内分泌代謝内科 備忘録

子癇前症

子癇前症

Nat Rev Nephrol 2019;15:275-289

 

子癇前症は妊娠後期に高血圧+蛋白尿を認めるもので、子癇の危険因子として同定された歴史があるのでこの名がある。HELLP症候群は子癇前症に含まれる。

 

全妊娠の4-5%と頻度は高い。興味深いことにヒト以外の哺乳類では子癇前症は認めない。

 

子癇前症は胎盤の虚血が原因と考えられているが、ヒトは脳が発達しているために妊娠後期の酸素需要が他の哺乳類より格段に多い(ヒトでは胎児の酸素需要の6割を脳が占めているのに対し、他の哺乳類では2割程度)。このことが、子癇前症がヒトに特有である原因だと考えられている。

 

子癇前症の病態生理は完全には解明されていないが、胎盤の虚血→血管新生/抗血管新生のインバランス(特に抗血管新生作用をもつタンパク質の血中濃度上昇が重要)→母体の血管内皮障害が病態の中心だろうと考えられている。

 

高血圧に対してはRAA系の関与はないだろうと考えられている。その根拠は子癇前症の患者では、RAA系は健常妊婦よりも抑制されているからである。高血圧の原因とwしては抗血管新生因子やアンジオテンシンII タイプ1受容体に対する自己抗体の関与が想定されている。

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6472952/

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