内分泌代謝内科 備忘録

リフィーディング症候群

リフィーディング症候群についての総説
J Clin Med 2019; 8: 2202
 
リフィーディング症候群 (refeeding syndrome: RFS) は重度の低栄養または重篤な疾患によって代謝不全を来している患者に対する栄養療法の開始時に起こる代謝反応である。
 
血糖上昇と電解質異常 (特に低リン血症、低カリウム血症、低マグネシウム血症)、ビタミン欠乏 (特にビタミン B1)、体液の不均衡、塩の貯留によって特徴づけられ、臓器障害と不整脈を来す。
 
医療者の認知は非常に低いことが多く、しばしば非特異的な臨床像を呈する RFS の多くは見逃される。
 
1. 背景
 
第二次世界大戦では多くの人々が飢餓状態にあった。Ancel Keys はミネソタ飢餓実験 (Minnesota Starvation Experiment) で 36名の被験者における長期飢餓状態後の栄養が身体および精神に与えた影響を調べた。ほとんどの被験者は重度の気分障害、うつ、引きこもり (social withdrayal, isolation)、集中困難 (decline in concentration)、代謝の低下、呼吸数、心拍数の低下の時期を経験した。被験者の何人かは四肢に浮腫が出現した。
 
その後、第二次世界大戦の末期にさらに詳細な観察研究が Schnitker と Burger によって行われた。多くの飢餓状態にある抑留者 (detainee) が通常の食事を再開後に心不全や末梢の浮腫、神経障害などの重篤な症状を呈した。そして、5人のうち 1人は数日以内に死亡した (死亡率 20%…!)。これらの観察から RFS の最初の記述が生まれた。今から 75年前のことである。
 
現在でも、一般に認められている RFS の定義はなく、詳細な病態生理はほとんど分かっていない。これは主に RFS の臨床像は非特異的であり、しばしば見逃され、治療されないことによる。
 
Hernandez-Aranda らによると、低栄養の入院患者の最大 48%が RFS を発症する。Shuetz らが出版された研究のみを扱ったサブ解析では、RFS であると確定診断された患者は死亡率と早期再入院 (non-elective hospital readmission) の頻度が有意に高かった。
 
栄養療法は現代の複数の手段による (multimodal) 入院患者への治療介入のうちの主要な要素である。栄養療法は合併症と死亡を減らし、患者の生活の質と自律 (autonomy) を改善させることを目的とする。
 
栄養療法はふつうは安全だが、RFS などの合併症の潜在的なリスクを有する。RFS は飢餓状態から栄養状態に移行する際に過量の食事を与えられた場合に生じる異常な代謝反応である。RFS は電解質異常 (主にリン、カリウム、マグネシウム)、ビタミン欠乏 (ビタミン B1 (チアミン) 欠乏など)、体液の不均衡および限定的な臓器不全によって特徴づけられ、時に死につながる。
 
2. 病態生理
 
RFS は長期間の飢餓の後に糖を摂取 (リフィーデング) した場合に起こる異常な代謝反応である。正確な病態生理は不明だが、下記に示す過程によって起こると想定されている。
 
食事摂取量が減少あるいは全くの飢餓状態では、異化が優勢な状態 (catabolic state) となり、インスリン分泌が低下する一方、グルカゴンとカテコラミン分泌についてはわずかに亢進する。飢餓状態では糖の酸化は低下し、脳や腎髄質 (renal medulla)および赤血球などブドウ糖に依存した組織でのみ起こるようになる。
 
グリコゲンの貯蔵は低下し、糖新生が亢進し、蛋白分解 (proteolysis) によって放出された内因性のアミノ酸からブドウ糖が合成される。このために筋肉量が減少し、筋力低下と体重減少が起こる。ビタミンと電解質の濃度は減少し、貯蔵も減少する。
 
数日後には脂肪分解 (lipolysis) が増加し、血中遊離脂肪酸濃度が上昇する。遊離脂肪酸は肝臓でのケトン合成を促進し、大量のケトン体 (アセト酢酸と β-ヒドロキシ酪酸) が生じる。ケトン体は主なエネルギー源となる。異化が優勢な状態では、代謝速度は 正常の 30-50% に低下する (適応期: adaptive phase)。
 
