうかを判断できます」
低酸素血症を起こしていると、前述の通り酸素飽和度は90%を下回る。そこまで待たず、95%未満ならば医療機関に連絡し、医師の指示を受けるべきだ。高齢者はもともと酸素飽和度が低い場合が多いので、すぐに低酸素血症に達してしまう可能性がある。感染者数が爆発的に増え、また感染力が高いといわれる変異種が登場した今、事前に準備をしておくに越したことはない。
ちなみに、記者が自分用と老親用にネットで購入したパルスオキシメーターは、送料込みで3980円だった。
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