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「FA637の報告」
朝方まで続いた「そらメール」のおかげで、
遂に一睡もできなかった「斎元」が、徹夜の決意を固めた午前5時。
「そら」が熟睡したのを確認した くたびれ気味の「Hiたかお」と「ゆきりん&ぽち」は、
「協議会・本体」へ向けて、待ちくたびれた「おがた」に乗って出発した。
ちょうどその頃「協議会・本体」では、3人の帰りを待たずに、
「協議会最後」となる「FA637の報告」に移っていた。
それは、閉会予定時間をはるかに超過してしまっていた為でもあり、
「そら」と行動を共にしていて一番”心労”の多かった「Hiたかお」が帰った時点で、
生き物たち全員の拍手で3人を迎え、それをもって”閉会”とし、
特に、よくしゃべるわりに案外神経の細かい「Hiたかお」の労をねぎらい、
ゆっくり休ませてあげようという、生き物全員の共通した思いでもあったからだ。
私達は全員が全員とも、”がんばった仲間”を賛嘆し、
その労をねぎらう事が 何よりも大好きなのだ。
「一の妄」と「ケリー・糸3番」などは「協議会・会場」に帰るなり、
”撃たれて死んだように”眠りこけてしまったのだが、
会場の隅の方に誰かが丁重に運び、
そして風邪などひかぬ様に、誰かが”ふとん”をかけている。
「協議会」に参加する全員も、この波乱に満ちて長時間に及ぶ「協議」に、
疲れない訳がないのだったが、
「誰かが誰かの為に、何かをする」事で、
その”疲れ”は半減する事を、皆、熟知しているのだ。
(司会・生き物)「さて!この協議会最後となりました、FA637からの報告に移りたいと思います!!それでは、FA637、お願いします!!」。
(FA637) 「長時間の協議!!本当にお疲れ様でございます!!そしてまた、最後の”取り”を頂き、本当にありがとうございます!! とても重要な報告でありますので、順を追ってご報告いたします。まず、この”NO.3”という業務用のPCについてですが、「よも清さん」とのやり取りの末、”静観”の態勢でのぞんでおりました。 ”静観の態勢”に至るいきさつについて、知らない方も多いかと思いますので、簡単に説明いたします。
わたくしの調査におきまして、個人のPC内部や企業のデータ・ベースに入り込む際、まず始めにウイルスの類か新種のスパイ・ウェアと感知され、入り込む前に排除されますので、こうしたセキュリティを解除した後でないと調査が始まらないのは、皆さんもご存じの事と思います。 ところが、この”NO.3”だけは簡単に入り込めた、というか、”わたくし以外のウイルスの類はキチンとブロックし、わたくしのみ、入り込めるようにしてあった”という所から始まります。 恐らく、何らかの仕方でわたくしの存在を認識していて、その上でわたくしの正体をつきとめようとしているのか、もしくはコンタクトを取ろうとしているか、そのどちらかではないか? という所で、しばらくはこちらから「動作」は起こさず、”静観”の態勢でのぞんでいた訳であります。 しばらくは何の動きもありませんでした。 その間にこの”NO.3”の社内での役割について、いくつか調べてみました。 「優しさ」という”商品”を取り扱うこの企業の中で、”NO.3”は主に「ダメージ・在庫」や、「不明品番の管理」、あと「イレギュラー・入出庫」などの、通常業務以外のトラブルの対応に使われている事がわかりました。 また、この”NO.3”を使っているのは「希崎」という人物で、この社内でかなりな重要ポストにある事もわかりました。 この「希崎」の動向の中にこそ、私達の「大調査」の全ての結論があるのです。 その理由ですが、”静観”の態勢のわたくしに対して、ついに”発信”をして来たのであります。 この”発信”は、間違いなく「希崎」なのです。 この「希崎」、まだまだ不明な点が多いのですが、大変な人物です。 なぜなら、その”発信の内容”そのものが、あまりに不可解である、としか表現できないのです。 では”発信”の内容です。(とのFA637の言葉に合わせて、協議会・中央のPCが作動し、FA637の説明に合わせて、その”発信”の内容を映し出す。)
wwwwww @@@@@
「始めのうちは、このような”試し打ち的”な発信でありました。 考えてみるとそれもそうです。 向こうからして見ると、自分の使うPCに何かが入っている、ウイルスなどではない何か、でも、それが何かはわからない。 わからないけれども、”出て行った形跡”はないので、入り込んだまま、じっとしている・・・。こんな感じではないでしょうか。 そして、数日の間、動きはなく、そして出し抜けに・・・これです。
はじめまして。 あなたは”何らかの生命”ですね。
あなたは言語を持つのでしょうか?
