史書から読み解く日本史

歴史に謎なんてない。全て史書に書いてある。

記紀神話:『日本書紀』に見る黄泉めぐり

2019-11-13 | 記紀神話
一書に曰く(第六)その後に伊弉諾尊は、伊弉冉尊を追って黄泉に入り、共に語った。伊弉冉尊が言うには、我が夫よ、何とも来るのが遅すぎた、私は既に黄泉の食物を口にしてしまった、今から眠るので、決して寝姿を見ないで欲しいと。伊弉諾尊はこれを聞き入れず、密かに火を灯して妻の姿を見てみると、そこには膿が沸き蛆が集っていた。伊弉諾尊は大いに驚いて、吾は思いがけず酷く穢れた所へ来てしまったと言い、速やかに逃げ帰ろ . . . 本文を読む

記紀神話:日本と大陸の神話の間で

2019-11-06 | 記紀神話
一書に曰く(第六)(冒頭部は前出)火の神軻遇突智が生まれるに至って、伊弉冉尊は焦かれて世を去った。伊弉諾尊が十拳剣を抜いて軻遇突智を三段に斬ると、それが各々神になった。また剣の刃から垂れた血が天安河辺にある五百箇磐石となった。これは経津主神(ふつぬしのかみ)の祖である。また剣の鐔から垂れた血が神となった。名を甕速日神(みかはやひのかみ)と言う。次に熯速日神(ひのはやひのかみ)。この甕速日神は武甕槌 . . . 本文を読む

記紀神話:『日本書紀』に見る神生み

2019-10-30 | 記紀神話
『日本書紀』に見る三神以上ここまでは『古事記』を中心に見てきましたが、同書は意図的な加飾が歴史の本質を見え難くしているので、ここからは『日本書紀』に沿って読み進めてみたいと思います。まず『日本書紀』に記された神生み(第五段)について、本文から順を追って見て行くと次のようになります。『日本書紀』本文伊弉諾尊と伊弉冉尊が共に議して言うには、吾は已に大八島洲国と山川草木を生んだ、どうして天下に主たる者を . . . 本文を読む

記紀神話:黄泉めぐり

2019-10-27 | 記紀神話
火の神カグツチとイザナミの死『古事記』によると、続いてイザナギ・イザナミ両神は、鳥之石楠船神(とりのいはくすふねのかみ)を生みました。亦の名を天鳥船(あめのとりふね)と言います。次に大宜都比売神(おおげつひめのかみ)を生み、次に火之夜芸速男神(ひのやぎはやをのかみ)を生みました。亦の名を火之炫毘古神(ひのかがびこのかみ)と言い、亦の名を火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)と言います。トリノイハクスフ . . . 本文を読む

記紀神話:国生みから神生みまで

2019-10-17 | 記紀神話
『古事記』に見る神生み国を生み終えたイザナギ・イザナミ両神は、続いて諸々の神を生んで行きます。言わばここからは両祖神による神生みの神話へと移行する訳ですが、特に『古事記』では次々に出現する諸神がかなりの数に上るので、段階毎に整理しながら話を進めて行かないと読み解くのが難しくなります。また古くは四大文明を始めとして、世界各地の神話で同様の現象が見られるように、記紀神話でも祖先の史実を下敷きにした伝説 . . . 本文を読む