立てば芍薬座れば牡丹踊る姿は薔薇の花?

古希から喜寿へ向かうGrandmotherが、つれづれなるままにシニアライフをつづります。

「生き残る判断 生き残れない行動」の著者アマンダ・リプリーに聞く

2011-05-16 20:43:59 | 日記
『大災害生存者の心の闇と、生と死の分岐点』
http://diamond.jp/articles/-/12261?page=2 ダイアモンドオンラインより

――感情を表現する機会を与えるほかに、留意すべきことはあるか。

 被災者の精神状態を理解するうえでもうひとつ大事なことは、サバイバーズ・ギルト(Survivor's guilt、生存者の罪悪感)だ。生存者の脳はある時期に、なぜ自分だけが生き残ったのかを繰り返し問い続ける状態に陥る。いくら考えても理由はないのだが、脳の自然な作用がそうさせる。

 9.11(同時多発テロ)の生存者たちはほぼ1年間、メディアの前に出てこようとしなかった。家族を失った人々が多数いる中で、自分たちには前面に立って話をする資格はないと感じていたからだ。だから、そんな彼らの生存を意味あるものだと分からせてあげなければならない。

――具体的にはどうすればよいのか。

 たとえば、被災者に仕事を与えることが重要だ。「もう十分にひどい目に遭ったのだから、あとは私たちがやります」と周囲は助けたくなるだろうが、助けたいならば実際にやるべきことは逆だ。仕事がないと、被災者の多くは自分の存在が不完全なものと感じるようになってしまうからだ。


(政府・東電)関係者でこのインタビューを読んでいる人がいれば、是非こう考えてほしい。情報を公開すると、パニックを招くのではないかというのは誤解だ。実際にはパニックは起こらないし、情報はたとえ不完全なものであっても、少ないよりは多く出すほうがいい。なぜなら、状況を知りたいというのが人間の本能であり、情報公開はそれに応えるものだからだ。

 一方、国民の側も、自ら嫌気や不安から抜け出す努力をすべきだ。たとえば、「自分に分かること」と「自分に分からないこと」が何であるかを区別して考えてみることは、こうしたときに非常に有効だ。たとえば、「よく分からないこと」といえば、放射線の影響だろう。しかし、放射線をむやみに怖れるのではなく、自分でもそのリスクを学習すれば、どの情報を選ぶべきか分かるようになるはずだ。また、自分がどんなリスクに対してどんな行動をとるべきかを考えてみることも大変重要だ。そうした小さなことを積み重ねていくことによって、負の精神状態からある程度抜け出すことができるのである。

 さらにいえば、そうした性格づくりをしていれば、将来災害に遭遇した際にも助かる可能性は高まると思う。災害にあって生と死を分けるものは何か。私は著書(『生き残る判断 生き残れない行動』)を執筆する前には、「運」に左右される部分が大きいと思っていたが、実際にさまざまな災害の生存者を取材し、そうではないことが分かった。リスクを学習し、災害時に自分の感情をコントロールすることができれば、生き残る判断や行動を取れる可能性は高まる。私自身、それを知って、少し恐怖感が薄れた。

――将来の災害に備えて何をすればよいのか、もう少し具体的に知りたい。
 ポイントは以下の6つだ。

1) 態度:「できる」というポジティブな思考が重要だ。しかし、学習する際には、ポジティブ、ネガティブの両面を忘れてはならない。
2) 知識:サバイバルのための知識を持つこと。そうすれば、実際の災害時に障害を乗り越える“蓄え”になる。
3) 不安レベル:これが高いと判断を誤る。普段から心身を鍛え、災害時にも深く息をして不安レベルを低く保てるようにしよう。訓練次第で、恐怖心を管理する脳内の領域を広げることは可能だ。
4) 体重:体重が重いと素早く動けない。同時多発テロの際にも肥満の人はけがをする割合が高かった。
5) 訓練:準備を怠らないこと。消防士などが利用している地震や火事などの災害シミュレーション空間が、国民にも開放されるのが理想的だろう。

 以上の6つのポイントが災害前に行えることである。災害後の今、付け加えるものがあるとすれば、被災地で生まれる同胞的な絆は大切に維持し続けることだ。これは永遠に続くものではないが、重要だ。被災者同士が対話を持てる場を維持することも大事だ。

――あなた自身は、災害に備えてどんなことをしているのか。

 もしものときに役に立つと思われることはなんでも一生懸命やっている。例を挙げれば、近所の住民の集まるパーティーがあると、気が進まなくても出かけるようにしている。災害直後は救済のプロが助けてくれるのではなくて、近隣が助け合う。自分のリソースは何かを確認しておくのだ。

 また、リスクを減らす努力をしている。たとえば、自動車は事故率が高い。だから自転車に切り替えた。ともかく、全体的な心の持ち方として、常に災害に対して意識的であるようにしている。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