炭水化物を含むバランスのとれた食事を再開すると (refeeding) 、ブドウ糖が主なエネルギー源に戻り、高血糖、次いでインスリンの分泌が起こる。同化の過程 (anabolic processes) が進行し、細胞内にブドウ糖と電解質が取り込まれる。その結果、血清中の電解質濃度が大きく低下する。電解質異常は不整脈やけいれん、テタニーなどの命に関わる合併症を来し得る。酸塩基平衡も電解質の移動に影響するので、RFS を疑う場合は鑑別診断あるいは併存する問題として酸塩基平衡の異常 (呼吸性アシドーシスなど) がないか考える必要がある。アシドーシスがあれば、リン、カリウム、マグネシウム濃度は低下し得るし、これについては (アシドーシスの改善とともに) 軽快する。
 
細胞内へのブドウ糖の移動はチアミン (ビタミン B1) に依存しており、分解が優位の状態で見られるチアミン欠乏は脚気 (beriberi) の原因となる。さらに込み入った低栄養状態では RFS のリスクが高くなり、低栄養が進行するとより重症度が高くなる。RFS で起こり得る症状の多くは非特異的であり、日常診療でよく認める症状としては頻脈と頻呼吸、末梢の浮腫がある。
 
インスリン分泌増加後に現れる電解質異常の結果として起こることとしては、
 
·リンはエネルギーの産生と輸送の両方で重要な電解質である。解糖 (glycolysis) はグルコース 6-リン酸しか利用できないので、リンは特にリフィーディング期には重要である。低リン血症は横紋筋融解、溶血、呼吸不全や神経筋障害などさまざまな症候を呈する。重度の低リン血症 (<0.32 mmol/L) は RFS に特徴的であると考えられており、いくつかの研究では診断基準の中心となっている。
 
·カリウムとマグネシウムも重要な細胞内の陽イオンである。重度の低カリウム血症 (<2.5 m mol/L) かつ/または低マグネシウム血症 (<0.5 mmol/L) では不整脈、不全麻痺 (paresis) などの神経筋障害、横紋筋融解、混乱、呼吸不全など命に関わる合併症が起こり得る。
 
·チアミンはクレブス回路でブドウ糖を代謝し、ATP を合成する過程で必要な補酵素である。チアミンが欠乏 (ヒトの貯蔵量はおよそ 14日分) すると、ブドウ糖は乳酸に代謝され、代謝性アシドーシスを起こし得る。チアミン欠乏はまた、神経障害 (ウェルニッケ脳症: 乾性脚気 dry beriberi) や心血管疾患 (wet beriberi) を引き起こし得る。
 
·ナトリウムは RFS ではカリウムが細胞内に取り込まれるのにともなって細胞外に排出される (ナトリウム-カリウム ATP ポンプ sodium-potassium ATPase pump) 。さらに、RFS 初期にみられる高インスリン血症が腎でのナトリウム保持を来し得る。ナトリウム濃度が上昇すると、水の貯留が起こる。さらに、ノルアドレナリンとアンジオテンシン II の分泌が刺激され、末梢の血管抵抗が増加し、血管収縮 (vasoconstriction) が起こる。このことが末梢浮腫や心不全の原因となるのかもしれない。
 
3. 現在のエビデンスレベル
 
現在の RFS についてのエビデンスレベルについては、最近 Friedli らが系統的にまとめている。一次資料の多くは症例集積研究、後ろ向き観察研究、コホート研究、症例対照研究である。今のところ、RFS に関するランダム化比較試験はほとんど発表されていない。最近の専門家による合意では、入院患者におけるリスク因子、罹患率、予防法、治療に関する推奨が定められた。
 
エビデンスが乏しいので、国立保険医療研究所 (National Institute for Health and Care Excellence: NICE) の成人の栄養管理についてのガイドラインの低栄養患者の同定と栄養管理についての推奨が標準治療として行われていることが多い。
 
