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「無料ビジネス」にだまされるな!消費者の判断力を麻痺させる4つの仕掛け

2021-09-22 12:00:00 | 日記

下記の記事はダイアモンドオンラインからの借用(コピー)です

“無料”や“タダ”ほど人を引きつけるものはない。マイルをせっせと貯めるのも「無料で旅行したいから」だし、クレジットカード選びは「年会費が無料」でないと話にならない。「無料」と聞くと素通りできないのが人の常だが、はたしてそれを選ぶことが本当にベストチョイスなのだろうか。答えはノーだ。なぜなら「無料」は仕掛けられたビジネスだからだ。(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)
無料を利用したビジネス4タイプ
その1:動機無料
「無料」に魅了されるという弱みをうまく利用した無料ビジネスがちまたにあふれている。筆者は独自にそれらを次の4つに分類した。
(1)動機無料
(2)入り口無料
(3)条件で無料
(4)見た目無料
 まず、「動機無料」は、無料をエサに人を呼び寄せる手法をいう。例えば、「アイスクリーム1個無料プレゼント」というような、新規オープンの店がよく行う客引きサービスが分かりやすい例だろう。飲食店なら、コロナ前なら「生ビール1杯無料サービス」というところか。タダで手に入るものが欲しいばかりに、わざわざ出かけていくパターンだ。
 無料でアイスクリームがもらえるのが1家族に1個だとすれば、他の家族用にも買うだろうし、飲食店でビール1杯だけ飲んで帰ることはまずない。他にもつまみをオーダーしてお金を使ってしまうのだと分かっていながらも、無料の誘惑にはあらがえないものだ。
その2:入り口無料
 次の「入り口無料」は、月額課金サービスがその典型だ。初月無料、初年度無料として、入り口のハードルを下げて参加を促す。筆者は先日とある通信プランの乗り換えセールスを受けたが、先方いわく速度もセキュリティーも向上されており、しかも工事もいらないと簡単さを強調してくる。なかなか金額の話が出てこないのでこっちから聞いたところ、「まずお試しいただきたいので、ひと月分は無料ということで…」と言うのだ。
 しかし、サービスの加入時には、せっせと相手が手続きしてくれるので簡単だが、解約は自分でやらなくてはいけない。そもそも通信サービスの品質のよしあしなんて素人が判断できるのか。めんどくさいし、トラブルもないからそのまま継続でいいかとなりがちだ。支払いもカードや携帯料金との合算でとなると、勝手に引き落とされてお金の出入りが目に入らない。気づかぬうちに、毎月の固定費がアップしていた――とならないようにご用心を。
その3:条件で無料
無料を享受するためにお金を払う?
 3番目の「条件で無料」は、文字通り「○○したら無料」というパターン。「あと3000円買ったら送料無料」や、「2000円以上買い物をしたら駐車場代無料」というおなじみの手法だ。「いや、そもそも送料は3000円もかからないのでは?」と考えるべきなのだが、送料を払いたくない心理は根強い。駐車場代にしても、1時間ならいくらかかるかを調べるより、とにかく2000円以上買い物することに頭が切り替わる。とにかく無料にしたいという心理が、なぜか不要不急の買い物を促し、余計なお金を使ってしまうという摩訶不思議な行動を引き起こすのだ。
 最近では、キャッシュレス事業者のこんなキャンペーンも多い。
 「当選すると決済金額の100%が返ってくる」「抽選で買い物代金を全額キャッシュバック」。これも、無料の恩恵を受けるには、先にお金を使うことが前提なのだが、素直に参加している人は多いのではないか。SNS時代の昨今、「当たった!」という投稿を見ると、我も我もと思うのだろうか。宝くじのようなもので、確かに買わなければ当たらないのだが…。
その4:見た目無料
 4番目の「見た目無料」は、一見すると無料だが実は料金を取られているというパターン。例えば、ビジネスホテルの「朝食無料」。これは、正確には「朝食込みの宿泊費設定」という意味のはずだが、なぜかトクした気分になり、そっちのホテルを選んでしまう。
 また、ネット通販で商品を検索する時に、「送料無料」を探す人は多いだろう。「送料無料」を掲げるAショップと、送料がかかるBショップが並んでいると、勝負は明らかだ。しかし、本当にAがBより安いのかは別の話。この「送料無料」も、本質は「送料込み」かもしれないからだ。Bの価格に送料を足してからAと比較しなくては、正確なジャッジはできない。
 しかし、我々は「朝食無料」「送料無料」という文字を見ると、無料のほうがおトクに決まっていると反射的に感じてしまう。比較することを放棄させてしまうくらい、「無料」という言葉には魅力がある。そこのところを分かっている業者は、必ず必殺ワードとして「無料」を使うことだろう。
「無料」は人流さえも変えるパワー
 なぜ、人々は無料が好きなのか。その理由はいろいろあるが、ひとつは「お金を払っていない以上、絶対損することはない」と考えるからだろう。
 とにかく我々は損をしたと思うことが嫌いなのだ。それも、他人はおトクを享受して、自分だけが損をしたと感じようものなら、その痛みは倍増する。でも、無料ならば失うものはないし、マイナスになりようがない。何も払わずに手にできるんだからおトクなはずだ、それをみすみす見逃すなんて…と考える。だから、無料のドーナツがもらえる列に並んだり、「これを買うと○○がおまけでついてくる」として必要でもない新製品を買ってしまう。普段の合理的な判断力をまひさせてしまうのだ。
 さらに、「無料」は人の流れさえ変えることができる。
 例えば、有料だった道路が無料で通行できるようになると、その道を使おうとするドライバーは多い。早く目的地につける上にタダで走れるなら、その判断は正しいだろう。実は先日、筆者はこの経験をしたのだが、こうなるとそれまで多くの車が行き交っていた一般道路は、逆に交通量が激減することになる。その道路沿いにあった店に客が立ち寄ることが減り、結局、元有料道路沿いのパーキングにある店のほうに人が集まる。無料にしたことで、高速道路の関連会社だけがもうかる構造なのではないか…と内心思った。
 同様に、無料セミナー、無料相談、無料宿泊…これら無料のサービスは、この先にもっとお金を払ってもらうために人をかき集める方法であることは言うまでもない。
そもそも無料で受けられるサービスはおトクなのか
 最後に、別の角度からも触れておこう。
 ライフプランの相談などを受けているファイナンシャルプランナーから聞く話だが、無料相談に来る人より、有料相談を選ぶ人のほうが家計の見直しに真剣だと感じるという。お金を払った以上、元を取りたい、結果を出したい心理が前向きに働くからではないだろうか。
 相談を受ける側の専門家もそうだ。無料相談にもいろいろあるので一概にはいえないが、大ベテランで実績の高い専門家が無料相談の相手になってくれることはほぼないだろう。どんな仕事でも、能力が高い人ほど報酬も高いのが通例だ。もし、あなたが無料で自分の能力を提供してくれと言われたら、“無料なり”にしか取り組む気にはなれないのではないか。ものすごく質が高いサービスを100%無料で受けられることはまずないだろうし、本当のプロならそのオファーは受けないだろう。
 信頼できて質の高いサービスを受けたいのなら、やはり利用者は相応の対価を払うべきなのだ。無料は魅力的でみんな大好きだが、必ずしもベストな選択とはいえない。
松崎のり子:消費経済ジャーナリスト



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