
久しぶりに土日祝の3階B席が取れたので歌舞伎座に来た。
祝日のチケットを取ったものの休日出勤となり最初の演目は観られないかな~と思っていたが仕事は早く終り最初から観られた。

秀山祭九月大歌舞伎 9月16日夜の部

エスカレーターで3階に上がり、時間表を確認しているとその横の立て札に吉右衛門休演のお知らせが!

翌日の報道によると40度の熱がありながら舞台に上がろうとしていたとか。
こんなハードな舞台に高熱をおして上がろうと試みようとは歌舞伎役者の気迫は凄まじい。

席は3階最上段、花道の後方。

〈寺子屋〉
二度目の鑑賞だが、やはり見応え満載な演目。
菅秀才の首を迫られた源蔵の苦悩、鬼気迫る松王丸の首実検、寺子屋に預けた子を引き取りに来た母を殺めるしかないと隙を狙う源蔵に隙を見せない母、松王が語る真相…与太郎のシーンで笑えて一息つけるが、痛々しいシーンの連続。
吉右衛門の代役は松緑。さすがに急ごしらえ感は否めなかったかな。そもそもこの松王は芸歴を積んだ役者の方が合うのかなぁ。松緑の芝居も声も好きな方だが、何かただ芝居をしてるようにしか見えなかった。気持ちというか気迫というか、精神的な部分に不足を感じた。

勧進帳を前に花道に所作台が据えられる。

〈勧進帳〉
仁左衛門の方のチケットが取れなかったので幸四郎。幸四郎の弁慶は二度目の鑑賞。勧進帳自体も二度目となったが見応えあるな~。
富樫と弁慶の山伏問答や義経を打ち据えた後の弁慶と義経のやりとりもいいんだけど、舞踊がまたいい。山伏の衣装を着てあの動き、本当に感動する。ダンスバトルのようなシーンもあり、ダンスをやってる人は見た方が絶対いいと思おう。
最後の飛六方、3階席からが全部は観られないんだけど、これから六方を踏む、気迫を充実させるところを双眼鏡で観ていて手に汗握った(実際は双眼鏡を握っているので手に汗は握れないが)。

松浦の太鼓最初の場に備えて花道に雪をあらわす布が敷かれる。

〈松浦の太鼓〉
忠臣蔵のスピンオフ作品。
最初の雪振る師走の両国橋の場で、俳人の其角が偶然旧知の赤穂浪士大高源吾とすれ違い呼び止め、近くにあったベンチを据えて世間話。源吾は笹売りに落ちぶれていたが別れ際其角が句を投げかけると、続けた句を残す。その句が実は仇討ちを決意したものだったというのが後に松浦の殿によって判明する。
松浦家に使える源吾の妹、縫が殿に冷たくあしらわれる続く松浦家の場。冷たくあしらうのは縫が殿のいいなりにならないからと其角が推測するも、真相は主人の仇討ちをしないことにいら立ち、赤穂浪士の一人源吾の妹である源吾の妹につれなくしていた事が判明。しかも其角が源吾に会い、源吾がすっかり笹売りになっていたことを知るとさらに激怒し縫を追い出そうとまで。しかし源吾の残した句を知ると、仇討ち決意に思い至り縫を引き止める。
その矢先、陣太鼓の音が響き渡り、松浦の殿は助太刀を決意。
馬に乗った殿で幕を上げた最後の場。仇討ちをなしとげた源吾が松浦家に現れ、源吾は今後自分たちは切腹することになるだろうと別れを告げる…
歌六の、おバカなんだか賢いんだかよくわからない殿の塩梅が絶妙。東蔵の人を食ったようなキャラの其角といいコンビ芸だった。笹売りに身をやつしながら仇討ちを成し遂げて現れた源吾の又五郎もよかった。縫の米吉は相変わらず可愛かった。そしてほぼずっと横顔だったけど、長時間観られたのもよかった。
演目自体、キャラもストーリーも充分楽しめた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます