
サボさんが「絶対いいって、平野啓一郎!」と熱く語るので
彼が借りて読んだあとに、図書館で延長手続きを取って今度は私が
この本を借りて読んでみた。
ハルキストなサボさんは、エンタメもいいけど純文学いいよね~な感じで
平野作品の「決壊」を読み、この「ドーン」を読破、
で、さらには「空白を満たしなさい」も買って、すっかり平野ワールドにはまる。
おお、この人ってこういう路線がいいのか~と結婚15年経過時点の新たな発見。
ということで早速私も初の平野作品を読んでみた。
時代は2030年代後半、つまり近未来のアメリカが舞台。
有人火星飛行を成功させたNASAの優秀なクルーたちが火星から帰ってきた、
というところから話は始まるのね。
「ああ、近未来小説か~」とちょっと気分も重たくなるんだけど、
そこにアメリカ大統領選、アフリカでの戦争や、彼の主張する「分人主義」
政府による監視社会、荒廃する社会、移民の問題などが絡んで
それらは決して未来の問題ではなく、現代の世界、特にアメリカが抱える問題でもあり
すっごいミルフィーユな感じの作品だったね。
すごくエンタメ要素が強いと思うんだけど、やっぱり純文学な人だけあって
主人公が自分の内面を語る部分や人の主義主張の語りは圧倒される。
特に素晴らしかったのが描写で、風景のみならず心理描写が美しい!
春樹的な「敢えて簡単なことを難しく、そして繰り返し表現してみました」
な感じではなく、丁寧に丁寧に語られていることがよくわかる作家だね。
たぶんこの本に対する評価は大きく割れるんじゃないかと思ったけど、
クルーがシャトルの中で抱えていた問題の部分のみならず、
大統領選で民主党と共和党の両候補の公開討論の場面での対立する主張は
戦争に対して賛成の立場、反対の立場それぞれが自分たちの大義のために
主張している、そのそれぞれの理屈がぐっと迫るものがあった。
この作品は「イラク戦争への批判か?」という感じも途中したけど、
「分人主義」について理解してもらうためにこれらの事象を絡めたのか?とも思うし
疲弊してしまった個人、社会、もっと広く世界でそれぞれがもういちど
立ち直っていくことへの期待、というかんじもする。特に主人公。
そしてアメリカの政権選択でも。
希望を残して終わってくれたことはよかった。
難しい内容ではあったけど、論理展開が説得力あったのもよかった。
この作品に出てくる「分人主義」をもっと知りたくて、
私はついに平野啓一郎が書いた新書「私とは何か」を買ってしまった。
おそらく年内最後の作品になるかな?と思う。
ちなみにタイトルの「ドーン」夜明け「DAWN」のことなんだけど
なんだろうね、私は何かが爆発したときの効果音的な感じで「ドーン」なのかと思った。
「ドカーン」でも「ドドーン」でもいいじゃん、それならって感じで。
でもDAWNだったのよね。なら、英語で書いた方が良かったんじゃないの?
写真もなに?火星をイメージしたの?ちょっと微妙なイースター島のモアイ像的物体…
うーん、そこが一番残念だったかも(笑)
初平野作品、よかったよ、うん。
彼が借りて読んだあとに、図書館で延長手続きを取って今度は私が
この本を借りて読んでみた。
ハルキストなサボさんは、エンタメもいいけど純文学いいよね~な感じで
平野作品の「決壊」を読み、この「ドーン」を読破、
で、さらには「空白を満たしなさい」も買って、すっかり平野ワールドにはまる。
おお、この人ってこういう路線がいいのか~と結婚15年経過時点の新たな発見。
ということで早速私も初の平野作品を読んでみた。
時代は2030年代後半、つまり近未来のアメリカが舞台。
有人火星飛行を成功させたNASAの優秀なクルーたちが火星から帰ってきた、
というところから話は始まるのね。
「ああ、近未来小説か~」とちょっと気分も重たくなるんだけど、
そこにアメリカ大統領選、アフリカでの戦争や、彼の主張する「分人主義」
政府による監視社会、荒廃する社会、移民の問題などが絡んで
それらは決して未来の問題ではなく、現代の世界、特にアメリカが抱える問題でもあり
すっごいミルフィーユな感じの作品だったね。
すごくエンタメ要素が強いと思うんだけど、やっぱり純文学な人だけあって
主人公が自分の内面を語る部分や人の主義主張の語りは圧倒される。
特に素晴らしかったのが描写で、風景のみならず心理描写が美しい!
春樹的な「敢えて簡単なことを難しく、そして繰り返し表現してみました」
な感じではなく、丁寧に丁寧に語られていることがよくわかる作家だね。
たぶんこの本に対する評価は大きく割れるんじゃないかと思ったけど、
クルーがシャトルの中で抱えていた問題の部分のみならず、
大統領選で民主党と共和党の両候補の公開討論の場面での対立する主張は
戦争に対して賛成の立場、反対の立場それぞれが自分たちの大義のために
主張している、そのそれぞれの理屈がぐっと迫るものがあった。
この作品は「イラク戦争への批判か?」という感じも途中したけど、
「分人主義」について理解してもらうためにこれらの事象を絡めたのか?とも思うし
疲弊してしまった個人、社会、もっと広く世界でそれぞれがもういちど
立ち直っていくことへの期待、というかんじもする。特に主人公。
そしてアメリカの政権選択でも。
希望を残して終わってくれたことはよかった。
難しい内容ではあったけど、論理展開が説得力あったのもよかった。
この作品に出てくる「分人主義」をもっと知りたくて、
私はついに平野啓一郎が書いた新書「私とは何か」を買ってしまった。
おそらく年内最後の作品になるかな?と思う。
ちなみにタイトルの「ドーン」夜明け「DAWN」のことなんだけど
なんだろうね、私は何かが爆発したときの効果音的な感じで「ドーン」なのかと思った。
「ドカーン」でも「ドドーン」でもいいじゃん、それならって感じで。
でもDAWNだったのよね。なら、英語で書いた方が良かったんじゃないの?
写真もなに?火星をイメージしたの?ちょっと微妙なイースター島のモアイ像的物体…
うーん、そこが一番残念だったかも(笑)
初平野作品、よかったよ、うん。