私はこうした日本語でのみ、発信いたします。
さて、結論を先に申し上げます。
告白です。
私を”裁いて”下さい。
それを私は強く望んでおります。
私は、同義的に許す事のできない犯罪を決行したいのです。
そして、極刑に相当する裁きをうけ、
この生涯を終えたいのです。
私の中で”返還”という言葉が重く、狂おしく、
そして甘美な旋律で響いております。
”極刑による裁き”こそが、私の望む死であり、
その事を”返還”というのであります。
1999年に、私の不治の病は発病しました。
そして、いよいよ本年が、最後の年となります。
病状が進行する中で、常に頭痛のように頭の中に響き渡る声。
””月の者.256N””・・。
これは、私の病の名称なのか? 私自身の”本当の名前”なのか・・。
いずれにせよ、荘厳な最後を遂げたい・・この実感こそが、私の真実であります。
ゆえに、 もう、時間がないのです。
あなたが、この”告白”に賛同する者であったとしても、
そうでなく、”私を止める者”であったとしても、
私のこの告白の意味する事が、認識できるのではないかと思い、
出し抜けに、告白してみたのです。
”アクション”を起こして下さい。日本語で、失礼いたしました。
希崎
以上がその内容です。
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そして、いよいよでてきましたね ”希崎”!
それにしても、このお話において希崎という人がこんなにも重要な役割を
持った人物だったとは!
これからいよいよ”月の者”の謎が明らかになって行くのですね。 そんな
雰囲気が漂ってきましたよ。 この”月の者”を初めとして、”サソリ”の行動
や”和解マン”の正体、そして”滝沢何んパオ”って一体何だったのか!(笑)
全ての謎は本当に明らかになるのでしょうか ?!
ところで・・・
> 「一の妄」と「ケリー・糸3番」などは「協議会・会場」に帰るなり、
> ”撃たれて死んだように”眠りこけてしまったのだが、
> 会場の隅の方に誰かが丁重に運び、
> そして風邪などひかぬ様に、誰かが”ふとん”をかけている。
生き物たちって風邪ひいたりするんですね。 初めて知りました。(笑)
「生き物たち」って風邪ひくんや
頂いたコメントを読んでて思わず噴き出してしまいました(笑)・・・
”熱”とかも出たりするのかな?
そこから、またあれやこれやと想像が広がってしまうじゃないですか
=”希崎”=
やっと登場です。
これから、そのエピソードによってはほとんど「主人公」みたいな活躍ぶりで出てきます。
ちょっとおもしろいのは、「生き物たち」の視点での”希崎”と、斎元&田川の視点での”希崎”とが、同一人物でない様なちがう人みたいな出て来方をするトコです
あともう一人、”友駄さん”。
まもなく登場しますよ
この「そらの物語」、なんだかんだと書いているうちに、だんだんと”結末”が見えて来ました(書いてる側だけ?)
=全ての謎は?=
”和解マン”の謎・・・・
これは明らかにする自信がありません(大笑)
「いつも偉そうに出て来て、粗末なあつかい」をうける”滝沢何んパオ”(大笑)・・・。
この人は今、どこで何をしているのか?
まだ、サソリたちに捕まったままなのか?(笑)
取りあえず、「そらの物語以外」をちょこちょこ挟みながら、進めていきます
ワクワクするコメント!ありがとうございます