史書から読み解く日本史

歴史に謎なんてない。全て史書に書いてある。

天下統一(趙の攻略)

2019-03-30 | 始皇帝
紀元前三四一年、馬陵の戦いで斉軍に大敗し、翌年には秦に黄河以西を奪われるなど、魏が次第に弱体化して行く中で、代って台頭してきたのは北の趙でした。晋の六卿を独占する六氏の一角を占めていた趙氏は、姓を嬴と言い、秦王室とは同祖だと伝えます。魏が覇権を失った後の河北では、威王の下で急速に国力を増強させていた斉と、商鞅を用いて法治国家への道を歩み始めていた秦が、中原を挟んで東西に覇を唱えていましたが、趙もこ . . . 本文を読む

天下統一(魏の盛衰)

2019-03-28 | 始皇帝
韓を滅ぼした後、秦が次の標的として矛先を向けたのは、政とも因縁浅からぬ趙でした。過去にも幾度となく城の取り合いをしてきた秦と三晋でしたが、戦国時代も後半になると、支那大陸の北部を北から南に流れる黄河が、旧晋諸国と秦との天然の国境となっていました。もともと黄河流域を開拓したのは晋であり、かつて晋が中原の大国で、秦が西方の弱小国だった頃には、晋(及びその後衛である韓魏趙の三国)の国土は黄河の西岸にまで . . . 本文を読む

天下統一(韓の滅亡)

2019-03-26 | 始皇帝
もともと韓候は晋の公族出身で、従って姓は周王室と同じく姫であり、氏の韓は地名に因るものです。戦国も半ばを過ぎると、魏秦楚の三国に囲まれた韓は、七雄の中でも最弱というのが定位置となり、その国土は諸国の侵食によって縮小の一途を辿っていました。しかし独立間もない頃の韓は、隣接する魏と並んで晋を二分する勢力であり、その国土も周王室の直轄領(洛陽とその周辺)を中心に、それを韓魏の二国が半周ずつ囲うような形で . . . 本文を読む

天下統一(統一前夜)

2019-03-25 | 始皇帝
果して秦がいつ頃から天下統一を意識し始めたのかという点については、実のところよく分かっていません。後年はそれが何度も繰り返されたので、支那大陸の統一という大事業でさえ、既に誰もが認識可能な現象となっています。しかし現実問題として、戦国時代にそれを思い描いていた人間が何人居たのかとなると、頭の中だけの夢物語を別にすれば、これは甚だ疑問となります。むしろ天下の統一が可能だなどと何の疑いもなく確信してい . . . 本文を読む

天下統一(斉と晋)

2019-03-23 | 始皇帝
ここで斉と晋について軽く触れておくと、斉は武王の覇業を補佐した太公望呂尚を始祖とする国で、呂尚は姓が姜、氏が呂だったため、王姓は姜であり、周一門ではなく臣下が封ぜられた中では最も大きい国です。但し呂尚が下向した当時の斉は、殷に属していなかった莱という部族の土地であり、要するに彼は既に開けていた国を与えられたというよりも、莱を征伐してその故地に建国することを認められたようなものでした。周が次代成王の . . . 本文を読む