RFS の治療と有害事象についての一貫したデータは大きく欠けている。
 
入院患者に対する栄養サポートの好ましい効果を示した大規模なランダム化比較試験 (EFFORT trial) の二次分析の結果と、RFS では死亡や予期せぬ再入院が多いことを考え合わせると、RFS のリスクが高い患者では特異的に治療を行うことが利益になるかもしれない。このリスク層別化に基づく二次分析と上記の専門家によるコンセンサスから、RFS の危険因子と頻度はかなりの程度分かってきている。
 
4. 予防
 
RFS のほとんどは栄養療法開始から 72時間以内に始まり、急速に進行する。早い段階で気づかれることがたいへん重要であり、(対応には)熟練した医療スタッフが必要である。ほとんどの病院では多職種による栄養サポートチーム (multidisciplinary nutritional support team) が作られており、栄養管理について助言が受けられるようになっている。医師、栄養士 (dietician)、看護師、薬剤師からなる栄養サポートチームは医療の質と安全性、予後改善に寄与している。
 
RFS は死ぬこともある重篤な合併症であるが、予防できるものである。RFS はあらゆる栄養療法 (経口摂取、経腸栄養、中心静脈栄養) で起こり得る。RFS リスクの予測因子については多くの研究で調べられているが、いずれについても感度も特異度も低い。飢餓が RFS 発症についての最も信頼できる予測因子である。
 
Nutritional risk screening 2002 で >3点、複数の基礎疾患、高齢、低マグネシウム血症 (血清マグネシウム <0.7 mmol/L) は多くの研究で RFS のリスク因子であると報告されている。文献と私たちの長い日常臨床の経験から、特に RFS 発症リスクが高くなる臨床的な状況がある。担癌患者と妊婦は非常に RFS 発症のリスクが高い。栄養の吸収に障害を来す病態 (短腸症候群 (short bowel syndrome)、減量手術、摂食障害) も RFS のリスクとなるかもしれない。さらに、慢性の消化器症状 (下痢、嘔吐など) やポリファーマシーも RFS のリスクを増やすかもしれない。血液透析や化学療法などの治療介入も RFS の高いリスクと関連する。栄養療法を開始する前には、Friedli らの専門家によるコンセンサスによって個々の患者の RFS のリスクを評価し、リスクに基づいて栄養療法の計画を立てることが勧められる。
 
5. 診断
 
RFS は 75年前から知られているが、広く認められている定義は存在しない。そのため、RFS の診断はしばしば遅れ、見逃されることもある。低リン血症を主とする電解質異常はいくつかの研究で RFS の定義に用いられている。
 
浮腫や呼吸不全、心不全などの臨床徴候は電解質異常、ビタミン欠乏、過剰な輸液の結果として起こり得る。
 
Freidli らによって提案された RFS の診断基準は、病態生理と臨床徴候によって構成されている。血清リン濃度が正常下限の 30%超の低下 (正常下限×0.7未満ということか?) あるいは 0.6 mmol/L 未満に低下した場合、3つの電解質 (リン、マグネシウム、カリウム) のうち 2つ以上が他に原因がなく、栄養療法開始から 72時間以内に基準値下限以下に低下した場合は RFS は疑わしい。RFS の臨床徴候は電解質異常出現後、速やかに現れる。
 
6. 治療
 
低栄養で異化が優位になっている患者では、その時に最も質の高い標準的な栄養療法を受けるべきである。最近のランダム化比較試験は十分な栄養管理の効果を示している。RFS 発症のリスクが高い患者では RFS を予防/治療するために血清中の電解質およびビタミン (特にチアミン) の補充が必要である。上記のランダム化比較試験では、967名の低栄養の患者を対象とした。このうち、141名 (14.6%) が RFS であると診断され、栄養療法を行っている患者では高い頻度で RFS を発症することを示した。臨床所見は徴候をほとんど認めない軽度のものから、命に関わる重度なものまでと幅広かった。
 
多くの研究が RFS の予防法、たとえば電解質補充、チアミン投与、低カロリー投与などの効果を調べている。
 
個々の患者の RFS のリスクに基づいて、エネルギー投与は少量から始めるべきである。5-15 kcal/kg/日から始め、血液検査や臨床症状を確認しながら段階的にエネルギー量を増やしていく。エネルギー需要を満たすのは、前もって行ったリスク層別化に基づいて、5日から10日後になるように調整するべきである。栄養素の構成は通常と同じで、炭水化物 40-60%、脂質 30-40%、蛋白質 15-20%とする。臨床的に不安定で、重篤な RFS 患者では炭水化物の割合を減らすことも考えるべきである。
 
