「一女子」とあるのを読み違えて、それに続く鬼道云々と合わせて小説化する者も後を絶ちませんが、文章の前後の流れからすれば明らかに先王の娘ですし、それ以外に解釈の仕様がありません。「名づけて卑弥呼と曰う。鬼道に事え能く衆を惑わす。年已に長大なるも夫婿なく」とある文を読めば、これが結婚をせずに巫女となった王女であることは、その後の『古事記』や『日本書紀』の同例を見ても疑いの余地がないでしょう。古来日本では、女性が巫師や祈祷師となる場合、専ら皇女をその任に当てることが多く、神功皇后の逸話に見られるように、皇后(皇族から選ばれる)がその大役を担うこともありました。 . . . 本文を読む