『古事記』と出雲神話続いて記紀神話は出雲に舞台を移して行きます。『古事記』の出雲神話は大まかに五話を伝えており、まず高天原を追放された須佐之男命が出雲へ下り、そこで八俣大蛇(『日本書紀』では八岐大蛇に作る)を斬って草薙剣を得る話から始まります。次いで因幡の白兎で知られる大国主神とその兄神達との話、次いで大国主神が祖先神の須佐之男命を頼って根堅洲国へ行き、スサノヲの娘の須勢理毘売と駆落ちした話、次い . . . 本文を読む
岩戸隠れを巡ってではアマテラスの岩戸隠れとは一体何だったのでしょうか。アマテラスが日神とされていること、日神が石窟に籠ると葦原中国が昼夜の区別もない常闇となったこと、彼女が石窟から出てくると再び世界に光が満ちたこと等から、これを日食に比する説は古くからあって、確かにこの物語の構成要素の中に日食という自然現象が含まれている可能性は高いと思われます。また天照大神のモデルとなった女神は一人ではなく実は二 . . . 本文を読む
スサノヲの悪行アマテラスとの神明裁判に勝ったことで有頂天になったスサノヲは、領国へ帰らずに姉兄のいる高天原に腰を据えてしまうのですが、ここから彼の悪行三昧が始まります。逆に言えば、神託を口実にやりたい放題を始めたこと自体、彼の本心が神託とは真逆だったことを如実に表したものだと言えるでしょう。『古事記』によるとスサノヲは、アマテラスの宮田の畔を壊し、溝を埋め、新嘗を奉げる祭殿に糞を撒き散らしたりしま . . . 本文を読む
須佐之男命の昇天続いて記紀神話は高天原に舞台を移して行きます。主役は天照大御神と須佐之男命です。高天原の神話を略説すると、伊邪那岐命から根の国へ行くよう命ぜられたスサノヲが、姉のアマテラスへ別れの挨拶に赴いたところ、そのまま同地に居座って悪事の限りを尽くした挙句、諸神によって高天原を追放されたという話です。天の岩戸隠れという余りに有名な挿話があるため、最高神であるアマテラスが話題の中心であるかのよ . . . 本文を読む
神と人の狭間で以上ここまで『古事記』と『日本書紀』に収められた神話の中のイザナギ・イザナミ両神による神生みまでの部分、即ち『日本書紀』で言うところの神代上巻第五段までの部分を通しで読み進めてきましたが、特に黄泉巡りの件を読めば誰しも気付く通り、これらの物語は人の世の出来事が神格化されたものと、自然界にまつわる伝承や迷信の類が入り混じる形で構成されています。従ってこうした神話を少しでも史実に近付ける . . . 本文を読む