RFS 発症のリスクがある患者に栄養リハビリテーションを行う場合は、通常の食事形態で経口摂取で始めるべきである。目標のエネルギー量を満たすのに十分な量の食事が摂れない場合は、経口的補助栄養 (oral nutritional supplements) を処方することもある。
 
経管栄養 (enteral nutrition) は極度の低栄養 (BMI が非常に低い場合など)や目標のエネルギー量を満たすのに十分な量の食事を摂取できない場合に検討する。
 
経静脈栄養 (parental nutrition) は経口かつ/または経腸栄養では不十分な場合や腸の機能が障害されている場合に検討する。
 
RFS のリスクは経口摂取と比べて、経腸栄養や経静脈栄養で高いかもしれないので、経腸栄養や経静脈栄養を行う場合は栄養投与速度を落として注意深く始めるべきである。
 
最適な栄養療法については今でも意見が分かれており、専門家や研究者の中には低栄養状態に置かれていることによる悪影響を打ち消すためにはもっと早く栄養投与量を増やしていくことを勧めている者もいる。意見が分かれるのは、ほとんどの人がそれぞれ異なる患者集団に対する個人的な経験に基づいて発言しているからである。
 
酸塩基平衡の異常は低リン血症を引き起こすかもしれない。たとえば急性呼吸性アルカローシスは、入院患者において低リン血症を予期するべき、よくある病態である。よくある、そして特に意味のない利尿薬 (ループ利尿薬とサイアザイド) の使用は体液と電解質 (クロール、カリウム、マグネシウム) を喪失させ、アルカローシス発症を促す。同程度の呼吸性アルカローシスと代謝性アルカローシスであれば、前者の方がリンの低下は目立つ。
 
体液量の異常があると、エネルギー投与量とは関係なく RFS を来す可能性がある。栄養療法を開始する前に脱水と水を喪失する病態 (熱、嘔吐、下痢) がないか確認するべきである。輸液する場合は、人工肛門からの喪失がある場合を除けば、平衡塩溶液 (balanced solutions) が好まれる。輸液は維持量に水と電解質の喪失量分を加味して計画を立てる。一般的には、水分量を維持するためには、水分は 25-35 mL/kg/日を摂取すれば十分である。水分摂取量については経管栄養、輸液、経静脈的に投与する薬剤 (ほとんどは抗菌薬) を勘定に入れる。塩分摂取量にも注意する。ナトリウム含有量はリンゲル液 (ハルトマン) で < 155.2 mmol/L, 生理食塩水は 154 mmol/L である。体液バランスは毎日チェックして、注意深く調整する。
 
RFS のリスクが非常に高い場合は塩分投与量は特に注意が必要である。その場合は、過剰な輸液を防ぐために栄養療法の初日はナトリウム摂取量を <1 mmol/kg/日に制限するべきである。
 
低栄養の患者では細胞内の電解質やビタミンの貯蔵量が低下している。これらは栄養投与を開始すると細胞内に移動し、血清濃度は低下する。したがって、栄養療法を開始する前に電解質とビタミンの補充を行うことは極めて重要である。その中でも、リンとチアミンが特に重要である。RFS のリスクが非常に高い場合は血清濃度が正常であっても、予防的にリン投与を開始するべきである。
 
飢餓においては血清リン濃度が正常であっても、リン貯蔵量は低下している。脂肪の酸化によって代謝を支えている限りはリンは必要ない。炭水化物摂取を再開すると、炭水化物の代謝は大量のリンを消費し、血清リン濃度は低下する。
 
栄養投与を開始する 30分前に高用量のチアミン (200-300 mg) を投与することは基本である。ビタミンは推奨投与量の 200%、微量元素は 100%を補充するべきである。電解質、特にリン、マグネシウム、カリウムは密にモニターするべきであり、栄養再開後安定するまでは補充を続けるべきである。
 
