先代 ◆ SANPO な ブ・ロ・グ

村田 青朔 が 一所懸命 書き綴る
「踊り」 だとか 「アート」 だとか
その 周辺の事
「小説」も 載せたい

【アート】 クリスチャン・ボルタンスキー

2008-05-25 |  アートって、なにさ?
2007

福住簾ゼミ
アート評

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既視の岸辺で・・・
[展評]クリスチャン・ボルタンスキー
Entre Temps + L’horologe palante


目の前に川がある。静かな風景である。
だが、水は流れている。川は昨日の川ではない。
だけど何故、おれは川の事を書き始めたのだろう?

バンカートからメールが届いた。
「1929ホールでのボルタンスキー本人による
新作インスタレーションは楽しみです」

1929ホールなら、知っている。
・・・以前、銀行だったという石造りの建物。
高い天井を8本の円柱が支えている・・・
でも、ボルタンスキーの事は何も知らない。

7月15日、バンカートに行ってみた。

ドアを押し開け、中へ進む。薄暗い。
ホール中央に青白い映像が浮んでいる。
見覚えのない、男の大きな顔写真。
と、その顔が歪んでいく。

ポーーン。女性の声が闇に響く。
「ただいまから午後3時16分20秒を、お知らせします」
10秒ごとに、ポーーン。

映像は刻々と輪郭を変え、別人になる。
世代の異なる4つの顔を映し出し、元に戻る。
その間を埋める曖昧な顔。名前も知らない、無数の人々。

映像が、アナウンスが流れている。・・・時間が流れている。
何を伝えたいんだ? どこにアートがあるんだ?
だがこの時、もっと別の、何かが流れ始めていた。

ふと思う。この人達は死んでいるのかもしれない。
無限に連なる、死者の鎖?
白壁に張り付いた、丸いランプが淡くオレンジ色に灯っている。

部屋を出る。楽しくは、なかった。
外は明るかったが、どこまでも明るいわけではない。

前日からの台風。翌日の地震。
テレビに映し出された、被害者の顔。
2日後。なぜか、川のイメージが湧き上がる。
思考回路に、水が溢れている。

ボルタンスキーの事をインターネットで調べてみた。
どうやらこいつは、そういう作家らしい。

また一歩、死に近付いた気がする。
そこに行けば、会った事のないアナタガタが待っている。
アイツと一緒に待っている・・・その日がとても楽しみです。
けれどまだ、おれは行きませんよ。


ボルタンスキー氏から受け取った、謎のプレゼント。
今は開けずにおく。

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クリスチャン・ボルタンスキー プレゼンツ
La Chaine - 日仏現代美術交流展 より
会期:2007年7月6日(金)~8月26日(日)
会場:BankART 1929 Yokohama+BankART Studio NYK



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詳細不明 たぶん 2008-05-23頃 up

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