魚屋夢遍路

流されているのか、導かれていのか、突き進んでいるのか、当事者には計り知れない。

父さんは爺さん?

2012-11-18 09:11:34 | 旅行

 すごくいい気持ちで神峯寺を後にした。国道55号に出るまで、眼の前の太平洋が、迫るのを楽しみながら下って行く。
耳の奥にあのケーナという笛の音が澄みわたり、脳ミソをカタルシスしている。ひそかに「わしもマスターしちゃる」と誓った。
 国道に出れば、土佐くろしお鉄道を右に左に、たまに、かわいい車両に出会いながら、高知を目指し北上する。安芸市にて遅い昼食を駅前のスーパーでとる。
鮮魚売場の、かつおのタタキ(さすが本場である、塩タタキとか、薬味だらけにしたのとか、バリエーションが豊富である)を横目に、惣菜コーナーで「本日の特売品かぼちゃコロッケ4ケ100円」を8ケ買う。
レジで210円支払い、生鮮保存用のサービス氷を袋いっぱいにゲット(わがお遍路チームは魚を詰めてくる発砲スチィロールの箱を冷蔵庫代わりにして、各寺で採取したお大師さんの水を飲料水にしている。金はかからないけど、もしかしたらけっこう贅沢なことかも)。
バタンコ88号に帰り、今日は日曜日なのでナビをテレビに切り替えて、高知放送の「新婚さんいらっしゃい」でニタニタしながら皆でコロッケ完食。
 再び、国道55号を土佐くろしお鉄道とひつっきもつっきしながら、小1時間で第二十八番札所=法界山 大日寺 高照院=に到着。
なんと、またまた、大日寺ではないか。ガイドブックで調べてみれば八十八カ所中、同姓同名は、大日寺は3ヶ所も、国分寺は4ヶ所あった。
 山門への道すがら、年季の入ったお遍路さんが手に鉢を持って、お経を唱えながら立っている。行きかう人々がたまに小銭を鉢の中に入れ、合掌して過ぎていく。
初めて托鉢を目の当たりに見る。思わず心でガッツポーズする。これで無一文になっても、年金がなくても、私1人ならなんとかなる。
鬼嫁は就職した時点から年金をかけ続けている。当然、分けてくれそうにない。
 けちな鬼嫁の心根はさておき、今日は、お寺の行事だろうか、境内にはお遍路の他に普段着の人も多い。
本堂で小春と般若心経をデュエットし終わって、大師堂の方へ歩いていると、人の良さそうな上品な老婆が近づいてきて
「まあ、感心なおじょうちゃんですこと。お爺ちゃんとお遍路さんしてるの、これお接待させて下さいね。」
 と、千円札を小春の手に握らせたではないか、これを辺りにいた留吉が、見逃すはずもなく、すかさず「お父さん」と手を握ってくる。するとこの極端に視力の低下した、人の悪そうな下品なクソババアは、
「あらら、お父さんでしたか、それはなんとも・・・はい、では僕にもこれどうぞ」
 と、留吉の手に千円握らせて、そそくさと立ち去った。
お婆さん、僕ちゃんの手にもお札を・・・ 逃げ足の速いババアではあった。
 一部始終を冷ややかに見ていた鬼嫁が
「納経はまだでしょ、早く行きましょう、お爺さん」
 と、それこそ鬼の首でも取ったかのような顔でぬかすではないか。私以外のご一同は軽やかな足取りで、大日寺を後にしたのであった。
 1人重い足取りでバタンコ88号に戻ったお爺さんは、もう今日はこれ以上お遍路をする気力を失っていた。皆に風呂に行こうと提案する。さすがの鬼嫁もうなずいた。



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