低マグネシウム血症をともなっている場合、低カリウム血症は増悪する。これはマグネシウムが Na-K ポンプの活性に必要であり、腎でのカリウム再吸収で重要なはたらきをしているからである。(低マグネシウム血症をともなっている場合、)カリウム補充のみでは不十分であり、カリウムを補充しているにも関わらず低カリウム血症が続く場合は、同時にマグネシウムを補充すると改善する。低カルシウム血症は低リン血症の原因あるいは増悪因子になり得る。
 
鉄欠乏が明らかであったとしても、鉄は栄養療法開始から 1週間以内は補充するべきではない。造血には大量のカリウムが必要なので、鉄を補充すると低カリウム血症が増悪し得る。さらに、低栄養の患者に経静脈的に鉄を補充すると低リン血症を来したり、遷延させたりするので、鉄補充については慎重になるべきである。
 
7. モニタリング
 
RFS は栄養療法開始から 72時間以内に発症し、急速に進行する。不安定な時期 (vulnerable phase, ~10日目) はバイタルサインと体液量、血液検査を小まめに確認することは RFS の初期症状 (体液量の過剰や腎障害) を早期に発見するために不可欠である。体重と体液量は毎日確認する。0.3-0.5 kg/日の体重増加は体液貯留の兆候かもしれない。
 
心電図モニターは RFS 発症のリスクが非常に高い患者か栄養投与開始前から重度の電解質異常 (K <2.5 mmol/L, PO4 <0.32 mmol/L, Mg <0.5 mmol/L) をともなう場合は、重度の不整脈や QT 延長を呈して、場合によってはトルサードポワンツを来す可能性もあるので、最初の 3日間に限って心電図モニターが推奨されている。
 
細胞外液の電解質が低下する場合は、電解質補充を開始あるいは強化しなければならない。浮腫、頻脈、頻呼吸を認める場合は個々の症状に対して対処し、栄養療法については最高リスクの患者に対するアルゴリズムに従って栄養投与を継続するべきである。
 
8. 合併症
 
RFS は異化が高度に進んでいる患者で死亡率を増加させるかもしれない。低栄養については摂取不足、吸収不良 (セリアック病、膵炎)、代謝亢進 (癌、重篤な病態、手術) が原因となり得る。軽度の電解質、体液、ビタミンの不均衡は無症候の場合もあるが、臓器不全や死亡につながることもある。
 
浮腫、頻呼吸、頻脈は RFS 患者で最もよく見る症状である。これらの症状を認めた場合は、まず肺塞栓を除外しなければならない。
 
RFS に関連する病態を管理する際の最初のステップは予防策 (何の?)を講じつつ、密に監視することである。RFS を治療する目的は患者の全身状態を安定させ、合併症を消退させ、栄養状態と体重を戻すことである。
 
RFS の合併症に対する治療を早く始めるほど、臓器障害のリスクは小さくなる。RFS 患者はしばしば脱水であり、水分を補充する必要がある。また、電解質とビタミンは十分に補充されなければならない。栄養リハビリテーションはゆっくり始め、個々の患者に合わせて行うべきである。栄養投与開始時に炭水化物を投与すると、すみやかに腎からのナトリウムと水の排泄が低下する。体液過剰とならないように、水の出入りを密に監視する必要がある。体液量の制御ができていない場合はすみやかにうっ血性心不全、肺うっ血、脳浮腫や不整脈を来し得る。また、RFS を発症しやすい時期に過剰な糖を投与すると高血糖を来し、浸透圧利尿、脱水による代謝性アシドーシス、高浸透圧性昏睡、ケトアシドーシス、さらに二酸化炭素貯留 (なぜ?)、高 CO2 血症、呼吸不全を来し得る。
 
重度の低栄養患者では血液学的異常と軽度~中等度の肝酵素の上昇を認め得る。前者の病理学的な変化は骨髄低形成と骨髄の膠様変化 (gelatinous marrow transformation) と関連する。後者の病理学的変化には多因子が関与しているようであり、1. 肝臓の低灌流によって起こる虚血性肝炎、2. グルタチオン濃度低下による酸化ストレス、3. 飢餓によって誘導されるオートファジーが関与する。どちらも栄養投与開始から数日で大きく低下し、正常化するようである。
 
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6947262/
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