内分泌代謝内科 備忘録

2型糖尿病の診断時年齢別の生命予後

高所得国における 2型糖尿病の診断時の年齢別の生命予後: 2300万人·年の観察研究
Lancet Diabet Endocrinol 2023. https://doi.org/10.1016/S2213-8587(23)00223-1

背景
2 型糖尿病の有病率は、特に若年層で急速に増加している。糖尿病患者はそうでない患者より平均 6年早く死亡することが推定されている。著者らは糖尿病診断時年齢と全死因死亡率、原因別死亡率、平均余命の短縮との関連について信頼できる推定値を提供することを目的とした。


方法
この観察研究では、Emerging Risk Factors Collaboration と UK Biobankの2つの大規模データソースを用いて、高所得国 19ヵ国の個人データの複合解析を行った。


所見
糖尿病を有する人では、糖尿病を有さない人と比べて、診断時の年齢が低いほど全死亡リスクが高くなる線形用量反応関係が観察された。30-39歳で診断された場合、ハザード比は 2.69(95%信頼区間: 2.43-2.97)、40-49歳で2.26(2.08-2.45)、50-59歳で1.84(1.72-1.97)、60-69歳で1.57(1.47-1.67)、70歳以上で1.39(1.29-1.51)であった。診断が 10年早まる毎のハザード比の上昇は男女とも同様だった。

図1: 男女別の 2 型糖尿病診断時の年齢と死亡率との関係
https://www.thelancet.com/cms/attachment/c36b8b78-3b8f-4692-9474-2393b82b5da7/gr1.jpg

米国の死亡率を用いると、50 歳の糖尿病患者は、糖尿病のない患者に比べて、30 歳で診断された場合は平均 14 年早く、40 歳で診断された場合は平均 10 年早く、50 歳で診断された場合は平均 6 年早く死亡した。EU の死亡率を用いると、それぞれ 13 年、9 年、5 年早かった。

図2: 米国の死亡率を用いて推計した 2型糖尿病の診断年齢別の平均余命の短縮
https://www.thelancet.com/cms/attachment/2a99b213-b39f-4c97-8c34-4cbcbf51c1ea/gr2.jpg


解釈
糖尿病の診断が 10 年早まるごとに、平均余命が約3-4 年短くなることが示され、糖尿病の発症を予防したり遅らせたりする介入策を開発・実施し、糖尿病と診断された若年成人の危険因子の治療を強化する必要性が強調された。


備考
糖尿病と診断された年齢が早かったことと最も強い関連があったのは、血管死(心筋梗塞や脳卒中など)とその他の非腫瘍性死因(主に呼吸器疾患、神経疾患、感染症、外因性)であった。

診断された年齢が低いほど死亡率が高くなるという関係は、血圧や LDL-C でも認められている。また、若年で発症した 2型糖尿病患者は高齢発症の患者と比べて、BMI、血圧、LDL-C が高く、血糖コントロールの悪化が早いことが知られている。

https://www.thelancet.com/journals/landia/article/PIIS2213-8587(23)00223-1/fulltext
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